« MR.MR. "PULL" | トップページ | 今日は一日プログレ三昧 The 4th (NHK-FM 9月21日 午後0時15分~午後10時45分) joshoつぶやき抜粋 »

2015年9月17日 (木)

3(KEITH EMERSON, CARL PALMER, ROBERT BERRY) "LIVE IN BOSTON"

かつてアントニオ猪木は2台のバスを走らせようとした。1983年、今の新日本プロレスブームとは比較にならないくらいの大ブームで人気絶頂、まさに全盛期で我が世の春を謳歌していた新日本プロレスに起こった内紛劇の大波を被った猪木は、内部クーデターにより自らが設立した新日本プロレスの社長の座を追われた。僅か3ヶ月後にテレビ朝日の後ろ盾を受けて社長には復帰したものの内紛の余韻が燻り続けていた。そんな中、84年に新日本プロレスから分派した新団体ユニバーサルプロレス(UWF)が姿を現す。当時は不透明であったが後にこの新団体UWFには猪木自身が一枚噛んでいたことが関係者の証言により史実として明らかになる。商魂逞しい猪木の目的の一つは2台のバスを走らせてダブルで儲ける、簡単に言えばそういうことになる。2台のバスの内訳は以下。

①号車 : 新日本プロレス & テレビ朝日
②号車 : UWF & フジテレビ

ところがこの目論見は②号車からフジテレビが降りてしまったことで暗転し頓挫。猪木の目的は未達のまま猪木の手を離れた②号車のUWFは異なる方向へ変質し、肝心の①号車の新日本プロレスも衰退に向かってしまう。この後の史実の裏側についてはこのブログの主題ではないので割愛する。

さて、偶然にもちょうど同じ時代に音楽界のしかも我らがエイジア界隈で似たような事例が起きた。1982年に記録的大ヒットで華々しいデビューを飾ったエイジアが我が世の春を謳歌していたはずの翌83年、2ndのアルファの売上とツアーのチケット売上不振によりアル中を抱えるジョンウェットン大先生が解雇された。ところが僅か数ヶ月後の84年初頭にジョンウェットン復帰、同84年9月には鋭く対立するスターギタリストのスティーヴハウ脱退という内紛劇の末にハウとスティーヴハケットの双頭バンドGTRが姿を現す。この時、2台のバスを走らせようとした人物は誰か。70年代イエス、そしてエイジアの敏腕マネージャー、ブライアンレーンである。商魂逞しいブライアンレーンの目的は、エイジア内紛の状況を逆手に取り2台のバスを走らせてダブルで儲けること、簡単に言えばそういうことになる。2台のバスの内訳は以下。

①号車 : ジョンウェットンのエイジア & ゲフィンレコード
②号車 : スティーヴハウのGTR & アリスタレコード

まず②号車のGTRは86年に見事デビューアルバムで成功を収めた。しかし折角の成功にもかかわらず双頭の片方のスティーヴハケットが②号車から降りてしまう。ブライアンレーンはハケットの代わりに有望な若手のロバートベリーを②号車に乗せて第2期GTRとして継続を図るが途中で頓挫、②号車は停車してしまう。一方の①号車の方はと言えばエイジアの渾身の力作アストラがアルファにも増しての売上不振で途中停車してしまった。何とかしたい商魂逞しいブライアンレーン、①号車にカールパーマーを残し、EL&Powellからコージーパウエルに逃げられてしまったキースエマーソンを同乗させ、更に一旦②号車に乗せていた若手ロバートベリーを②号車から降ろして①号車に乗り換えさせた。これにて①号車を内訳を以下の様に修理した。

①号車 : 3(スリー) & ゲフィンレコード

こうして88年に再発進した①号車であったが残念ながらブライアンレーンの奮闘空しく、3は大きな成功を収めることは出来ず再び停止してしまった。ブライアンレーンが必死で再発進させた①号車の停止目前の貴重な記録が今回のブログの主題の3(スリー)の2枚組ライヴ盤である。前置き長いって?(笑)

Img_1734_640x480

なんか私の中では3(スリー)と言えば苦闘するブライアンレーンっていう、そういうイメージが真っ先に浮かんでしまうのである。ロバートベリーの才能を前面に押し出したそのサウンドは産業ロックそのもの。味付けをキースエマーソンがやりましたって感じでEL&P~EL&Powell~3(スリー)という系譜に並べるには若干無理のある産業ロックサウンドは当時リアルタイムで聴いたときはあぁ厳しいなぁと思ったものだった。今になって時代性を気にせずに聴くと非常に良く出来たプログレ風味の産業ロックとして、何のことはない私の大好物ではないかと思えてしまうのはちょっと調子が良すぎるかね。

内容に関してはFM放送音源でブートでも出ていた音源。これがPre-FMマスターであれば嬉しいんだがそこはちょっとわからない。ラジオ放送用のトランスクリプションディスクからDJコメント部分を取り払っただけのような気もするし。でも一応フェイスブック上ではエマーソンもベリーも今回のCDを喜んで紹介しており、そういう意味では公式盤と言って差し障りは無さそう。演奏曲は3(スリー)のアルバム曲中心に、オープニングと中盤と終盤にEL&Pの有名曲を配するというファンからしたら期待通りのセットリスト。

Img_1735_640x480

ベースを弾くベリーに加えてサポートギタリストとコーラスシンガーを加えて万全の布陣で展開される演奏も全く問題なし。例によって走り気味のカールパーマーのドラムはともかくとして。曲がりなりにもメンバー公認で貴重なライヴ盤が発売されたことは素直に喜びたい。

ロバートベリーの才能がこのまま埋もれていくのが勿体ないと思っているのでこのような発売がロバートベリー再浮上の何かのきっかけになるともっと嬉しいんだけどな。ちなみにロバートベリーが幻の第2期GTRやEL&Pへの提供用に書き溜めていた楽曲群は95年に "PILGRIMAGE TO A POINT" というタイトルでベリーのソロアルバムとして残されている

Img_1736_640x480

自主制作レベルの音質ではあるが楽曲の充実度は素晴らしく未だに私の愛聴盤である。

というワケで3(スリー)の話がしたいのかブライアンレーンの話がしたいのかよく分からない内容になってしまったが、本稿での猪木とブライアンレーンの2台のバスを走らせた話から勉強出来たことがある。

「二兎を追う者は一兎をも得ず」

ハハ、失礼しました~。
と言っておきながらブライアンレーンの名誉のために蛇足ながら付け加えておく。2台のバスのうち折角アリスタレコードに乗ってもらった②号車について、第2期GTR崩壊後に修理を施して以下のようにした。

②号車 : ABWH & アリスタレコード

②号車にスティーヴハウをキープしつつ今度はジョンアンダーソンと復縁して70年代のイエスの仲間を②号車に乗せて、ガッチリ稼ぎ、更には8人イエスにまで展開して大儲けしたところはさすがだなと。昨年のリックウェイクマンのソロピアノ来日公演のパンフにブライアンレーンの名が記載されていたそうで老いてなお抜け目の無さがオイシイ人物である。

|

« MR.MR. "PULL" | トップページ | 今日は一日プログレ三昧 The 4th (NHK-FM 9月21日 午後0時15分~午後10時45分) joshoつぶやき抜粋 »