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2018年11月 7日 (水)

スティーヴン・ウィルソン 2018年来日公演初日 STEVEN WILSON LIVE IN TOKYO 2018 (Nov 5, 2018 @ EX THEATER ROPPONGI TOKYO)

私のことを知ってる人や、拙ブログを読んで下さってる方々であれば、私がプログレマニアとかプログレオタではないことは分かって下さってると思う。好きな音楽のうちの一つとしてプログレも好き、という感じでプログレを深堀りするのはもう20年以上前に止めてしまっている。そんな私が今回は東京遠征してまで参戦したのがスティーヴンウィルソンの来日公演である。最近作TO THE BONEの良さはプログレオタじゃない私だから分かるのだと思う。その感じはTO THE BONEのレビュー記事のご参照を。それで、そんな私だからこそのライヴ参戦大絶賛レポを書く。

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待望と言えばこれほど待望した来日も最近ではなかなか無かっただろう。個人的には昨年のペンドラゴン来日は待望ではあったけども、今回はいま現在において最も旬な超大物スティーヴンウィルソンの、ソロとしては初となる来日公演である。東京のみではあったけどこればかりは何が何でも観たかったのでクリエイティブマン3Aでソッコーでチケット予約、地方民の私も勇んで東京まで遠征して参戦した。それではいつものように個人目線のレポいきます。

2018年11月5日(月)、この日と、東京に宿泊するから翌日の2日分を随分前から職場の方は休暇の申請をしてあった。そしたらこの日は公休、翌6日は有休、更には本日7日も公休となりいきなり3連休。その代わり先週1週間は休みが一日だけで仕事を大いに頑張ったのだ。今回も経費節約のため東京までの移動は新幹線だけどJR東海ツアーズの「ぷらっとこだま」で、普通にのぞみに乗るより往復6千円節約。更にはこの「ぷらっとこだま」に含まれる宿泊プランがあって、ちょっと狭いけど一応赤坂のビジネスホテルが割引が効いて格安で宿泊できるとの事で、宿泊代も大きく節約に成功。準備万端で午前に京都亀岡を出発。前日までに2018ツアーの英国ロイヤルアルバートホール公演を収録したブルーレイを観てしっかりと予習していた。もうこの映像作品を観ただけで、今回の来日公演は素晴らしいものになるだろうことは予想できたのでもうワクワクしかない。新幹線の中でもこのRAH公演のセットリストに入っていた曲をアイホンで更に予習というか復習する。「TO THE BONE」、「4 1/2」、「HAND,CANNOT,ERASE」、「THE RAVEN THAT REFUSED TO SING」を聴きまくって京都から東京までの新幹線こだま3時間半を過ごす。途中で飽きてスティーヴウインウッドの80年代のポップな曲を聴いて耳を休めたけど(笑)。なんでスティーヴウインウッドかっていうと、たまたまアイホンの並びでスティーヴンウィルソンの一つ前がスティーヴウインウッドだったからww。それはともかく、今回は関西からいつものウェットンファン仲間のem**さんと綱**さんの分を一緒にチケット取って参戦するんだけど、中でも綱**さんはスティーヴンウィルソンの前回ツアーで台北まで渡航して参戦されたという、私ごときは遠く及ばないSWの大ファンである。SWライヴ初体験の私には最高のガイドでもある。しかしそれぞれバラで東京入り。私もちょっと目的があって、品川駅からある場所に直行したんだけど、どうやら時間が間に合ってなかったのか、残念ながら目的は未遂・・・。気を取り直して赤坂のビジネスホテルにチェックイン。さすが格安、超狭い部屋なんだけどww・・・。まぁどうせ寝るだけだからイイやって。部屋でテレビつけたら久しぶりに東京ローカルのニュース番組とか観て少し懐かしい気分になる。ホテルを出てそのまま赤坂から六本木まで歩きで移動。まさかの降雨で濡れながらEXシアター六本木に到着。

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事前に物販情報が出てなくて、もしや余程チケットが売れてないのでは?みたいな想像をしていたが、一応物販はあった。18時に入場して直ぐ物販に並び、あのカッコいい欲しかったツアーTシャツを購入。

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さっさとホール内へ。座席は前から3列目なんだけど右端の方で、あまり好きでは無い席だったけど、小さなホールなのでそれでも観やすそうではある。現地集合ならぬ現場座席集合でem**さんと綱**さんと合流。私がまとめてチケット買ったばかりに席が右端になってしまいお二人にはちょっと申し訳ない。雑談しつつ後方座席や2階席を眺めてみたんだけど、だんだん席が埋まってきた。私が集客の心配をする必要があるのかって話だけど(笑)開演直前頃にはほぼ9割方埋まってたと思う。ガラガラって事は無かったので一安心。物販のTシャツに至ってはどれくらい用意していたのか知らないけど売れまくってた模様。公演は2部構成との事。そして19時ほぼ定刻通り、いよいよ開演。まず第一部。綱**さんほどSWやポーキュパインツリーに詳しくないので全曲レポまでは出来ないけど気が付いたところを軽く書く。

Set 1:
Nowhere Now
Pariah
Home Invasion
Regret #9
The Creator Has a Mastertape (Porcupine Tree)
Refuge
People Who Eat Darkness
Ancestral

TRUTHっていうイメージ映像が始まってメンバー登場。最近作TO THE BONEの2曲目からスタート。ノーウェアナウはメロディーの優しい大好きな曲で、これでスタートは嬉しい。言うまでもないが演奏もSWのボーカルも素晴らしい。早くもSWの世界観に引き込まれる。パライアはさすがに女性ボーカリストさんの参加は無く、女性ボーカルは映像だったけど、まぁそこはイイでしょう。お気に入りの作品ハンドキャンノットイレースからホームインヴェイジョンとリグレット#9、新作中心のセットリストでこの曲がセットに残っていてこれがまた素晴らしい。バンドメンバーの実力が遺憾なく発揮される。鍵盤のアダムホルツマン、カッコ良過ぎ。ポーキュパインツリー曲を挟んで更に新作2曲と、再びハンドキャンノットイレースからハイライト曲とも言えるアンセストラルで第一部終了。ニックベッグスも相変わらずの、主役を喰いかねない強力なオーラ出まくり。MCでは意外なほどSWは良く喋る。それも客とのキャッチボールを楽しみながらジョーク交じりに喋るのは非常に楽しい。

第一部が終了したこの時点でもうお腹一杯くらいの、満足なんてもんじゃない、凄いものを観た感があって圧倒された。隣のSW歴大先輩の綱**さんに向かっての私の第一声は、

「いや~、凄いっすね、凄い、これは凄いですわ・・・。」

これくらいしか言葉が出なかった。なんかマニアックなものを密かに楽しんでる感じゃない、圧倒的なメジャー感。そう、マニアが密かに楽しむ音楽じゃないんだよ。メジャーな大物なんだよ。プログレオタクが喜ぶだけの音楽じゃないんだよ。私が喜ぶんだって。分かって貰えるかな・・・、あとでもう一回触れる。それにしてもスティーヴハケットの来日公演の時も、今回もニックベッグスのオーラは強力なんだけど、音楽そのものの凄さと、スティーヴンウィルソンの、ジョンアンダーソンとは違う意味のナルシスト天使感がニックベッグスのオーラを飲み込んでる。

Set 2:
Arriving Somewhere but Not Here (Porcupine Tree)
Permanating
Song of I
Lazarus (Porcupine Tree)
Detonation
Vermillioncore
Sleep Together (Porcupine Tree)
 

第二部はポーキュパインツリー曲からスタート。パーマネイティングの前のMCで、これはRAHのライヴ映像でも喋ってたからおそらくツアー中の定番MCなのだろう、世界最高のポップバンドはビートルズで、あとアバも最高みたいな喋りを、客とのキャッチボールの中で入れ込んでいた。これも共感できる。マニアックにロックを聴いてる人でなぜかビートルズを聴かない人がときどきいて、好みは人それぞれだからそれはそれでイイんだけど、ビートルズを聴かないことを殊更に何自慢なのかイヤミのように強調する方々についてはそれはチゲーだろって内心思っていたりする。ジョンウェットン大先生だってビートルズやビーチボーイズ、アバの大ファンだろ? リッチーブラックモアだってそうだ。ポップミュージックと芸術アートの融合はビートルズがやったことだし、後のプログレもハードロックもその元祖はビートルズである事は否定のしようがない。プログレもハードロックもその枝葉の発展形、ヴァリエーションである。その意味でビートルズを聴けばより幅広く音楽を楽しめると思う。そこを素直に受け入れてるスティーヴンウィルソンがますます好きになったね。まあいい、で、要するにみんな立ってくれとww。ここで立たされるの、RAHの映像作品観て分かっていたので私は踊るつもりで参戦していた。コレでも30年くらい前、学生の頃は京都のディスコ、マハラジャで踊ってたんだぜww。そして超ポップなパーマネイティング、踊ろうとしたんだけど・・・、踊り方を忘れた・・・。30年前、どんな風に踊ってたんだっけってウネウネしてるうちに曲終了www・・・。次だ次(笑)。ラザルスがまた良いんだ。この暖かみのある優しいメロディ。照明も夕日を思わせる色の照明で会場全体が暖かい雰囲気に包まれる。ちなみにラザルスの出だしでSWが何か間違ったみたいで一旦演奏停止。「テイク2!」ってもう一回イチから演奏開始してたwww。その後の3曲はハードでヘヴィでテクニカルで映像とのシンクロも相まってこれまた圧倒された。本編終了。放心状態でアンコールへ。

Encore:
The Sound of Muzak (Porcupine Tree)
The Raven That Refused to Sing
 

アンコールはポーキュパインツリーの名曲から。でも私の勉強不足でごめんなさい、一応RAH映像で予習はしてあったんだけど、しっかり合唱出来なかった。次回の来日ではちゃんと合唱出来るようにしておくからな。アンコールラストはレイヴン。これはもう聴き惚れたというか見とれたというか。スクリーンのアニメーション映像が何とも胸に染みるストーリー仕立ての映像で、スティーヴンウィルソンの音楽は、単に音を鳴らすだけではその真髄は分からず、映像イメージ込みで何倍も分かるのだ。完全にその世界観に私の心まで支配されて夢見心地の余韻残りまくりでライヴ終演。

改めてお腹一杯。とにかく凄いライヴを観てしまった。こりゃ、年末のキングクリムゾン観ても、今年最高のライヴはスティーヴンウィルソンだった、って言う可能性が高い。

なんか凄すぎて、纏まりのないレポになってしまったけど、この世界観を提示するにあたって絶対に欠かせないバンドメンバーについてもそれぞれ一言ずつ触れておきたい。

スティーヴン・ウィルソン(Steven Wilson : Vo, G, Bass, Key)
以前に誰かとSWのボーカルについて話したことがあった。曰く、ジョンウェットンやグレッグレイクほどの名ボーカリストと比較するとちょっと弱いかな、的な話になった気がする。今回ライヴを体験してその認識は完全に改めなければならない。そもそもSWのボーカルについては上手いヘタの問題ではないのだ。例えは強引かも知れないけど、ピンクフロイドの曲をロジャーウォーターズが歌う、デヴィッドギルモアが歌う、これは極めて自然かつ当然であり、ウォーターズやギルモアがボーカリストとしての才能があるか無いか、上手いかヘタか、そういう問題ではないだろう。ピンクフロイドの曲をロッドスチュワートが歌ったらフロイド曲が何倍も良くなるかって言ったらそうではない。そんなの違和感しかない。フロイドの世界観の表現がおかしくなるだろう。フロイドの曲を歌うのはウォーターズやギルモアでなければならないのだ。歌手としての上手いヘタ関係なく。それと同じことがスティーヴンウィルソンにも言える。SW曲を歌うのはSWでなけれなならない。SWでなければこの世界観は表現できないのだ。その為にSWは替えが効かないボーカリストなのである。

ニック・ベッグス(Nick Beggs : Bass, Stick, Chorus)
この人はもう改めてどうこう言うアレは無いでしょう。スティーヴハケットやスティーヴンウィルソンのライヴに欠かせない、今や超大物ベーシストである。その変わりものキャラ含めて醸し出すオーラが凄い。チャップマンスティックを弾ける人はプログレ界隈に何人もいるけど、ステージでカッコいいアクション込みで弾いてみせるのはこの人だけだろう。とにかく主役を喰ってしまわんばかりに目を引く。今回コーラスも見事に決まっていた。

アダム・ホルツマン(Adam Holzman : Key)
実は個人的に今まで一番分かってなかったのがこの鍵盤奏者である。RAHライヴ映像観て、これはとんでもない実力者だなって感じて初めてマジメに調べてみたら・・・、なんとジャズ界の超大物マイルスデイビスのグループで鍵盤担当してたっていうじゃない! しかも鍵盤担当のみならず、マイルスのグループの音楽監督をやっていたとは。マイルスデイビスの腹心だぜ。ロックの閉じた世界だけで言えばそんなに有名ではないけど、何の事は無い、そこら辺のロックキーボーディストなんかとは箔の付き方が違うし、当然格が違う。地味な鍵盤奏者などと思っていた私こそが認識を一新しなければならないのであった。勿論今回のライヴでもその実力の一端は垣間見れたと思うし、観れたことを幸せと思わなければ!

クレイグ・ブランデル(Craig Blundell : Dr)
これまでのSWのバンドのドラムが、ギャヴィンハリスンとかマルコミンネマンとか、日本のファンから言えばネームヴァリューのある大物だったから、ちょっと小粒感なイメージがあったけどいやいやどうして、私の趣味で言ってもペンドラゴン、フロスト、KINOのドラムなんだから実力は超一流のはず。実際ライヴで今回初めて見たけど、硬軟合わせて、テクニカルにパワフルに、見事な演奏だったと思う。コレだけ個性の濃いバンドメンバーの中で何も劣っていないし、マルコミンネマンやギャヴィンハリスンにもなにも劣っていない。これからもSWのバンドにずっといて欲しい素晴らしいドラマーであると思う。

アレックス・ハッチングス(Alex Hutchings : G, Chorus)
今回のバンドメンバーの中で、ネームヴァリューだけで言えば一番無名で、私も最初は誰?って感じだった。どうやらギターに詳しい人たちの間ではとんでもない実力者として知られているそう。なのでSWのバンドに加入したのはごく自然な事、って言われているそう。実際にライヴで真近で観たけど、テクニカルにハードにブルージィに、泣きのフレーズも見事で、しかもそれを簡単にやってるように感じさせるところが実力者たるゆえんかも知れない。更にはヴァイオリンの弓まで使って弓弾きまで披露されてはZEPマニアの私は嫌でも目を奪われた。ニックベッグスと共にコーラスもキレイに決めていたね。

以上、このような実力者たちを率いてのスティーヴンウィルソンの音楽は、「聴く、観る、感じる」、じゃなくて、「聴き入る、観入る、感じ入る」、という非常に深いレベルで楽しむべきものなのだ。それを面倒臭いと思ってはならない。入り口は決して面倒ではない。プログレもハード&ヘヴィもサイケもポップも、それから80年代も90年代も全て飲み込んだ上で、表現される世界観は入口が彼方此方にある。

ところが未だにスティーヴンウィルソンのことをプログレ音楽、それを聴くファンはプログレマニア、としか認識できない方がいるようで残念というか勿体ないというか。全然そうじゃないだろう。プログレなんて狭義な文脈で評価できない幅広い音楽性があり、もしかしたら作品ごとにおそらく如何様にでも表現する音楽スタイルを変化させるかもしれない。またそれが可能なミュージシャンなのだ。TO THE BONEのレビュー記事でも書いたけど「日本の洋楽」界はカテゴライズするのが好きで、「日本の洋楽」評論家に慣らされてきた人たちがカテゴライズし難いから、その評価が上手く広がらないのかも知れない。RAHで3日間ソールドアウトにするなんて、マニアックな音楽じゃないでしょうに。メジャーな大物なんだから。それをプログレのマニアックなライヴをプログレマニアが観に行って盛り上がっている、なんて思われるのは少なくとも私自身は心外だ。むしろ、マニアックなプログレマニアの人ほど今回のSWの来日公演に行ってなかった気がするぞwww。

幸い、SWにしては小さなハコだったEXシアター2日間の今回の来日公演、ソールドアウトではなかったかも知れないけど、ある程度は客席も埋まっていたし、次に来日する頃には日本でも正当な評価が拡がっていて欲しい。拙ブログごときでもその一助になればと思う。そしたらハコの大小もそうだし東京だけでなく大阪でも公演が組まれて関西のファンもアクセスしやすくなるし。そしたら今度はあのカッコいいTシャツを着て参戦する。次作を含めて次にどのように音楽性を拡散するのか深化するのか、いま旬な大物のファンでいられることは本当に楽しい。ジョンウェットンが亡くなってしまって、退屈になった私だけど、スティーヴンウィルソンがいるじゃないかって。

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