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2015年3月22日 (日)

TOTO XIV ~ 聖剣の絆 (TOTO "XIV" )

歓びをもって迎えるはずだったTOTO待望の新譜、その発売のタイミングで闘病中だったベーシスト、マイク・ポーカロの訃報がもたらされた。結果としてマイクポーカロへのDedicate作としての意味合いも含まれることになってしまったTOTO XIV~聖剣の絆。そういった思い入れを持って聴かざるを得ない気分の時もあるが、ここは出来るだけ冷静に単純に本作を取り上げてみたい。

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商品としてはとりあえず国内盤の紙ジャケ仕様で購入。キングレコードさん恒例のメーカー特典クリアファイル付。

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Tシャツ付BOXもあったけど、Tシャツ商法にはあまり興味が無いのでパス。早速内容だが既に7回くらい通しで聴いた。短期間で7回も通しで聴けるくらいだから良い意味で聴きやすく興味深く充実の新作だと思う。相当気に入ったの全曲レビュー行きます。

① Running Out Of Time
イントロの出だしからルカサー色全開のスリリングでカッコいいギター中心のインストセクションでスタート。あぁ~、90年代以降のスティーブルカサーのソロなのかTOTOなのか区別のつきにくい傾向が今作も続くかと一瞬思ったが、サビへと向かって雄々しく展開されるジョセフウイリアムスのヴォーカルメロディが盛り上がっていくところでホッと安心。いや、安心どころか非常に素晴らしい盛り上がり方をする駆け上がるヴォーカルメロディが最高。全曲でドラムを叩くキースカーロックのプレイもタイトかつ変幻自在で、その部分を見逃すと実はこの曲の良さが分からないかも知れない。とてもフィットしている。

② Burn
前曲とは一転、デヴィッドペイチのピアノによる陰鬱な始まり方をするこの曲はサビにおいて雄々しく重厚に盛り上がる。ドラマティックな展開を持つのでイントロだけ聴いてスキップしてはならない。ドラマティックTOTOが味わえるのである。

③ Holy War
軽快なギターカッティングによるイントロ、ルカサーのソロ1stあたりに入っていそうなコンテンポラリーな始まり方をしてヴォーカルが入るとそのままキャッチーなサビへ。キャッチーさと言う意味では本作の中では一番耳を捉える作風で気持ちよく聴ける。天気の良い日に聴きたい曲。こういうの、好きです。

④ 21st Century Blues
コレはもう・・・・タイトルからしてそのまんま。ルカサーのソロでやってくださいよぉ~って感じのブルージィな曲。ルカサーこういうの好きなんだなぁ。私はTOTOにブルーズは不要派でして・・・(笑)。

⑤ Orphan
確か本作から最初にPVが公開されたリーダートラックになるのかな。PVを見たから余計にそう思うのかも知れないけど慌ただしい都会の夕景が思い浮かぶイントロ、そして疾走系の展開がカッコいい。メロディも聴きやすい。リーダートラックだけにTOTOとしては今作の挨拶代わりの一発であり、聴く方もこの曲を本作の入り口とするだろう。私個人的には1曲目がいきなり気に入ってるのですんなり1曲目からは入れるけど。

⑥ Unknown Soldier (For Jeffrey)
ちょっと重ためなバラード。これも結構ドラマティックな展開を持つ。のんびり気分よく聴き流せる曲では無いな。腰据えて聴かなければならない、そんな感じの曲。

⑦ The Little Things
スティーブポーカロ作、リードボーカルもスティーブポーカロ自ら。80年代のIV~セブンスワンあたりが好きな私なんかからすればこういう小洒落たAORタイプの曲が1曲入ってるだけでTOTOの作品としてとても安心できる。なんか90年代以降のTOTOってルカサー色が強くてハード目な印象が強かったから。優しく綺麗なメロディが気持ちを和ませる。ファーレンハイトに入っていたLea的な曲かな。それにしてもスティーブポーカロのヴォーカル、結構上手いやん。最初聴いたときは普通にジョセフが歌ってるのかと思った。

⑧ Chinatown
ピアノとシンセによるイントロがなんか映画のサントラ的でいかにもペイチが作ったんだなぁって分かる曲。ひとしきり盛り上がったメロディのあとは一転してこれまたお洒落なAOR的展開となる。うんうん、イイよこういうの。これもTOTOだから。

⑨ All The Tears That Shine
これまたペイチ作の、優しいメロディのAORタイプ。いやぁ~癒される。疲れてる時に聴くとイイ。ただ、AORタイプが3曲続くのはどうなんかな? 良い曲だし私は明らかにこういう曲は好きなんだけど。

⑩ Fortune
ジョセフ作の曲。ジョセフがバンドに持ち込んだからにはこれこそメロディアスなAORタイプなのかと思ったら案外そうでもない。重ためのシリアスなメロディが続く。

⑪ Great Expectations
来ましたねぇ、あからさまなプログレ曲。次々と目まぐるしく展開が変わり今作のTOTOを象徴するようなドラマティックな曲。コレはカッコいい。プログレと言っても重たくはなく、アレンジ、メロディ共に飽きないような工夫がされていて、プログレなのに聴きやすい。TOTO風のプログレは初期にもあったと思うけどそれらの大陸的アメリカンプログレ曲とはまた一味違う、かといって英国、欧州風プログレとも違う、新鮮なTOTO風プログレ。いやコレは素晴らしい。出来ればもう2~3分長く盛り上がってくれても良かったくらい。少なくともイエスのヘブン&アースより遥かに傑作です(そこと比較するか、笑)。

(国内盤)Bonus Track
⑫ Bend
このスティーブポーカロ作によるボーナストラック、いかにもボートラって感じで、別になくてもイイくらいの曲とも思えるのだが、どうやらこの曲、スティーブポーカロが闘病するマイクポーカロを思って作ったっぽい。そうと分かるとこれはヤバいでしょ。この新作への聴く側の思い入れと言うか意味合いが変わってしまう。泣いてしまうやないか。

以上、全体としての印象はとにかくドラマティックTOTO。過去作の何かに似ているかどうか、という聴き方をしてしまいがちではあるが、じゃあ何かに似ているかと言われればそうでもない。あくまでもその後のTOTOというか、メンバーが名作IVと次に来てもおかしくないというならそれはそうなのかも知れない。メロディアス、ハード、ブルーズ、AOR、プログレと多彩な音楽性が網羅されているという意味ではいかにもTOTOらしい。そのTOTOらしさを感じることが出来るのが嬉しいし、どれかの傾向に偏ってないところが今作の評価を高めることにもなるであろう。少なくとも前作、FALLING IN BETWEENよりは聴く機会が多くなることは間違いない。家でじっくり聴くも良し、通勤中に聴くも良し、クルマでドライブのお供にするも良し、お洒落なシチュエーションで聴くも良し。様々な局面に必ず1曲はフィットする。音質的には80年代のシャッキシャキの音ではなく耳触りの良いクリアな音で個人的には好感を持っている。あえて言うなら曲順をちょっと工夫すればもっと印象が良くなったかなと言う気はする。せっかくの聴きやすいAORタイプの曲が後半に3曲続くのが、もうちょっと並びをバラせばもっと良かったような。

2008年に実質解散状態だったはずのTOTOが、活動を再開したのは闘病するマイクポーカロ支援が目的だったわけだから、マイクが逝去した今、現在のTOTOがどのようなモチベーションで活動を継続するのか、あるいは目的がなくなった以上は何らかの終幕を考えてしまうのか、その辺がちょっと心配ではある。とりあえず今は届けられたこの新作を色々な思い入れを持って堪能したい。

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