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2017年3月31日 (金)

スティーヴ・ハケット 「ザ・ナイト・サイレン~天空の美情」(STEVE HACKETT "THE NIGHT SIREN")

とにかく鼻の下が長いスティーヴハケットの2017年最新作がリリースされた。ツアー、新譜、そしてまたツアーという、ここ数年来続いている絶え間のない活動ぶりは、財政的にも音楽的にも順調であることの証と捉えることが出来よう。今回もハケットソングス直販ではなく、敢えて国内盤を購入。国内盤は紙ジャケ仕様である。

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コンサートで訪れたアイスランドで遭遇した美しいオーロラを撮影した写真をジャケに採用していて、自然と期待は高まる。しかしその前に一発、国内盤紙ジャケの内ジャケをネタにさせて頂こう。

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見よ、この笑っても長い鼻の下を。横の大きい石像の鼻の下と、ハケットの鼻の下の長さはほぼ同じと言う、やはりそこを強調したかったとしか思えないような構図の写真は私のツッコミ心を大いに満たしてくれる。

さて、今作は安定のハケット印とは違うなかなかの異色作である。既に何回か通しで聴いたんだけれど、なかなか拙の耳に馴染まない。その感想をどう言葉にすればよいかが分からず、ブログ記事に出来ずにいたのである。こんな時こそ国内盤のライナーが頼りになる。ライナーとは昔からそういう意味でとても大切なものである。早速国内盤ライナーを拝読させて頂いたところ、タイトルの「ザ・ナイト・サイレン」がいきなり「ザ・ナイト・ライン」と書かれていて、その表記に早くも目が釘付け、以降をなかなか読み進められなかったぜ全く。

それはともかく(笑)、内容だが上でも言ったように、安定のハケット印では無い。メロディアスな曲調や、そのメロディの明快さを引き立たせるアレンジといったいつものハケットサウンドに期待する安心感とは異なり、世界の様々な民族音楽と思しきメロディや曲調がまず耳に付く。こちらの安定感を求める期待や想像とは違う異質感が作品全編を覆っているような、そんな感じ。そういう意味では今回は冒険に出たな、という気がする。思い切ってやってみたのではなく、順調な活動が続いている故に、ファンの期待と違う路線に打って出てみる余裕も生まれたのではないかと思う。その結果として出来上がったサウンドは、もうこういう言い方はこじつけ過ぎてあまり好きではないけども、姿勢としてプログレッシヴなものになっているとも言える。

現在の世界に存在する混乱や分裂を音楽で結びつけて希望を見出して行こうという、そのコンセプトはミュージシャンとして極めて野心的であり、きっとそういう事をやってみたいと思うミュージシャンは多いだろうし、それを実際に実行したことは評価に値する。積極的にその民族音楽を取り入れ、イスラエルやパレスチナのミュージシャンも一緒に歌うという作品づくりは、世界各地の民族音楽そのものを掘り下げるという事では無くて、あくまでもハケットの音楽に世界各地の民族音楽の特徴を落とし込んでいくという、そういう作品づくりになっていると感じる。なので従来のハケット印とは異質とは言ったけど、やはりハケットらしい艶やかなギターサウンドやアレンジは所々に登場する。

個人的な好みの問題だけで言うと、ハケットオリジナル作としては前作ウルフライトの方がハケットらしい躍動感や叙情的なメロディが中心に据えられてて聴き易かった。更にその前のBEYOND THE SHROUDED HORIZONの方がメロディアスでロマンティックで、自分の好みとしてはストライクであった。しかし、今作においてこのような、姿勢としてのプログレッシヴな精神を見せてくれたことはプログレ界隈を好むファンとしてはとても誇らしい事である。

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