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2018年2月27日 (火)

デュークス・オブ・ジ・オリエント 「デュークス・オブ・ジ・オリエント~時空の旅人」(DUKES OF THE ORIENT "DUKES OF THE ORIENT")

あれよあれよという間にブログ更新が10日以上滞ってしまった。先週に掲題のデュークスオブジオリエントの記事を書き始めたんだけど、途中で書くのをストップしてもうちょっと聴き直していた。泊まり勤務の連勤に、地域の所用も重なって忙しいのなんの。昨日なんか朝に泊まり勤務明けで帰ってきてそのまま所用で近所の知り合いと懇談。その足で京都駅の伊勢丹まで出かけてアイホン6のバッテリー交換。帰宅して近所のコンビニにタワーレコードオンラインから届いていた、発見されたオリジナルマスターからのリマスターというカーヴドエアのエアカットと、スリーのライヴ盤を受け取り、夜はまた地域の所用と、考えてみたら都合40時間くらいまともに寝ていないという強行軍。ダメだそのうち倒れるでこんなんしてたら。

今朝は目が自然に開くまでとことん寝てやろうと思っていたのが意外に早く目覚めてしまい、外の天気も良いので寝てるのが勿体ないと思って起きてしまった。ウォーキングしながら再度アイホンでデュークスオブジオリエントを聴く。そしてようやく記事の続きを書こうかと。

さて、ジョンペインは救われたのか?(笑)。

もう4年も前になるのか、ペイジア、いやエイジア・フィーチャリング・ジョン・ペイン(以降略してAFJP)名義でプログレカヴァー集がリリースされた時に失礼ながら面白半分で「JOHN PAYNEを救え!(前編)(後編)」ってのを拙ブログで企画して、ウェットンファンのお仲間とミニ座談会を載せたりお仲間によるジョンペインをアゲアゲするコメントを載せたりした。拙ブログの中でも異色のブログ記事になって面白かった。そんな中で、エイジアというよりもジョンウェットンが好き過ぎるが故にウェットンファン(ワタシを含む、苦笑)から不当にディスられ続けた哀しきジョンペインを、正当に見直す良い機会に出来たかなと我ながら自負している。まぁそれでもペイジアの作品によっては個人的には聴ける作品もあれば、やっぱり聴いてみてイマイチな作品もあった。あくまでも個人的な趣味趣向によるんだけど。やっぱり今でもアリアは名作だと思うし、アクアに収録されたA Far Cryは超名曲だと思う。

そのAFJPがAFJP名義でAMERICANAというタイトルでアルバムを制作中という話が2013年頃?からあって、その中からSeasons Will Changeを先行デジタルリリースしていて、それっきりAFJPとしてのAMERICANAは発売されること無く現在に至っている。なんとそのAFJPのAMERICANAが、名義を変えてデュークス・オブ・ジ・オリエントという名義でリリースされた。今や、メジャーレーベルとまでは言わないけど準々メジャーと言ってもイイくらいのフロンティアーズレコーズと契約し、日本でもキングレコードからリリースと、ここ数年の干されたような状況から一転した好待遇でのリリースには驚いた。つーか当のジョンペイン自身も驚いてるんじゃないの(笑)。今回、先行して公開されたStrange Days、そして以前より公開されていたSeasons Will Changeをじっくり試聴して、これはもしかして奇跡が起きているかもしれないと思い、しっかりと国内盤でCDを購入したのである。

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このデュークス・オブ・ジ・オリエントは、今のところバンドというよりはジョンペインとエリックノーランダーによる双頭プロジェクトと解釈するのが妥当なようだ。ドラムは全曲ジェイシェレンだけど、ギターについてはガスリーゴーヴァン他、数人のギタリストが参加していて、そのクレジットから断続的に長期に渡ってしまったアルバム制作の苦労が滲み出ている。そのドラムのジェイシェレンについても現在は体調万全でないアランホワイトに代わって実質イエスの正ドラマーに近い形でイエスのツアーに呼ばれており、デュークス・オブ・ジ・オリエントでの活動は不可能と思われる。

鍵盤のエリックノーランダーについては、ワタシ的には随分久しぶりに聴いたなぁって感じ。以前、90年代後半から2000年代前半頃にかけて、メロディアスなプログレハードのラナレーンをよく聴いていて、そのラナレーンを音楽面でエリックノーランダーが実質担っていたと認識していた。非常にイイ意味でコンサバティヴなメロディアスかつシンフォニックなプログレハード作品を作り、演奏し、プロデュースする人、ってイメージで、逆にそれ以上の面白味は無いかも、みたいな個人的な印象だった。現にその、かつてよく聴いたラナレーンも数年で飽きてしまって中古屋行きとなってしまって、今になって少し後悔しているという、私らしい話である(苦笑)。そのエリックノーランダーがAFJPに加わり、プログレカヴァー集と、今回の作品へと繋がるAFJPのAMERICANAの制作に参加しているという話の伝わり方だったと思う。

さて、名義の変更の経緯や良し悪しは後にして、ジョンペインに奇跡が起きたのかどうかを確認するために何とまさかの、簡単な全曲レビューを敢行してみる。結構気に入ったのですよコレが。なお、今作の国内盤は各曲に、実に大げさでプログレチックで、声に出して読むのに照れと勇気が必要な邦題が付いている。キングレコードさんの力の入れようが分かろうかというものである。ではいってみよう。

① Brother in Arms (血の絆)
オープニングトラックは勇壮なリズムに導かれてギター、鍵盤、ペインのヴォーカルが入ってくる、典型的な哀メロ系ロック。曲途中のギターソロもまぁよくある感じのもの。しかし曲後半で聴こえてくるシンセソロが何とも懐かしいムーグシンセのソロ。この曲以降も頻繁にムーグというかアナログシンセのソロパートが登場する。

② Strange Days (終末)
本作のリリース告知と同時に先行公開された、そういう意味ではリードトラックだろうか。これもミディアムテンポの落ち着いた哀メロ系ロックで、良くも悪くもジョンペインによくありがちな曲。しかし曲の端々でエリックノーランダーの鍵盤サウンドが非常にセンス良く配置されていて気高さを感じる。そしてここでもムーグシンセのような音色のソロパートがあって、これがどうしたって往年の70年代プログレを想起させる効果を伴っていて、その手のファンを惹きつけるのにとても効果的。

③ Amor Vincit Omnia (天上の愛)
典雅なピアノソロから始まる、エリックノーランダーのセンスが生かされたアレンジの上にジョンペインの演歌調哀愁ボーカルが載る。この辺りからもしかしてジョンペインとエリックノーランダーの組み合わせは最高なのでは?と思い始める。サビは壮大なメロディと鍵盤アレンジ、更にちょっと悪そうな下降メロディの鍵盤アレンジは、目先を変える効果もあって、非常に凝ったアレンジである。

④ Time Waits for No One (絶望と希望)
少しアップテンポなリズムに乗って哀メロのボーカル走る。ここでも曲後半にムーグシンセのソロが入る。もう完全に往年のヴィンテージな鍵盤の音色使いによる、その手のファンに対する何らかの効果を狙ってるな(笑)。

⑤ A Sorrow's Crown (悲嘆に暮れて)
出た、壮麗なパイプオルガン系の鍵盤イントロ。個人的にパイプオルガンの音色にこの上ない魅力を感じてしまう私はもうこの時点で耳を奪われてしまう。そして歌メロが入るとそのバックで見事な色彩感を演出するアナログシンセによるリフ、更に間奏の壮大な鍵盤ソロとそのバックで「アー、アー・・・」って男性コーラスが入ると荘厳感が増して、もう完全に私のツボである。曲の最後にはジョンペインによる「アメリカ!、アメリカーナ!・・・」みたいな叫びが入っていて、確かにAFJPのAMERICANAとして予定されていた作品であることが認識できる。

⑥ Fourth of July (7月4日~新たなる未来)
前曲でアヘアヘにトロけそうになった私に更なる追い打ちとなる、ムーグシンセによる勇壮極まりないイントロメロディ。コレはカッコ良過ぎる。8分を超える大曲の中でコレでもかとこのムーグシンセによるテーマメロディが繰り返し登場する。そうそう、これくらい繰り返してくれたら私は見事に昇天できるのである。名曲の誉れ高きこの曲、7月4日というアメリカ独立記念日をタイトルとしており、あ、もしかしてアメリカ独立戦争か何かをテーマにしたコンセプト作だったのかなと、少し気付く。だから勇壮な曲が多いのかと。ともあれ、とにかく、とにかく、カッコいい曲だ。翌日になっても頭の中に残り続けるほどの印象的な曲。素晴らしい。

⑦ Seasons Will Change (変革時期)
2013年の時点でAFJPとして配信、公開されていた曲。今回そのままデュークスオブジオリエントの曲として収録。これも哀メロのボーカルメロディが素晴らしい。またそれを引き立たせる鍵盤アレンジも最高。ここでもムーグシンセのソロが効果的である。間奏部分の、これまた勇壮かつ哀感のある鍵盤アレンジと「アー、アー・・・」って男性コーラス、ペイジアのアクア収録の私の大好きな曲、A Far Cryの後半を思わせる素晴らしさ。ハイ再び昇天しました(笑)。

⑧ Give Another Reason (真理への道程)
本編ラストの10分超えの大作。クラシカルなアコースティックギターから始まって、ここでも勇壮な歌メロ、そして曲中盤のメロトロン、ムーグといったアナログシンセに、アコギ、フルートの音色まで使ったインストセクションは気品あるプログレの香りが見事。ラストを飾るにふさわしい大曲である。

⑨ The Rebel (反逆者) [ボーナス・トラック]
日本盤ボーナストラックとなるこの曲まで素晴らしい。深く響くピアノとジョンペインのしっとりしたボーカルが何とも言えない魅力を醸し出すバラード。メロディがイイ。ここではフルートの美しいメロディやチェロまで出て来て、ウェットンダウンズのアイコンかと思うくらい。アルバム全体のエピローグとしてピッタリではないか。ボーナストラック扱いが勿体ないくらい。ワタシ的にはこのボートラまで含めて立派なアルバムと言ってもイイと思う。

以上、まさかの全曲レビューをやってしまった(笑)。言い切りましょう、これは大傑作です!
全編とにかく楽曲のクォリティが高い。メロディが良いんだけど、それを引き立たせる鍵盤を中心としたアレンジが素晴らしい。そしてこれだけムーグシンセを全編で使われてしまうとそれだけでこちらのイメージがプログレ、となってしまう。壮麗なパイプオルガン系の鍵盤を鳴らされてしまうとそれだけで、あぁ様式美・・・、となってしまう。パイプオルガンさえ鳴っていれば様式美、と脳内変換されてしまう私の頭もどうかしてるかも知れないが。レインボーのCan't Let You Goの、デイヴローゼンサルによるパイプオルガンのイントロを聴くだけでレインボーの様式美完成、と誰かが言っていたあの感覚だ。実際はあの曲、イントロのパイプオルガンが終わるとあとは単なる凡庸なポップソングのような気もするけどね(笑)。ちょっと脱線したけど、個人的には本作の特に④から⑧の流れが、更にはボーナストラックの⑨まで含めて圧巻である。流れも素晴らしいし各曲ごとのクォリティも最高である。

そして話を最初に戻そう。ジョンペインは救われたのか?(笑)

今回、エリックノーランダーの大活躍によって救われた気がする。いや、救われたとか言うのはペインに失礼か(笑)。本作プロデューサーはジョンペインである。敢えてエリックノーランダーの才能、センスを大々的に導入することでこのような傑作に仕立て上げたのは紛れも無くプロデューサーのジョンペインであり、その慧眼こそ褒められてしかるべきかも知れない。

エイジア名義は使わなかったけれども、国内盤ライナーによると、デュークスオブジオリエントという名前、訳すと「東洋の侯爵達」という事で、アジア≒東洋みたいな、エイジアというかAFJP由来の新名義である事を匂わせているようだ。そのこだわりはご本人にしか分からないものがあると思うけど、いずれにしても本作、私の中では大傑作の誉れ高き逸品である。フロンティアーズと契約し、日本ではキングからリリースされて、是非とも一定の売り上げ数字を上げて欲しいところである。バンドとしての実態があるのか分からないけども、是非ライヴツアー、そして来日公演まで実現するならば、まさにジョンペインは救われた、いや、報われた、と言えることになるだろう。この拙文が少しでも役に立てたら幸いである。

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