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2012年6月30日 (土)

ASIA "XXX" (邦題:ロマンへの回帰)レビュー

2006年8月のオリジナルエイジア再編からあっという間に6年、空中分解した80年代の倍以上の活動期間となった。それぞれが充実した別のバンド活動やソロ活動も掛け持ちするが故にグループ内主導権争いも無く、レーベルからのプレッシャーもない状況だからこそバンド史上最も安定した状況となっているのであろう。ファンとしては嬉しい限りである。
そのオリジナル再編から早くも3作目、82年のデビューから30周年を記念する新譜、"XXX" が満を持して登場。

ASIA "XXX" (邦題:ロマンへの回帰 マーキー・アヴァロン MIZP-30002 DVD付き限定盤)

ジャケットはもちろんロジャーディーン、1stと2ndを融合した素晴らしいデザイン。

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限定盤にはポスター付き。

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ついでに通常盤も。こちらはバンドロゴステッカー付き。

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おまけでDU特典の紙ジャケ、ジャケデザインステッカー。

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それではいつものように個人的主観全開で愛情たっぷりの全曲レビューを行きます。

① Tomorrow The World (Wetton/Downes)
これまでの作品では1曲目のイントロから印象深く勢いよくスタートする傾向だったが、今回は珍しく静かなイントロでプログレ的に始まる。だがそれを打ち破るストレートなビートが始まると、そのままカッコいいメロディで最後まで走り切るロックチューン。ダウンズのキーボードがメロディをなぞるところは80年代的過ぎて少し笑ってしまう。ハウ爺もスリリングなギターソロを少しだけど決めてくれている。

② Bury Me In Willow (Wetton/Downes)
これは今作のベストチューンに上げられそう。始まりがAOR的で非常に落ち着いたメロディアスな先生のボーカル、エイジアらしくないという声が聞こえてきそうだが個人的にはメロディさえよければ文句はない。だがしかしそれだけでは終わらないのがエイジアなのである。サビの先生が歌い上げる部分で薄く広がるコーラスが何とも言えない爽快感を醸し出す。更に更に、この曲のグレードをワンランクアップさせているのが2分30秒あたりから約15秒のダウンズのシンフォニックなキーボードアレンジ。勇壮にメロディアスに展開されるこのわずか15秒でメシ3杯は食える。それくらいに心を打つ。ダウンズのセンスが凝縮されている。歌詞の内容が、死んだら柳の下に埋葬してくれ、みたいな歌詞だがそれと相反する爽快なサウンド、耳をとらえて離さない。

③ No Religion (Howe/Wetton/Downes)
ハウ爺が持ち込んだと思われる(勝手にそう思っている)ハードでカッコ良いギターリフに、先生ダウンズが持ち込んだ(勝手にそう思っている)であろうキャッチーなサビのボーカルメロディを合体させた、これもストレートでノリノリのロックチューン。多分ハウ爺はイエスでもソロでも使わないであろう自作曲をエイジアに持ち込んだに違いない。しかし結果、エイジアらしいかどうかは関係無く、これも気持ちの良い爽快感を味わえる素晴らしい佳曲となった。

④ Faithful (Wetton/Downes)
ダウンズが持ち込んだ(と、先生がメイキングDVDで言ってる)これ見よがしなラブソング。これをちょっと変わったリズムで始める。ところが途中からここでもノリノリのストレートなリズムとなりメインのキャッチーなメロディを先生ボーカルとハウ爺ギターで交互になぞり、カールパーマーのドラムも元祖手数王状態で大いに盛り上げる。凡庸な曲には終わらせないアレンジ、プロデュースの勝利。これまた爽快。

⑤ I Know How You Feel (Wetton/Downes)
哀感を湛えたメロディが印象的なバラード。これもエイジアらしくはないが、たとえば先生のソロで演ってしまえば凡庸なバラードに終わりそうなところをアレンジ力でカバー。でもアルバム全体の流れからすると前4曲が爽快だったので一休み的な感じでそこが損してるかなって。でも佳曲であることには違いない。

⑥ Face On The Bridge (Wetton/Downes)
先行デジタル配信されていた今作のリーダートラック。最初聴いた時はカッコいいけど地味かな、とも思ったがなぜかこのアルバムの中で聴くと一番エイジアらしく感じてカッコいい。先行配信では短縮バージョンだったがこちらはフルバージョンで曲後半でハウ爺の入魂のギターソロも聴ける。

⑦ Al Gatto Nero (Wetton/Downes)
大変に、普通の(笑)ポップソング。個人的にはちょっとこの辺でダレるかなみたいな。ちょっとダレたんだけど曲の最後でハッとする。いきなりユニゾン的に終わる感じは1stの何かの曲にもあったよなぁ。1stから30周年のこの細かいところで意識させようってか?

⑧ Judas (Howe/Wetton/Downes)
これもハウ爺が持ち込んだ曲に先生ダウンズでキャッチーなサビを合体させたっぽい曲。ギターがワウワウを使ってる感じがこれまた1stの何かを思い出させる(おれが思ってるだけか?)。でもアレはソウルサヴァイバーだったな。曲調も違うしそこはやはり気にする必要もないか。これも明るいメロディのポップソングに仕上げている。

⑨ Reno(Silver and Gold) (Howe/Wetton) : BONUS TRACK
ココでボーナストラックのハウ爺と先生のペンによる曲。オッ、どうした?って思うような始まり方はきっとハウ爺持ち込みだろう。サビの先生ボーカルはいかにも先生的なメロディ。出来としてはあくまでボーナストラックってことで。悪くはないよ、メロディアスだし。

⑩ Ghost Of A Chance (Wetton/Downes)
本編ラスト曲。ピアノとボーカルで始まるバラードは先生ダウンズらしいメロディ。このまま地味に終わるとほとんど印象にも残らないであろうが中盤からのアレンジが感動を誘う。ハウ爺がメロディをギターソロで奏で、そして分厚いオーケストラルなダウンズのキーボードがそれを引き継ぐ。更に今度はそのキーボードをバックに再びハウ爺がギターソロ、更に更にコーラス風に広がるキーボードをバックにハウ爺のギターは天空を駆けるかのような超高音、スティールギターかな。思わず遠くを見つめたくなるような、なにかドラマのエンディングにでも使えそうな感動的なアレンジ。先生のソロで似たような感動を味わったのがアフターオール、ああいう感じの感動がある。

⑪ I Know How You Feel(Midnight Mix) (Wetton/Downes) : BONUS TRACK
ボーナストラックで⑤のアレンジ違い。リズム隊が省かれスペーシーなキーボードをバックに先生が歌う。間奏でハウ爺のアコギが美しく鳴り響く。そう言えば今作の本編ではハウ爺のアコギは無かったな。

⑫ Faithful(Orchestral Version) (Wetton/Downes) : BONUS TRACK
国内盤のみのボーナストラックで④のアレンジ違い。オーケストラルバージョンって言うからどんなに壮大なのかと思ったらけっこう地味。ちょっとホルンみたいなアレンジを入れてるところがダウンズのセンスだろう。

以上12曲、購入してから10数回聴いてのレビューでした。全体としては前作オメガと同じマイクパックスマンのプロデュースということでボトムのしっかりしたクリアな音像と曲のアレンジ、全編メロディアスと、オメガの延長上と言っていいだろう。曲の並びがオメガの方が整合感があって良かった気もする。このXXXはもちろん素晴らしい傑作だと結論しているが、曲の並びを変えればまた更に良い印象になったかも知れない。また、デビュー作から30周年だからって1st的な複雑にテクニカルな曲を期待する必要はないだろう。あくまでも今のエイジアである。

上記はあくまで拙個人の感想だが、せっかくなので最後に限定盤付属のメイキングDVDから、印象に残った、いや面白かった、メンバーのコメントを引用して本作への理解を深めてみたい。

スティーブハウ : 「ジョンとジェフが納得できなければダメだ。」
ハハハ、誰もが感じているし分かっているけどハウ爺、正直過ぎ(笑)。

ジョンウェットン : 「ジェフがフェイスフルのアイデアを持ってきた時、安っぽいと思ったがそれもアリなんだ」
何とも言えない半笑いな表情でコメントする先生、最初はホントに気に入らなかったんだろう(笑)。

ジョンウェットン : 「私たちのアルバムには通常、テーマがあるが今回のアルバムは強いて言うなら "希望" だ。」
このコメントが今作の印象を端的に表しているでしょう。

スティーブハウ : 「これからもエイジアをずっと続けていけることを願う。」
ジェフダウンズ : 「私たちには長年ついてきてくれた素晴しいファンがいる。彼らが喜んでくれさえすれば私たちは満足だ。」
カールパーマー : 「年々ますます力をつけているし、まだやりたいことがたくさんある。」

というわけで、30周年祭りで終わりではなく、まだまだエイジアには先があると信じたい。

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