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2018年5月31日 (木)

スポックス・ビアード 「ノイズ・フロア~音華郷」(SPOCK'S BEARD "NOISE FLOOR")

せっかくの公休だけど、今日も午前からオカンの通院で病院への送り迎え。そして雨模様なので逆に遊びに出かける気力も失せるのでブログ執筆に集中できる。それではいよいよスポックスビアード待望の新作のレビュー行ってみよう。

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本作はCD2枚組で、1枚目が新作本編8曲、2枚目がボーナストラック4曲+国内盤限定ボーナストラックが更に7曲となっている。もともとは2枚目のボーナストラック4曲も本編に入れる予定で制作していたようなので、今回のレビューは1枚目の本編8曲と、2枚目のボーナストラック4曲をレビューしてみる。

--- DISC 1 ---

① To Breathe Another Day
オープニングチューンに相応しいというか、予想以上の威勢の良いノリノリのロックチューン。ハモンドオルガンで始まり、それはそれは熱いギターメロディが火を噴く、途中からのアップテンポな展開で更に気分はヒートアップ。本作のレコーディングに全面参加した元メンバーで初代ドラマーのニックディヴァージリオのプレイが豪快で爽快。インストセクションのユニゾンからまたまた熱いギターソロとハモンドオルガンのソロ、更に手数の多いドラム、荒っぽいとかでは無くてよく作り込まれてもいる。プログレという狭い範疇で語る必要のない、これをカッコいいと言わず何と言うのか、まさに熱いロックである。

② What Becomes of Me
重たくメロウに始まるイントロ、メロトロンが薄く広く鳴り響き、ドラムが入ってテンポアップする。テッドレオナルドのヴォーカルが入ると一転してスローテンポになり優しげな歌メロとなる。少し牧歌的な雰囲気さえ感じる。後半は再びドラムがリズムを刻み軽快に優しいメロディが展開する。ぼんやり聴いてると聴き流して終わってしまいそうな曲だけど、よく聴くとこれも本当によく作り込まれているのが分かる。

③ Somebody's Home
テッドレオナルドとアランモーズによる曲で、アコギで始まるイントロ、歌メロは静かな歌い出しからサビは哀感タップリに歌い上げる。テッドレオナルドって歌い手としては失礼ながらそんなに期待してなかったんだけれども、本作ではよく歌い上げていて、ヴォーカリストとしてイイ感じに定着している。アランモーズと思われるギターソロもエモーショナルで、じっくり聴き応えがある。

④ Have We All Gone Crazy Yet
これもアランモーズとテッドレオナルドの曲。イントロはアナログシンセの暖かみのあるサウンドで開放的なメロディが始まる。ヴォーカルが入るとテンポアップして軽快な曲調に。その軽快さがそのままテクニカルなインストセクションに繋がり、そして今度はブルージーな展開へ。後半は再び開放的なメロディをテッドが歌い上げる。

⑤ So This Is Life
イントロの頭からバラードっぽく始まる。ヴォーカルのエフェクト処理、リンゴスター的なドラムのオカズの入れ方、コーラスの絡ませ方、ビートルズを聴く人ならもうすぐに後期のビートルズを連想するだろう。しかしギターソロになるとぐっと胸に来るエモーショナルなメロディが奏でられ、こういう感じのメロディって今までのスポックにあったかな?って思うようないい意味での普通っぽさとコンテンポラリーな感覚が味わえる。

⑥ One So Wise
ミニムーグによる印象的な始まりからギターが受け継ぎ、ヴォーカルセクション、スペーシーな展開をはさんで、最後はシンプルで熱いギターのメロディが映える。

⑦ Box of Spiders
亮さん作の複雑なインスト曲。ハモンドソロ、ピアノソロ、響き渡るメロトロン等々、鍵盤のアナログサウンドが大活躍する。

⑧ Beginnings
本編最後を飾る壮大な曲。これも亮さん作。でも壮大と言っても、それでも7分半の短さである。歌メロの哀感が素晴らしい。サビの歌メロのバックで鳴り響くミニムーグの色彩感とメロトロン?の拡がりは感動的。更にはパッと目先を変えるユニゾンから始まるインストセクション、唸りを上げるミニムーグ、後半は再びテッドが壮大に感動的に歌い上げる。テッドって前からこんなにエモーショナルに歌えたっけ?って思うほどよく歌い上げていると思う。これは本当に素晴らしい曲。15分とか20分とかじゃなくても十分に壮大さと感動を味わえる。これは現行スポックスビアードが生み出した新たなるアンセムになりえると思う。

--- DISC 2 (Bonus Track) ---

① Days We'll Remember
ココから4曲はボーナストラック扱いとなっている。シンプルにメロディの良さを引き立たせた曲。サウンドはシンセを中心にカラフルに仕上げているのだけど、ギターも含めて嫌味な感じが無くて歌メロを引き立たせるアレンジが良い。

② Bulletproof
メロトロン全開のイントロ、静かにヴォーカルが入り聴きやすい歌メロが続く。インストはここでもやはりムーグやメロトロンを中心とした暖かみのあるサウンド。

③ Vault
これもヴォーカルを生かしたとてもシンプルな曲。

④ Armageddon Nervous
軽快かつ迫力あるインスト曲。これまた熱い演奏が聴ける。

以上、国内盤は更に日本盤限定ボーナストラックが7曲含まれてお得感があるけど、ココでは割愛。

全体的な印象を言うと、やはり今回は前作にも増して少しシンプルかつコンテンポラリーになったかなという印象。いわゆる壮大なプログレサウンドとは一線を画す、シンプルさが目立つ本作であるが、それは悪い意味で言ってるのではない。勿論それは、スポックスビアードにしては・・・、という但し書きが付く。普通にロックファンが聴けば十分に複雑に、凝りに凝ったサウンドと感じるだろう。むしろこれまでのスポックスビアードのサウンドが、濃厚に塗り込められたコテコテのプログレサウンドの曲が多かったのに対し、本作ではよりシンプルな表現方法を取って、曲ごとに惹き立たせるポイントを強調している感じ。これにより聴いてる側も、イイ意味で聴きやすい。もちろん実際には演奏者としては難解なことをやっているのかも知れないけど、表面に現れる聴き手が感じる印象はとても聴きどころを掴みやすい。ロックの熱さ、メロディの良さ、無機質では無い熱量を持ったテクニカルさ、各曲をじっくり聴けば聴くほどそれらをすんなりと感じることが出来る。

ニールモーズ時代や、その頃のサウンドを意識したコッテコテのプログレ大作もスポックスビアードのサウンドキャラクターとしては重要なんだろうけども、その意味ではより一歩、ニールモーズ時代から脱却した事には若干の勇気が必要であったのかも知れない。そして個人的にはこの展開には拍手を送りたいと思うのである。ニールモーズ的な、ニールモーズ節ってのも私個人的には今でも好きなので、それを聴きたければニールモーズバンドやトランスアトランティックを聴いていれば良い。いつも変わり映えのしない(笑)新作を次々とリリースしてくれるニールモーズさん故、あの手のコテコテのプログレサウンドと美メロを手を変え品を変え定期的に届けてくれるし(笑)。

フェイスブックで亮さんとやり取りさせて頂いたのだけれど、亮さん曰く、本作の約60%は亮さんによるプロデュースとのことである。実際そうと知っていても、また知らなくても、亮さんの鍵盤は大活躍だし本作への貢献度は多大であったことがよく分かる。そして本作で提示された楽曲は、これはもう間違いなくこれまでのバンドの諸作以上にライヴ映えするであろう。なにしろ曲が、サウンドが、演奏が熱いのだから。それだけに是非とも来日公演を実現させたいものだ。亮さんプロジェクト大阪公演のレポでもチラッと書いたけど、いま出ているある呼び屋さんからの来日公演オファーが、うまく事が運ぶことを念願してやまない。

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