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2017年6月 9日 (金)

ロジャー・ウォーターズ 「イズ・ディス・ザ・ライフ・ウィ・リアリー・ウォント?」(ROGER WATERS "IS THIS THE LIFE WE REALLY WANT ?")

とうとう梅雨入り。と思ったら今日は素晴らしい快晴。公休の本日、公私ともに多忙のために朝はゆっくり寝ようと思ったがあまりの天気の良さに、寝て過ごすのが勿体ないと思ってついつい早起きしてしまった。暑くなる前に朝9時からウォーキング。ここんところのお疲れモードで最近ウォーキングは約1時間、5000~6000歩くらいで収めていたが今日は久々に2時間近くかけて約1万歩を歩いた。そもそもお疲れモードのままだったので帰ってきたら足がだるいだるい。却って疲れたんじゃないかと(苦笑)。

いよいよ待望の、ロジャーウォーターズ25年ぶりの新作が発売された。発売と同時に購入して、チラチラとしか聴けてなかったのを今日ようやくウォーキングしつつしっかりと拝聴出来た。こういう大御所の作品は、下手なことブログに書くと、ガタガタぬかすプログレオタが居ると困るので取り上げるのに躊躇したけど、まぁ例によって、仕事でやってるわけじゃない私個人の趣味かつ備忘のようなブログなので、やっぱり感じたままに書いたるで。

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まずこのジャケのデザインが素晴らしい。黒塗り文書をジャケに持ってくるあたり、こういう批評精神と言うか悪しき権力への嫌味に満ちたアイデアはロジャーウォーターズならではと、思わず唸ってしまう。絵面だけのイメージで、ピンクフロイド時代のザ・ウォールを連想した人もいたかも知れないけど、見た人がそれを連想するのは仕方ないとして、アーティスト側としては、これはコンセプトからしてウォールとは何の関係も無いであろうと思われる。

さて、収録内容である。正直私はピンクフロイドを執拗に語りたがるほどのマニアでは無いし、また元より、過去作の何々に似ているとか、だから良い悪いとか、そういった比較論で評論家気取りで語る気も無いので、純粋に「ロジャーウォーターズ2017年作品」の感想を新鮮な気持ちで書き殴ってみる。

まず何と言っても、本作の肝になっていると思われるリーダートラック「デジャ・ヴ」である。この曲で提示されるメロディが作品全体の中で何度か登場する。プログレ系の定番手法かも知れないが、その観点はとりあえず置いておく。この曲に限らず本作はロジャーならではの、政治や世界の状況への怒りがテーマになっているとの事であるが、「デジャ・ヴ」のサウンドの音像は、厚く塗り込められたり、エコー感タップリだったり、そういう音では無い。そしてその怒りとは裏腹に、ささやくようなヴォーカル、静謐なピアノやアコースティックギターの一音一音がとても印象的。一音一音に存在感があって、むしろその存在感の際立ち方に深みと凄みを感じる。聴いてるこちら側が、深くて凄いに違いないと、そう思い込んで聴いてるからかも知れないけど、でも事前からそう思わせる時点で、それがロジャーウォーターズっていう人が持つアーティストパワーってもんだと思う。

次に、誰もがぜひ触れたがるであろう曲、「ピクチャー・ザット」である。マニアでなくても普通にピンクフロイドを聴いてきた人なら誰もが、そのもっさりしたドラムの感じや曲の進行の仕方、アレンジに70年代前半のピンクフロイドそのものだと感じることであろう。そして、あまりにフロイド的であることに、ロジャーのソロ作品としてコレは有りか?みたいな変な気持ちにもなる。さて、ここをどう捉えるかである。過去の焼き直しをしやがって・・・、と感じる人もいるかも知れない。しかし、私的には、上記の「デジャ・ヴ」の凄みが効いていて、この「ピクチャー・ザット」は決して本作の肝では無いことが感じられて、ワリと軽く受け流してしまえる。なんちゅうのかな、大騒ぎするほどの事でもないだろう、みたいな。

怒りに満ちた感情を、敢えて静かに囁くようなヴォーカルで歌い、アコースティックギター中心の音像に、時にストリングス、時に管楽器、時に70年代の狂気の頃のようなピンクフロイド的サウンドを交えながら展開される本作は、実はそれらのどの要素にも妥協していないと思う。盛大にオーケストレーションを導入している訳でもなく、盛大にフロイド的サウンドを導入しているわけでもない。なので、ピンクフロイド過去作の何々に似ているから、という指向でマーケットの需要喚起に寄り添っているわけでもない。オーケストレーションもフロイド的サウンドも、完全に「ロジャーウォーターズ」という強大なアーティストパワーの極一部として取り込んでいるに過ぎない。いや、取り込んでいるという言い方もおかしいかも。全てロジャーウォーターズの音楽性の一部にすぎないと、そういう事かも知れない。そういう意味ではピンクフロイドもロジャーウォーターズの一部、そう感じさせてくれるところに本作の、あるいはロジャーウォーターズと言うアーティストの凄みを感じるのである。

静謐なサウンドで、オーケストレーションもフロイドチックなサウンドも、贅沢に本作の極々一部として消化してしまう事で、ロジャーウォーターズと言うアーティストの巨大なパワーと凄みを、見事に露わに引き出してくれたナイジェル・ゴッドリッチのプロデュースワークも褒められてしかるべきであろう。

これは歴史に残る大傑作が誕生したかも知れないぞ。

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