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2016年4月15日 (金)

KING CRIMSON "LIVE IN TORONTO"(THE KING CRIMSON COLLECTORS CLUB SPECIAL EDITION)

徹底的にブート商品や隠し録り音源及び映像を駆逐するのに血眼の尊師ロバートフリップ。とはいえ音源を聴きたいマニアの気持ちにはきっちり応えてしかも収益を上げるというとても正しい方法を実施してくれる尊師。そんな尊師から期待通りの作品がリリースされた。

昨年2015年12月の素晴らし過ぎる来日公演の記憶も新しい現行7人キングクリムゾンのライヴ1公演まるまる収録されたコレクターズクラブからの2枚組CD、2015年11月20日、カナダのトロントでの演奏が収録されている。

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収録内容は以下。

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昨年のツアーは宮殿からも演奏することが事前にアナウンスされていただけにセットリストは膨大となり、日替わりセットリストとなっていた。なのでこのトロント音源については例えばトーキングドラムとか戦慄Ⅱが入ってないとか、そういう声も出てくるのはやむを得ない。この日はたまたま演奏しなかったのだろう。コレクターズクラブ盤として大事なことは1公演まるまる収録で余計な編集を排除すること、これに限る。これでこそブートにまで手を出したいマニアを満足させるポイントである。

さて本作で何と言っても気になるのは音質とミキシングである。2014年ツアーからのミニライヴアルバム「ライヴアットオルフェウム」では微妙にツボを外した選曲で、それはまだイイんだがミキシングが何ともおとなしいと言うかトリプルドラムの存在が感じられず、7人いることの意味もあまり感じ取ることのできないライヴ盤となってしまっていた。当の尊師本人もDGMのサイトで公開している日記でライヴアットオルフェウムについて、7人クリムゾンの姿を捉えきれていない旨の、少し悔恨とでもいうようなコメントを残していた。そこで本作である。コレクターズクラブとはいえ正規にライヴレコーディングされた音源を公式発売するだけに最低限バランスを整える程度のミキシングはしているであろう。

数回聴いてみた印象であるが、曲にもよるけど十分にトリプルドラムであること、7人クリムゾンであることの存在が感じられる。特に戦慄Ⅰ、冷たい街の情景、レッド、スターレス、21st~辺りは顕著である。戦慄Ⅰだけでもワクワクする素晴らしさである。来日公演時にも感じたが、トリプルドラムの7人編成はこの曲の為にあったのではないかとさえ思えるくらいの素晴らしさ。ライヴアットオルフェウムがミキシングがショボく感じたのはもしかしたら選曲が7人の存在を感じにくい選曲だったからかなと個人的に思ったりもしたけどどうだろうか。また、これも曲によるんだが例えばレッドなんかはこのトロント音源と比べて日本公演時はまた異なったドラムの演奏だった気もする。そうだとするならそれこそクリムゾンらしい。演奏が日々異なっていた、あるいは進化していたと言えるのかも知れない。音源が無いので詳しくは分からないんだが。その反面、ヴルームは正直言って7人いる必要はあったのかなとか思ってしまったけど(笑)。特にサックス、要らないだろ(苦笑)、サックスが絡むことで漫画のBGMみたいになってしまって少し残念だぞ(笑)。サックスは70年代のクリムゾンクラッシックスでこそ威力を発揮する。

あともう一点、大事なポイントがある。このライヴCDを聴くにあたって2015年の来日公演を観ていたか否か、である。これも、もしかしたらって言い方で申し訳ないのだが、来日公演を観てなかったとしたら本作で7人クリムゾンやトリプルドラムの存在感を、大げさに言うほどは感じないかも知れない。やはり観ていたことが大事であったと思う。フロントにドラムが3台あることの存在感、3人が縦横無尽に絡みあう複雑さと迫力、それを目にしていたならば本作の音を聴いていても脳裏に残っているはずの残像が甦ってきて、より一層迫力を感じることが出来る。

もっと荒々しいミックスでも良かったかなという気がしないでもないが、来日公演の凄さを実際に生で目撃してしまった以上、それに勝る迫力はないので仕方ない。でも本作では十分に演奏の凄みは捉えられてると思う。ヴルームのサックス以外は(笑)。後は今年2016年後半にリリースが予定されているという各地のライヴ音源からベストトラックを編集していると思われる気合十分のライヴ盤がどんな選曲、音質、ミキシングで登場するのか、楽しみに待っていたい。

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