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2015年9月30日 (水)

「ロジャー・ウォーターズ ザ・ウォール」コンサート映画 9月29日 限定公開(ROGER WATERS THE WALL IN CINEMAS WORLDWIDE TUEDAY 29 SEPTEMBER @ イオンシネマ京都桂川)

1988年3月、大阪のとある私立大学の2回生だった私は生まれて初めてロックコンサートというものを体験した。それまでプロ野球とかプロレスは観戦に行ったことはあったけどロックコンサートは一度も行ったことが無かった。何度も言ってきたが83年にエイジアのアルファから洋楽に入っていった私は当時の全米TOP40クラスの産業ロックをラジオで沢山聴いてエアチェックしてカセットテープに録音し、レンタルレコード屋でレコードを借りたり友達と貸し借りしたりした。そのうちプログレに興味を持ち、大学生になってプログレに深入りし始め、88年3月といえばCDレコードショップでバイトを始めた頃である。

会場は大阪城ホール。ステージには見た事も無いような巨大な円形スクリーンが配置されクリアな映像がバンドの音と見事にシンクロしていた。コンピュータ制御された照明装置が一糸乱れぬ生き物のように細かく動いてステージを華やかに彩る。大阪城ホールの館内後方から意味も無く飛行機の模型がステージに向かってきて小さく爆発した。アブドーラザブッチャーの曲の演奏中には巨大なブタの風船が登場して意味も無く宙を移動していた。コンサート終盤にはディスコのチークタイムみたいに意味も無くミラーボールがキラキラ輝いて回転していた。

これが私のロックコンサートの初めての体験であった。言うまでもない、当時フロイドサーカスと揶揄されたピンクフロイドの16年ぶりの来日公演である。それはロジャーウォーターズの居ない、デヴィッドギルモアが主導するピンクフロイドだった。コンフォタブリーナムはメロディの綺麗な浮遊感のあるバラードやなぁと思った。ランライクヘルは踊りながらピョンピョン飛び跳ねながらめっちゃ盛り上がった。次の日、CDレコードショップのバイトの出勤で店長から「どやった?」って訊かれて、「でっかいスクリーンに映像が映し出されて、照明が凄かったですわ。小っちゃい飛行機の模型が爆発して、ブッチャーの曲の時にはでっかいブタが出てきましてん。ワハハハハ!」って答えた。これが感想の全てであった。ちなみにアブドーラザブッチャーの曲とはOne Of These Days(邦題:吹けよ風、呼べよ嵐)である。古くからのプロレスファンなら分かるよね。

あれから約27年、ロジャーウォーターズによるピンクフロイドの大傑作、ザ・ウォールのライヴを生のライヴではなくコンサート映画という形ではあるが体験できるという事で喜んで映画館に向かった。

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2015年9月29日の20時、この日限定で世界同時上映という事で日本では東京・板橋、横浜・港北、大阪・茨木、京都・桂川、この4ヵ所のイオンシネマで京都人の私としては超ラッキー。この作品はきっとそのうちDVDとかブルーレイとかそういう映像ソフトとして発売されるだろうけども、このウォールショーは来日公演が無いし、それならせめて設備の整った映画館の大きいスクリーンで、最新鋭の音響機材で視聴したいと思った。しかしコレ、宣伝が行き届いてないのが良くない。私でさえ偶然フェイスブック友達の呟きを見て初めて知ったくらいだから。2週間くらい前にチケット予約した時点でも席は山ほど余っている感じだったし。そして当日、桂川のイオンシネマに行ってみたら他の映画に比べて特に宣伝にリキ入ってないし、そもそもホントに上映あるの?ってくらい看板もフライヤーも何もない。上映時間直前になってやっと掲示板の一番下に地味に表示された。

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20時の10分くらい前に受付を済ませる。チラシ的なものを頂く。この映画の記念になるブツとしてはこれくらいかな。

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館内に入場。案の定ガラガラ。東京、横浜、大阪はどうだったんだろうか。
そして20時、イオンシネマのスタッフの人が前説を始める。なんか噛み噛みで失笑をこらえるのに苦労した。そして上映開始。コンサートそのものは全て収録されていて、部分部分ロジャーが戦争で亡くなった祖父と父親のメモリアルを訪問するロードムービー的な演出となっている。映画として意識された作りで、そういう前提でコンサートを観るから説得力もある。コンサート映像はそれはもう映画館で見るから迫力満点。音響設備も素晴らしい。実際のステージの巨大な壁や円形スクリーンに映し出される映像、バンドメンバーの演奏も最高。この作品の元々のコンセプトから少し新たな意味合いを加えて反戦のメッセージ性の強い演奏と映像の展開で、それを何とか理解しながら視聴すると非常に胸に響く。80年のピンクフロイドのウォールツアーにおけるアールズコートでの演奏映像に合わせて現在のロジャーが歌うところなんかジーンとくる。ウォールはサウンドだけをCDとかで聴いていると正直退屈だったりする。アナザーブリックインザウォールパート2を聴いたらとりあえずヘイユーに飛ばすか、とかコンフォタブリーナムはまだかとか思いながら聴いてしまいがちだが、こうして音と映像を駆使しつつとにかくメッセージ性が強いからぐいぐい引き込まれる。それが頂点に達したのはまさにコンフォタブリーナムであった。壁の上でギターソロを決めるのはデイヴキルミンスター。ジョンウェットンのバンドでギターを弾いてくれていた彼は今やロジャーウォーターズの大ツアーで準主役級の活躍である。そういう意味でも嬉しい。ここの場面はデヴィッドギルモアの特別参加した日の映像を使ってくれると嬉しいかなとか事前には思っていたが、この強いメッセージ性をストレートに感じるためにはキルミンスターで良かったんだと思う。これでギルモアの登場となったらウォーターズとギルモアの共演ということに興味が移ってしまって大事な意味が薄れてしまうかも知れないから。約2時間20分の上映が終わった時には言葉も無いくらい深い満足感であった。

27年前の88年3月、デヴィッドギルモア主導のピンクフロイド来日公演では、円形スクリーンの映像、爆発する飛行機の模型、巨大なブタの風船、コンフォタブリーナム、ランライクヘル、これらの演出演奏は意味の無いサーカスで見事なエンターテイメントだった。

そして今回のウォールコンサート、飛行機の模型が飛んできて爆発することもブタの風船が登場することも意味が込められていることを実感した。反戦の痛烈なメッセージが発せられて演奏されるコンフォタブリーナムではマジで涙を流し深く胸と打つ。ランライクヘルでは反戦の怒りを込めた勇気が湧き上がって震えるほど感動した。

今更これこそが本当のピンクフロイドなどと講釈を垂れるつもりはない。演奏演出を魅せて聴かせるギルモアフロイドもアレはアレでいいと思う。ロジャーウォーターズが表現する音楽は、かつてのフロイド時代のレパートリーを含めてロジャーウォーターズの思想性とメッセージを表現するための音楽であり別の道を歩んでいることが正解であるとさえ思えてしまう。これでいいのである。2006年からの狂気ツアー、2010年からのウォールツアーで巨大な興行的成功を収めているんだからロジャーもこのタイミングでソロアルバムを出せばギルモアフロイドやギルモアのソロ以上の成功を収めるのが目に見えているのに、それをしないのもまたロジャーらしくて良いではないか。

でも最近、新作のアイデアが浮かんできたとの事で早ければ2016年にはロジャーウォーターズの新作のニュースが聞けるかもしれない。楽しみにしていよう。

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