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2013年7月28日 (日)

ASIA "ALPHA WORKING TAPES" レビュー

「あの写真」の中身が遂に陽の目を見るのか? そんなワクワクドキドキ感を感じながら盛り上がれるブートレッグCDが突然登場。

エイジアの超名作、アルファのスタジオレコーディング途中?と思われる超貴重音源ブート "ALPHA WORKING TAPES Studio Rehearsals 1983  ~2013 Digitally Remastered Edition"

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収録曲は以下の9曲。

1. My Own Time
2. Open Your Eyes
3. Never In A Million Years
4. Midnight Sun
5. The Smile Has Left Your Eyes (extended version)
6. Daylight
7. The Last To Know
8. True Colors
9. The Heat Goes On

こういったブートがいつか出て欲しいとは思っていたがレーベルやスタジオが厳重に管理しているのか、この手の音源はこの約30年間ほとんど出てこなかった。トレヴァーラビン入りのデモ音源2曲の流出があったくらいで。昨年の詠時感30周年記念BOXに期待したが願いは叶わず。

今回どういった流出経路をたどったのか、またそもそもこの音源がどういう位置づけの音源なのかも今は分からない。内容を聴きながら想像するしかない。エイジア公式バイオ本、「あの写真」が載ってるギター楽譜本、そして発売された公式盤を参考にしながら考察を進めてみる。

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既に5周ほど繰り返し聴いてみたが、ブートメーカーインフォではスタジオリハーサルとの位置づけをしたようだがそれも少し違う気がする。カールパーマーのドラムスティックによるカウントから始まっているのでそうなのかな思わなくもないのだが、メンバーみんなで曲作りリハしてる模様を録音して・・・、って感じではないから。各曲は明らかに曲の構造、構成が出来上がっていて所謂バッキングトラックの趣きを感じる。カールのドラム、ジョンウェットン先生のベースに関しては正規盤と相違無い(The Smile Has Left Your Eyes を除く)。スティーブハウのギターはまさにバッキング程度。曲の進行に合わせてコードを弾いている。あらゆる場面で絡み付くハウ爺独特のギターフレーズはほとんど無い。ジェフダウンズのキーボードはバッキングに加えて一部キーボードソロがすでに加わっている。そして先生のヴォーカルはまだ歌詞が完成していないらしく、大半が「ラララーー」とか「ルールルー」というような、ヴォーカルメロディだけを付けたガイドヴォーカル状態。

上掲の公式バイオ本におけるジェフの証言にもあるようにアルファに向けての曲作りは82年後半時点からウェットン/ダウンズの作曲チームによる曲作りが進められ、そこにハウ爺とカールの存在は無い。1stのように作曲しつつ長期間に渡ってメンバー4人でリハーサルを繰り返したのとは違い、ウェットン/ダウンズ曲がスタジオ入り時点でほぼ完成していたのであろう。これらの曲に若干のアレンジを加えながら早速レコーディングを進めて行き、最終的にマイクストーンが壮大な音の壁状態のミックスを施したわけだが、今回陽の目を見たこのブート音源はそのレコーディング過程の初期~中期の頃のテープを誰かがテープコピーしていて、それが何らかの経路で流出した、とまぁそんな感じではないかと。つまりこの音源は1983年カナダでのレコーディングにおけるスタジオ作業途中のある一時点のドキュメントとして捉えれば良いのである。

さて、それでは恒例の(笑)、全曲レビューいきます!!

1. My Own Time

イントロのキーボードは公式盤でのあの壮大なオーケストラルなキーボードではなくオルガン系の音。ハウ爺のギターはアコギではなくエレキでアルペジオ。先生のヴォーカルはサビのみ歌詞がついていてあとはすべてガイドヴォーカルのみ。メロディは完成している。最近のライブでの演奏はこの状態のヴァージョンに近い気がする。

2. Open Your Eyes

ドラムスティックのカウントから始まる。イントロのキーボードは既に公式盤の音に近い。公式盤ではシタールのような音を出していたハウ爺のギターはここでは普通のエレキ音。ヴォーカルは出だしとサビ、ブリッジ部分は歌詞が出来上がっているようだ。あとはガイドヴォーカルで。ハウ爺のギターはここではバッキング的なコード弾きのみ。

3. Never In A Million Years

バイオ本でハウ爺が、「(レーベルの重役達が最終ミックスで)Never In A Million Years のイントロを好きじゃないと言って叩き切ってしまった・・・」というようなことを言っていたので、もしかしてこの音源では「叩き切られたイントロ」なるものが存在するのでは?とマニアックな期待をしてしまったが、何にもありませんでしたよ(笑)。公式盤とほとんど変わらないイントロギターが聴けるって。歌詞は出来上がっていたようで先生のヴォーカルも若干重ね始めている部分もある。分厚いコーラスはまだ無い。キーボードはほとんどエレキピアノのバッキング状態のみ。

4. Midnight Sun

82年ツアーで既に演奏されていたので歌詞は完成している。曲の構成は82年ツアー時のアレンジに手を加え、この時点で公式盤と同じ構成に作り替えられているがヴォーカルメロディには82年ツアー時のメロディが少し残されていて公式盤と若干異なる。

5. The Smile Has Left Your Eyes (extended version)

バイオ本でジェフが、82年ツアーで演奏していたMidnight SunとThe Smile Has Left Your Eyesについて、アルファに向けてのレコーディングで前年ライブと同様の演奏で録音しようとしたがレコード収録時間の関係で、より簡潔にする必要があった、というようなことを言っていた。上記のMidnight Sunは既に再構築しなおしたヴァージョンになっているが、こちらのThe Smile Has Left Your Eyesは前年ツアー同様の2部構成で録音している。構成を直す前の状態であったのだろう。この録音時点で1部2部のつなぎの流麗なギターソロはまだ録音されていない。この後録音はしたのだろうか、それともその前に再構築しなおしてしまったのだろうか、妄想が膨らむ。

6.  Daylight

これもドラムのカウントから始まる。イントロのキーボードは既に公式盤と同じ壮麗な音。先生のヴォーカルはサビ以外はガイドヴォーカルのみ。メロディは出来上がっている。ハウ爺のギターもほぼ公式と変わらない。もっともこの曲でギターの出番はほとんど無かったが。気になったのが中間部の、公式盤ではとても印象に残るキーボードソロの部分。この音源時点ではあの美しいメロディをキーボードではなく先生のガイドヴォーカルで奏でている。ということはもしかしてこの部分にも歌詞を付けるつもりであったのだろうか? これまた妄想が膨らむ。

7. The Last To Know

ドラムスティックのカウントから始まる。ヴォーカルはサビ以外はガイドヴォーカル。メロディは完成している。ハウ爺のギターは全く聴こえない。歌入れ前の以前にギターのオーバーダブすらまだであることがよく分かる。

8. True Colors

これもドラムスティックのカウントから始まる。ヴォーカルはサビ以外はガイドヴォーカル。ここでもハウ爺のギターは全く聴こえない。このあたりで改めてハウ爺のギターの存在感というのが逆説的によく分かる。曲の構成に関わってないにもかかわらず印象的なギターメロディを絡ませることについてハウ爺は天才的だったのかもしれない。

9. The Heat Goes On

ドラムスティックのカウントから。キーボードはエレピの音だけで構築。ギターはバッキングのみ。ヴォーカルは公式の2番?の歌詞がいきなり登場。また各所で歌詞違いというか歌詞がまだ確定していない感じがよく分かる。全体的にまだバッキングトラック状態なのにハモンドのカッコいいソロプレイがここでは既に録音されている。始めからそのつもりで作曲されていたのかも知れない。

以上、いずれにしても興味深すぎる音源である。何度でも繰り返し聴きたくなる資料音源としても価値も絶大。それから言うの忘れてたけど音質も良い。この音源自体は経年劣化があったようだが本ブートではリマスターしたとのことでストレスなく聴ける。

最後に「あの写真」の音源だったのかどうかである。「あの写真」とは上掲のギター楽譜本に載っているコレ(↓)。

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スタジオに保管されているのであろうレコーディングテープの数々。エイジアマニアが妄想を膨らませまくるこの写真、だれか泥棒に入れ(笑)、とかこのテープコピーがどっかから流出してほしいとか、不穏なことばかり考えてしまうこの写真、残念ながら今回のブートは我々エイジアマニアが夢見てきたこのテープのコピーでは無さそう。ここに載っている 'Jodi' Barren Land' 'Keep The Love Alive' が今回のブート音源に入ってないのはどういう訳か。'Don't Cry' や 'Eye To Eye' のようにレコーディング後半に作られたわけでは無いのだから今回の音源に入ってても不思議ではないんだけど。エイジアマニアの夢見る狂おしい日々はまだまだ続くという事ですな。

しかし、今回のブートはエイジアマニアにとっては歴史的発掘音源であることは断言できる。ブートを煽るのは本意ではないが年季の入ったエイジアファンなら必須でしょう。

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