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2017年3月 5日 (日)

ジョン・ウェットン追悼から賛嘆へ:エイジア 「シンフォニア~ライヴ・イン・ブルガリア 2013」 (ASIA "SYMFONIA LIVE IN BULGARIA 2013")

あれよあれよと言う間に前回のブログ更新から2週間経ってしまった。なかなかね、休みが一日ずつしかないと、録り溜めしたTVは観たいわウォーキングはするわ部屋の掃除はするわ所用で出かけることもあるわオカンに頼まれてスーパーに買い物にも行くわで、なかなか落ち着いてブログも書けない。せいぜいSNSでつぶやく程度だけど近頃はそれすらもLINEのウェットン仲間との雑談の方が面白くてほったらかしになったりで、次のブログ更新はエイジアの最新ライヴ盤と決めていたけど、どんなトーンで書くかでウジウジ悩んでいて時間ばかり過ぎて行く。ところが丁度良かったのは、某音楽雑誌の先生追悼の文章を読んで、オレならもっと思い入れを込めて、しかも前向きに書けるぞって気になって、一気に頭の中の執筆構想が纏まった。金が絡まない個人ブログならではの視点で今回のライヴ盤を観ながら聴きながら、改めてのジョンウェットン大先生の追悼と言うか、いや追悼よりももっと前向きに先生のライヴ作品に向き合いたい。

エイジアの現状でのスタジオ最新作となる2014年のグラヴィタス初回限定盤に付属していたDVDに本作のブルガリアでのライヴの一部がボーナス収録されていた。そのDVDを観た時は、音質的にショボイなぁって印象があって、ライヴ完全盤として正規リリースするならこの音質では困るぞって思っていた。そんな若干の心配の中でようやく2013年ブルガリアでの、ギタリストにサムコールソンを擁してのライヴ盤がリリースされた。ライヴ後半はオーケストラとの共演である。

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購入したのはもちろん国内盤でBlu-ray+2CD。先週くらいに取り急ぎCDの音だけアイホンに取り込んで、明けオフや公休日のウォーキング時に2周ほど聴いていたんだけど、肝心の映像の方はなかなか観れずにいた。理由は、逝去した先生の生前の姿を観るのが辛いから、というオッサンに相応しくない湿っぽさ(苦笑)。でも私の周辺のウェットンファン仲間の何人かの方も同様の理由で、先生の作品に向き合えない方がいらっしゃったと思う。ところがここにきてようやく自分の中で前向きな捉え方が出来るようになったので、昨晩に映像を一気に観た。

まずは映像、音源を観て、聴いた感想から。上でも言った、グラヴィタスのボーナス映像を観た時の心配は杞憂に終わった。キッチリとミキシングされた高品質で、音質的には問題なし。映像もカメラワーク含めほぼストレスなく気持ちよく観れる。最初の方だけ、カールパーマーを捉える映像が無駄な動きをしていてそこは少しイラッとしたけど。あとアレか、カールパーマーのドラムソロ的なところでなぜかカメラがサムコールソンのドアップってのも、え?って感じだったか。でもそれ以外は、サム君加入以降の、スピーディで小気味よく勢いのあるバンドの演奏が観ていて気持ちイイ。本当にあっという間に観終わってしまった。充実のライヴ作品である。こういう言い方をすると賛否があるかも知れないが、私個人的には、本作収録の約1年前に当たる、2012年のハウ爺在籍時のサンフランシスコでのライヴ盤よりは本作の方が気持ち良く観聴き出来た。オリジナル4のライヴは絵ヅラに重厚感と安定感はあるけど、正直言って演奏には勢いを感じなくて、実はそんなに観る気がしなかった。その証拠に、そう言えば拙ブログで取り上げていない(笑)。

さて、言うまでもなく本作の売りでありキモとなるのは、サムコールソン加入後の初のライヴ作品であると同時に、エイジア史上初のオーケストラとの共演ライヴと言う点にある。この点については是非一言触れてみたい。本作ライヴのOnly Time Will Tell以降の後半6曲がオーケストラとの共演になるが、端的に言うと、エイジアサウンドの、オーケストラとの親和性が見事に立証されていると思う。共演1曲目のOnly Time Will Tellからして見事に華麗なサウンドになっている。ボーナス映像に収録されたメンバーインタビューでジェフダウンズが、オーケストラに合いそうな曲を選曲した、と答えていたから余計にオーケストラとの絡みがハマっていたのかも知れないが、それにしても共演した各曲が全く違和感を感じることなく、そうでなくても豪華なエイジアサウンドがさらに増幅された華麗なサウンドになっていて、その親和性には大拍手したいくらいである。冷静に考えてみればエイジアの音楽にはシンフォニックな要素が存分に盛り込まれていたわけだから、オーケストラと共演するとこうなるのは当然だったのかも知れないが。中でも絶品は2部構成の「偽りの微笑み」。元から2部構成の「偽りの微笑み」は、前半のアコースティック部からブリッジ部のメロディアスなギターソロと、鍵盤の対位法かと思うような(違う?)胸にグッとくるフレーズを経て大盛り上がりする後半部と、その感動は類を見ないが、これにオーケストラが加わることでこれまた感動が大増幅していて、まだまだ曲としての伸びしろがあったんだと新鮮な驚きを覚えた。

以上のように、エイジアサウンドの更なる伸びしろを示してくれたという大きな一点を持って、またライヴ盤か?みたいなマンネリを感じることのない非常に楽しめるライヴ盤であった。

ところで、本作のレビューと言う形を借りて、一番言いたかったことをここから書く。上でも言ったように、先生の逝去以降、発売された本作をなかなか開封する気にはなれなかった。国内盤発売元に限らずいろんなところで「遺作」と言うような言葉の使い方をしていて、なんかその「遺作」ってことを認めたくないみたいな変な感情もあって。しかしここにきて一気に楽しめたのには理由がある。先生の逝去から1か月以上が過ぎて、様々な追悼メッセージや文章やつぶやきを見てきたし、かく言う私自身もジョンウェットン追悼とか言って記事を書いた。

でもそれから、先生の来し方を、全部知ってるわけでは当然ないけれども、なんとなく振り返ってみて、私の中で先生の逝去を、こういう捉え方をした。

「ジョンウェットン大先生は、あらゆる苦悩と困難を真正面から受け止め、そして苦悩と困難に真正面から闘いを挑み、突き抜けて勝ち切った人生であった。」

と、そう思えるのである。いや、そうとしか思えないのである。苦悩と言ってもいろいろあったであろう。キングクリムゾンやUK、エイジア時代を含めてミュージシャンとしての他メンバーやレーベル、マネージメントとの恩讐や挫折、プライベート面での離婚や、深刻なアルコール中毒、そして2007年の心臓の手術etc。人生を投げやりになってもおかしくないような事態にたくさん遭遇してきたはずである。最後には大腸の癌で世を去ったのであるが、逝去前の、敗血症から退院して、リサさんと結婚した時の写真や、尊師ロバートフリップと写った写真を思い出して欲しい。大概の人がそのあまりに痩せ細った姿を見て、これは命がヤバいのでは、と感じたであろう。だがそんな姿でありながら先生は満面の笑みを湛えて写真に写り、その写真を世界に向けてツイートしていたではないか。あの満面の笑顔の意味を考えた時、先生は上記のような、あるいは上記以外にもあったかも知れないあらゆる苦難と闘い抜き、最後には痩せ細りながらも命を奪う癌とも闘い抜き、闘い切った人にしか出せない満面の笑顔、あの笑顔こそが先生の人生勝利の笑顔であったのである。生死の問題では無い。細かく言うならば、ミュージシャンとしての挫折や恩讐は、オリジナルエイジアの復活、UKの復活、実現はしなかったけどクリムゾンバンド参加の同意etcですべて乗り越えている。アル中は見事に克服した。心臓の病も乗り越えた。そしてその渦中で2008年にエイジアとして世に出した名曲、An Extraordinary Lifeは、まさしく苦悩や困難に負けない先生の人生勝利宣言であり、人生勝利の賛歌であったのである。だから命を奪う癌と言う病に対しても堂々と闘い抜いたからこそ、逝去直前の満面の笑顔を発信できたんだと思う。そんな思いで今回のライヴ盤を観てみればイイ。特にAn Extraordinary Lifeを演奏し歌う先生の、何とも幸せそうな表情が全てを物語っている。

翻って、自分自身の人生や生活でも、言うに言われぬ苦悩や苦しみはある。当然ある。誰にでもあるはずである。仕事や家庭、自身の持病やその他、愚痴りたくなるような出来事は誰にでもあるはずである。イチイチ細かく言わないだけで、私にだって愚痴りたいことは山ほどある。ジョンウェットン大先生の逝去を悼むのも良い。偲ぶのも良い。しかし誰にでもある苦悩や困難に対して、堂々と闘い抜くという事の大切さを見事に示し切ってくれた先生のファンであることを誇りに思いたいし、立ち向かう勇気を与えてくれた先生の、勝利の姿を示し切った笑顔からの逝去は、もはや追悼なんかでは無くて、賛嘆すべきである。追悼から賛嘆へ、そう捉えるならば先生が残してくれた作品は、まさにこれからも色鮮やかに生き続けて行く。

最後に、いずれ実施しようと思っている「Wetton Mania 2 ~ JW is here」は、追悼ではなく賛嘆の気持ちで明るく面白おかしく実施したい。

さて、先生に闘う勇気をもらったので明日も現実との闘い、頑張るでぇ~!!

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