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2016年12月23日 (金)

U.K. "ULTIMATE COLLECTORS' EDITION" レビュー①:NIGHT AFTER NIGHT Extended version 編

さあ、始めますか、U.K.のコレクターズBOXレビュー。

UKファイナルの時と同じくエディジョブソンが何でも自分で仕切ろうとするものだから、制作は遅れるわ、完成したらしたで不良品があるからってパッケージの回収再制作とかするわ、発売したらしたで今度はファンクラブzealotsファンド予約で制作資金提供したにもかかわらず、一般販売で購入した人よりもzealotsファンド予約の私の方が商品が届くのが遅れるわで、不満や憤りがあちこちで噴出してしまい、極一部で思わぬ騒ぎになってしまうというケチというかオチが付いてしまった。完璧主義なエディ故に、リリースが遅れるのにはこちらも馴れているし、それくらいは半笑いで済ませるのだが今回はさすがに人生忍耐を旨とするホトケのこの私も少しイラついた(苦笑)。ウチに届いたのは確か10月下旬か11月アタマ頃だったと思うんだけど、この時点でも商品BOX本体は届いたけどzealotsファンド予約特典の、エッとなんだっけな、エディのサイン入りミュージックブックだっけな、それはそれで制作が間に合っていないとの事で、完成したら別途送るとの事であった。いつになる事やら・・・(苦笑)。取り敢えず国内アセンブル盤も発売されたようだし、ある程度は欲していた方々のところへは届いたかと思うので、いよいよ本作に関する記事を書いてみよう(未だ届いていない方々には申し訳ない・・・)。

U.K.の全てを総決算する18DiscのBOXなので、記事は何回かに分けて書く。何回になるかは未定(笑)。やる気が無くなったら、キングクリムゾンのスターレスBOX(レビュー①レビュー②)の時みたいに途中で終わるかも知れない(笑)。また、大好きなU.K.のことなので各回じっくりと執筆構想を纏めながら書きたいので、途中途中で他の記事やショートレビューを挟むことがある事を先に予告しておきます。

第一回目は何と言ってもナイトアフターナイトの拡大版。アビーロードスタジオにマルチトラックマスターテープが保存されているのが見つかった、との一報が知らされたのは確か昨年2015年4月28日の中野サンプラザでのエディジョブソン還暦祝いパーティだった。この時のエディとの懇談時に、ある方がエディから直接話を聞いたとの事をその場にいた私にも教えて下さったんだった。あの話がこうして公式発売という形で実を結んだのである。今回のBOXのレビュー記事はU.K.の歴史に沿って1stから順番にとも思ったけど、やっぱり本BOXを購入した人の多くが、まずはナイトアフターナイトの拡大版を最初に聴きたいだろうし、ご多分に漏れず私もBOXを開封して最初に聴いたのはナイトアフターナイトの拡大版である。これを既に休日ウォーキング時を中心に10回近く聴きまくった。

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BOX仕様としては、各作品は厚紙の台紙にDiscをセットしてあって、ジャケットやクレジットはブックレットにまとめて載せている感じ。上の写真は拡大版2CDとオリジナルバージョン1CDで計3CD。ナイトアフターナイトに関わるブックレットのページは以下。

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それでは収録曲順に、全曲レビューとまでは行かないけど細かく気になったところは徹底的にこだわって書いてみる。
(各曲について、水色がオリジナル版収録赤色が拡大版で追加収録

Disc 1

Night After Night
ナイトアフターナイトのオリジナル版と同じく、タイトル曲でCDスタート。この当時の実際のライヴはDanger Moneyがオープニングなのだが、この拡大版はオリジナル版に準拠した収録曲順にしたかったようで、このタイトル曲からとなっている。拡大版はマルチトラックマスターからボブクリアマウンテンによる新規ミックスという事で、この曲でも曲途中から明らかに鍵盤の音がオリジナル盤では聴き取り難かった部分が良く聴こえたりして、ミックス違いによる新鮮さを味わえる。音のバランスもエディのミックスではないので(笑)、とても良く、ふくよかで耳触りの良い素晴らしい音質。この時点で拡大版のクォリティの良さは確信できる。

Danger Money
実際には当時のライヴのオープニング曲だったオリジナル版未収録の本曲、いかにもライヴの始まりって感じで、壮大なイントロが始まった時の歓声がイイ。明らかに若い女性の「キャーーッ!」みたいな黄色い歓声が聞こえて、事前に主催者から仕込みのアナウンスがあったにしても、この黄色い歓声は当時のU.K.がいかに女性からのアイドル的な人気を得ていたかを雄弁に物語る。ワタシ的にはこのオープニングの黄色い歓声がとてもツボ。79年当時のDanger Moneyのライヴ演奏については、これまでブートでしか聴けなかった。参考までに過去のブートの代表的なものを物置から引っ張り出してみた。まずは何と言ってもコレ。

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めっちゃくちゃ懐かしい90年代前半、ブートCD創成期にバカ売れしたパリジャンランデヴー。当時としては画期的な、トリオU.K.のライヴがサウンドボードで聴けるという商品で、もちろんオープニングはDanger Moneyである。後にコピー盤やジャケ違いの2ndプレスみたいなのが出た記憶があるけど、当時はそれほどまでに重宝したブートである。サウンドボードと言ってもモノラルで、音の静かな部分ではテープのヒスノイズが目立つという代物ではあったが、それでもこれしか無かった当時は宝物のようなブートだった。後にステレオ盤のブートが出て来て、さらに79年2月11日パリ音源と言われていたのが、数年前にネットで出回ったステレオサウンドボードのUpgrade盤では、実はこのパリ音源は79年3月13日である事が明らかになって、眼からウロコだったのを思い出す。しかもその際に同日のステレオオーディエンス録音音源がネットで出回り、これがまた驚異的な超高音質。個人的にはトリオU.K.の非公式ライヴ音源では、このパリ音源オーディエンス録音が最高音質として、これを超えるトリオU.K.ブートは無いとまで思っている。現在ではパリ音源の決定版ブートは、ステレオサウンドボード録音としては以下のブートCD、

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ステレオオーディエンス録音としては、上記商品のオマケ扱いだった以下のブートCDRだと思う。

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オマケ扱いだったのが勿体なさ過ぎる。繰り返すけど私としてはこの79年3月13日パリのオーディエンス録音こそがサウンドボード音源を超えた、トリオU.K.の最高音質音源だと思う。これこそプレスCDのブートとして出すべきじゃないのかなって思うくらいだ。

話が大いに逸れたが何はともあれ、こうしてDanger Moneyの正規ライヴレコーディング音源が素晴らしい音質で聴けるのは夢のようでもある。

The Only Thing She Needs
この曲もオリジナル版未収録である。2ndアルバムからの曲は、オリジナル版ナイトアフターナイトでは短めの曲が中心の収録で、本曲やCarrying No CrossといったトリオU.K.のプログレ曲がオミットされていただけに大注目の音源である。79年当時の勢いもあり、かつ正確無比な演奏が堪能できる。しかし、しかし、ここで私の大注目は、演奏終了後のジョンウェットン大先生の日本語MCである。先生の日本語MCと言えば勿論、

「ドーモ、キミタチサイコダヨ」

これに極まるのであるが、実際の来日公演ではThe Only Thing She Needsの演奏後に最初の日本語MCがあり、この拡大版ではその日本語MCがフル収録で堪能できるのである。それは以下。

「コンバンワ。ゲンキ?」(語尾が上がっている)
「ニホンニ、キテ、ヨカッタヨ。」

これが聴けるだけでドツボ。私はもう昇天せんばかりである。そう、79年U.K.来日時の先生の日本語MCは「キミタチサイコダヨ」だけではないのである。その事実が公式に明らかになっただけでも、日本人にとって拡大版の意義は大アリである。

ちなみにナイトアフターナイトは79年5月30日の中野サンプラザと、同年6月4日の日本青年館からの音源で制作されたとのことであるが、この「コンバンワ。ゲンキ?」「ニホンニ、キテ、ヨカッタヨ。」は、どちらの日の音源から採用されているのかをオーディエンス録音のブートを聴いて調べてみた。参考ブートは以下の写真。

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写真左上:79年6月4日、日本青年館(音質イマイチ)
写真中央:79年6月4日、日本青年館(上記と別音源、高音質)
写真右下:79年5月30日、中野サンプラザ(高音質)

結果、79年6月4日、日本青年館では「コンバンワ。ゲンキ?」は言っているが「ニホンニ、キテ、ヨカッタヨ。」は言っていない。また、「ゲンキ?」の語尾が上がっていない。

それに対して79年5月30日、中野サンプラザでは「コンバンワ。ゲンキ?」「ニホンニ、キテ、ヨカッタヨ。」と言っていて、イントネーションの感じも同じ。

という事でこのMCは79年5月30日、中野サンプラザのマルチトラックマスターから採用したようだ。

それにしてもエディ、よくぞこの先生の日本語MCをフル収録してくれたものである。何という完璧主義。エディの完璧主義はこういうところで生きたのである。素晴らしい。

Nothing To Lose
これはオリジナル版にも収録されているが、やはり若干のミックスの違いを感じることが出来る。そしてオリジナル版ではこの曲の後に「キミタチサイコダヨ」と言ってることになっているが、拡大版ではそのMCが無い。後で出てくる。

Bass Solo
これまたよくぞ先生のベースソロコーナーをキッチリ収録してくれたものである。エディの完璧主義万歳である。ゴリゴリ、ブリブリの先生のベースプレイが聴ける、また途中からはテリーボジオのドラムとのコンビネーションになり、エディの鍵盤が無い分、先生のブリブリベースと、テリーのパワフルなドラムが生々しい音質で収録されていて、決して地味な時間つぶしでは無くて、存分に楽しめる。

Thirty Years
そう言えばこの曲も当時のライヴでやってたんだなぁって、今更ながら気付く。これもオリジナル版には未収録。

Carrying No Cross
拡大版では、オリジナル版では外されていた長尺プログレ曲が遠慮なく完全収録されているのが嬉しい。後半部のスリリングな演奏はいつ聴いても見事。ブートではなく正規商品として、この最高音質で聴けるのは本当に有難い。

Rendezvous 6:02
この曲において、特にいう事は無いのだが(コラ、笑)、オリジナル版ではNothing To Loseの後で言ってることになっていた「ドーモ、キミタチサイコダヨ」は、実際にはNothing To Loseの後ではなく、このRendezvous 6:02の演奏終了後に言っていたのが拡大版で明らかになった。また、サンプラザと青年館のどちらで言っているのかも一応先述のブートで確認してみた。どうやら「ドーモ、キミタチサイコダヨ」の方は79年6月4日、日本青年館のブートで言っており、79年5月30日、中野サンプラザのブートでは確認できなかった。という事で日本青年館のマルチトラックマスターからの採用という事になる。

As Long As You Want Me Here
前曲から続いて「This is new song」とのMCで本曲に入っているところからこれも青年館のマスター使用と思われる。

ココまでがナイトアフターナイト拡大版のDisc1となる。つづいて以下からDisc2。ちょっとまとめて記述する。

Disc 2

Alaska
Time To Kill

Violin Solo
Time To Kill - Reprise
By The Light Of Day - Part Ⅱ

Presto Vivace
Drum Solo
In The Dead Of Night

この様にDisc2にはAlaska~Time To KillとIn The Dead Of Night組曲を繋げて収録している。実際の来日公演では曲順は全く異なっており、

By The Light Of Day - Part Ⅱ
Presto Vivace
Drum Solo
In The Dead Of Night

はライヴの前半で、Rendezvous~As Long As~Thirty Years~Carrying No Crossを挟んで、

Alaska
Time To Kill
Violin Solo
Time To Kill - Reprise

はライヴ後半で演奏している。今回の拡大版制作にあたっては、実際のライヴの曲順にはこだわらず、Disc1は2ndアルバム以降の曲中心、Disc2は1stアルバム中心というような意図をもって収録曲順を再構成したと思われる。その意味では1st曲中心としたこの拡大版Disc2は、これでとても自然な演奏の流れで納得のいく曲順ではある。ビルブルーフォード、アランホールズワースの居たオリジナル編成とは違い、ジョブソン、ウェットン、ボジオのトリオ編成で1stアルバムを編成し直してみる、そんな感覚で制作したのかも知れない。そんな想像を働かせるのも面白い。

Caesar's Palace Blues
アンコールラストは定番のこれで。実際の来日公演ではこの前にNight After Nightを演奏してから本曲で大団円となる。

以上、オリジナルのナイトアフターナイトでは、今までアレしか公式作品がなかったのだからそれでもトリオU.K.の破壊力を十分楽しめたのだが、やはり長尺曲もカット無しで収録した拡大版は、まさにファンにとって待望の作品でありエディからファンへの最後にして最高のプレゼントであろう。ましてやメンバーのソロコーナーのみならず、先生の日本語MCも完全収録である。「コンバンワ。ゲンキ?」「ニホンニ、キテ、ヨカッタヨ。」は私の脳内で繰り返し再生されてるよ。

このナイトアフターナイト拡大版を収録したコレクターズBOX、ここでしか聴けないプレミア感を持たせたかったのは分かるんだけど、せめてナイトアフターナイト拡大版だけでも単品発売しても良いんじゃないの?って思うのは私だけではないだろう。それほど一人でも多くの人に聴いて欲しい素晴らしい作品であったことを強調したい。

最後に、今回のコレクターズBOX制作に際し、当初はアナログマスターを使った1st、2nd、オリジナルのナイトアフターナイトの3作に加えてボーナスで4人U.K.のフィラデルフィアFMライヴ音源を収録した、せいぜい4枚組のBOXにするという構想だったはず。それがあれよあれよという間に規模が大きくなって、結果18Discという事になった。完璧主義者エディの面目躍如であり、高額ではあるけどマニアックなU.K.ファンとしてはこれ以上ない総括となった。実はそれでも細かく突っ込みどころはあるんだけど(笑)。そこら辺はまた今後のレビュー記事の続編で触れるかも知れません。次はまたしばらく時間をおいて1st「憂国の四士」から記事を書こうかな。チラッと聴いたけど、これまでのリマスターCD「憂国の四士」とは比べ物にならない音の良さだった気がするぞ・・・(笑)。

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