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2018年7月27日 (金)

【全曲レビュー加筆】 3.2 「ザ・ルールズ・ハヴ・チェンジド」(3.2 "THE RULES HAVE CHANGED")

まずは最近恒例の、あそこが痛いここが痛いの初老トークから。先週あたりマジで疲労がピークに達していたのか胸の動悸と右脇腹の痛みに加えて、職場でほんの2時間ほど仮眠したその2時間で首を寝違えてしまい、その後3日間は首が回らないほど痛くて難儀した。更には口内炎が出来て、普通口内炎って1箇所出来ただけでも痛くて辛いのに、なんと同時多発的に5箇所も出来てしまって超不機嫌モード全開。痛くて痛くて、梅干しなんて食べようものなら口内炎に染みて激痛でヒーーーッ!って叫びたくなるくらい。同時に5箇所も口内炎が出来るなんて初めて。よほど疲れていたんだろう。チョコラBBプラスを飲みまくってようやく治まった。地域の所用も責任感のみでほうほうのていでやり切って、とりあえず上半期の取り組みは終了。しばらくは仕事以外の時間は徹底的に静養することに決めたからな。絶対にな。

さて、久しぶりにワクワクする楽しみな新譜がリリースされた。ロバートベリーが生前のキースエマーソンと制作しかけていたマテリアルを完成させた、その名も「3.2」名義の新譜と、期待のプログレプロジェクト、ザ・シー・ウィズインの新譜のそれぞれ国内盤が、珍しく発売日前日の今日無事にウチみたいな田舎に到着した。今回は早速3.2の新譜レビューいってみる。

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3.2は言うまでもなく、キースエマーソン、カールパーマー、ロバートベリーのトリオバンド「3」の続編であることを意識したグループ名である。2016年に自ら命を絶ったキースエマーソンが生前にロバートベリーと制作を進めかけていたプロジェクトとの事。その詳細は本作のライナーに詳しいのでココでは触れない。実際にはエマーソンの逝去によって制作がストップしたものを、改めてロバートベリーが独力で完成にこぎつけた作品となる。当初本作のリリースが公になった当初は、エマーソン、ベリー、そしてカールパーマーも参加していたらイイのにな、なんて妄想したけど上記の通り、エマーソンとコラボ制作した楽曲、またベリー単独作を、まるで3の続編のごとくロバートベリーが作り上げたもので、鍵盤、ギター、ベース、ドラムの全てをロバートベリーが演奏している。ベリーとしては勿論カールパーマーの参加も希望したけれども、ELPレガシーで忙しいパーマーの参加は叶わなかったとの事。なんだそうなのかぁ~って残念に思ってはならない。むしろこの演奏の、エマーソンになり切りっぷり、カールパーマーになり切りっぷりはそれはそれは見事なもの。パッと聴いたらエマーソンやパーマーが演奏してる場面が目に浮かびそうな音の鳴り響き方である。ロバートベリーのまさにマルチプレーヤーとしての本領発揮、同じマルチプレーヤーと言われるビリーシャーウッドよりもロバートベリーの方が個人的には好きかな。音の響かせ方がなんか好み。もしエイジアがどうしてもライヴ活動を継続するならジョンウェットン大先生のベース&ヴォーカルの代打はビリーシャーウッドじゃなくてロバートベリーでもいいんじゃないの?ってマジメに思ってるくらいだから。

内容についてだけど、レビュー記事を書こうかどうしようか正直迷った。まず第一に本作ではロバートベリー本人のペンによるライナーノーツがあって、しかも全曲解説www。更にはその内容はエマーソンが命を絶つ直前の、ベリーとエマーソンの電話でのやり取りなんかも語られていて、実に切々としたエモーショナルなもので、思わずお気楽にレビュー記事なんて書く気が失せてしまったのだ。2016年に日本のビルボードライブで1日2公演×4日間というスケジュールのセッティングに、どれほどエマーソンが悩んでいたかが、このベリーのライナーからもあからさまに伝わってきて、読んでて辛くてしょうがないのだ。

それで全曲解説まであるので拙ごときの全曲レビューは控えて、とりあえず音だけの感想を記しておこう・・・と思ったのだけれど、何度も聴き返したくなるほど気に入ってしまったのでやはりここは潔く?自分の感覚なりの全曲一言レビューいきます。

① One By One
いきなり堂々たる7分超えのプログレハード曲。オープニングとエンディングはノルウェーの作曲家グリーグのピアノ小品から影響を受けたらしいピアノフレーズ。壮大な歌メロあり、また渋くジャジーなピアノソロあり、エマーソン風のオルガンソロありと、まさに昔の日本の洋楽評論家風に言えばクラシック、ジャズ、ロックを融合したまさに定型的な古典的プログレ作。しかし音像は80年代後半のようなシンセのキラキラ感や拡がりも包含していて古さを感じさせない。その素晴らしさに早くも私は昇天した。

② Powerful Man
88年の3(スリー)で言えばTalkin' Boutのような、豪快で爽快で前向きなメロディの気持ちのイイ曲。最初、先行して公開されたPVを視聴した時はあまり面白味を感じなかったのだけど、こうして作品全体を聴いた後で俯瞰してみると、このポップさはなかなか良いアクセントになっている。ワタシ個人的には最初のネガティヴな印象から一変して、繰り返し聴きたくなる曲の位置付けになってしまった。

③ The Rules Have Changed
タイトル曲は寄せては引く波のようなシンセサウンドの拡がりから叙情的な歌メロが始まる。こちらの曲も7分近くの長さだけど曲後半からカッコいいユニゾン的なキメフレーズ、更には少しヘヴィなギターリフの上をシンセソロの展開があり、長さを感じさせない飽きさせない展開が見事。

④ Our Bond
キースエマーソンという偉大なミュージシャンを失った喪失感を表現したとあいう悲しみに満ち溢れたメロディの曲。エマーソンへのトリビュートの意味もあるのか曲後半のシンセソロで一瞬だけエマーソンのライヴのアンコールでお馴染みのAmerica的なフレーズが出てくる。

⑤ What You're Dreaming Now
1987年の時点でエマーソンからベリーに与えられていた楽曲を今回ベリーが完成させたとの事。豪快なカッコいいリフの上をベリーが開放的に歌い上げる。当時のエマーソンが後の再結成ELPのブラックムーンでも表現したヘヴィなリフがとても印象的。

⑥ Somebody's Watching
本作リリースが告知された時点で発表されたリーダートラック。最初聴いた時はエマーソンが弾いてるとしか思えなかった勇壮なエマーソン節、実は全部ベリーの演奏であると今回知って、ベリーの多才ぶりに感心した次第。誰が聴いても3(スリー)の続編として受け入れることが出来る、メロディも爽快なプログレハード曲。見事過ぎる。

⑦ This Letter
アコギとヴォーカルのシンプルでご機嫌な曲。途中から実に豊かなアレンジが施されこれまた飽きさせない。こういう音、なに風っていうんだっけ? ちょっと私の音楽的語彙が足りなくてうまく言えないんだけど。

⑧ Your Mark On The World
本編ラストは、静かに始まったかと思えば性急なリズムの上をテクニカルな鍵盤ソロが駆け巡る。これもまたエマーソンが作りそうな、演奏しそうな雰囲気全開。実にドラマティック。

--- Japanese Bonus Track ---

⑨ Sailors Horn Pipe
日本盤のボーナストラックはこれまたいかにもエマーソン風な展開やメロディ、演奏をパズルのごとく繋ぎ合わせたような、エマーソン風プログレ曲。コレはコレで思い入れ込みで充分楽しめる。

以上、繰り返しになるけど演奏は全てロバートベリーによるもの。上でも述べたけどその演奏ぶりは鍵盤に関してはフレーズも音色使いもエマーソンそのもの、ドラムも黙って聴いていてカールパーマーが叩いているよと言われれば、そうだねって言ってしまいそうなそれらしい演奏。従って実際のサウンド全体はコレはもうまさに「3」そのもの。まさに「3」の続編である。プログレ、ハード、メロディアス、ドラマティック、それらの要素が高い次元で融合した見事な逸品である。「3」的な音であること、のみをディールの条件としたフロンティアーズレコーズの希望通りのサウンドであり、ロバートベリーの希望通りのサウンドであり、我々ファンの希望通りのサウンドである。それでもあえて88年の「3(スリー)」との違いを見出すとすれば、当時はエイジアの後釜としてゲフィンレコードからのプッシュ、というかヒットさせなければならないプレッシャーのあった「3(スリー)」とは違って、今回はよりプログレ感が強めな感じがする。プログレハードかつメロディアスで、更にキレも良くて爽快なサウンドでもある、という久々にすっきりと楽しめる新譜である。

あとは何しろロバートベリー本人の全曲解説が封入されてるので、是非それを読んで下さいって感じ。また、エマーソンへの思い、暗礁に乗り上げた制作を独力で再開させた思い、それら込みで聴けば二重三重に本作を深く聴くことが出来る。ここは是非ベリーのセルフライナーの日本語訳がついた国内盤を買うべきだろう。

見事過ぎる「3(スリー)」の続編であるが故に、ロバートベリーの才能が遺憾なく発揮されたと言ってしまってイイのかは何とも言えないけれども、プログレハードなロバートベリーが好きな人にとっては最高の作品となった。同様の傾向のベリーを楽しみたい場合は、幻の第2期GTR用の楽曲や、「3(スリー)」の2nd用に用意していた楽曲を収めたソロ作「Pilgrimage To A Point」をお勧めする。何度でも聴ける逸品だから。以前に「3(スリー)」のライヴ盤を取り上げた記事でちょっとだけ触れてます。また、昨年にはロバートベリーも参加した「ALL 4 1」の作品も取り上げている。

最後に、本作リリース情報が出た頃にメッセンジャーでロバートベリーと拙がやり取りした内容を載せてておこう。

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どうでしょう、来年2019年の早い時期に日本で会おう、って言ってるよねコレ。単なるリップサービスじゃないことを祈りながら、是非エマーソンの無念を晴らすような来日公演が実現することを切望したい。

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