2016年3月27日 (日)

【Short Review 18】大滝詠一 「デビュー・アゲン」 (EIICHI OHTAKI "DEBUT AGAIN")

2016年3月、大滝詠一まさかの新譜、という事で発売されたDEBUT AGAIN。他のミュージシャンに提供した数々のヒット歌謡曲を、関係者も知らないうちに生前に大滝詠一自身がセルフカヴァーして歌っていた音源が発見されたとの事。ナイアガラーとしては何はなくとも買うしかない。

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収録曲は以下。

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購入特典でクリアファイル付き。

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なんだかんだで師匠逝去後も毎年のようにこの時期になると何かしらのリリースがあって、きっちり購入しているのである。

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個人的には大滝詠一の作品の中ではEACH TIMEが一番思い入れはあるのだけれど、今回のセルフカヴァー集については、アルバム作品としてのクォリティ云々はガタガタいう事ではないだろう。

内容や各曲の詳細は封入されたブックレットのライナーに詳しい。

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更には最新のレコードコレクターズでも渾身の特集記事が組まれていたので私ごときがどうこう言うアレでは無い。

80年代の歌謡曲、小林旭にしても森進一にしても松田聖子や薬師丸ひろ子にしても、本当にテレビの歌番組でよく聴いてきた楽曲で、例えば薬師丸ひろ子の「探偵物語」なんかは当時は大滝詠一の作曲とは知らずに普通にアイドル歌謡を楽しむ感覚で、シングルレコードを持っていたと思う。いま改めてこうして「探偵物語」を聴くと、曲構成が「Aメロ→Bメロ→サビ」ってなっているんだと思うけど、そのAメロからBメロに移った時のコードの進行が何とも胸にグッとくる。薬師丸ひろ子のアイドル歌謡として聴いた当時はそんな事は思いもしなかったのに。あれから30数年も時を重ねて、私の音楽を聴く耳も成長したんだろう(自分で言うか)。松田聖子の「風立ちぬ」も確かLPレコードを持っていた。「風立ちぬ」は素晴らしいオーケストレーションが当時からとても印象に残ったものだ。そのA面は大滝詠一プロデュースだという事を認識したのは後年になってからだし、そうと知れば、ああなるほどと素直に納得できるクォリティのまさにナイアガラサウンドだと思った。そういう意味では松田聖子の「風立ちぬ」は、改めてCD買わなきゃなと思ったりもする。聖子ちゃん云々ではなく、大滝詠一作品として。

これらの楽曲を大滝詠一自身が実は歌って録音を残していたというのも、何とも師匠らしい手の込んだイタズラにも思えてしまうし、あるいはもし大滝詠一が健在であったならば果たして本作をリリースしただろうかと考えてしまうと、若干の墓場荒らし感も無くは無いが、そこはもう師匠本人の口から語られることは無いワケで、残されて出てきた音源を嬉しさと何とも言えない郷愁を持って受け入れたいのである。

師匠、コレはどういうつもりで録音してあったんですか(笑)、って戸惑う我々ファンを師匠がニヤッとクールに笑みを浮かべて見ている気がする。そんなファンタジーを感じながら「夢で逢えたら」を聴いて、リアルとリアリティの狭間を行き来すると師匠がそこに居るのを感じるのである。

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2014年3月30日 (日)

大滝詠一「EACH TIME 30th Anniversary Edition」

大滝詠一のEACH TIMEの30周年記念盤を購入。これは発売当時から大好きで20周年盤も買っていたけど30周年盤も楽しみで楽しみで仕方なかった。しかしこれを改めてブログで取り上げるのにかなり躊躇した。まさかこれが追悼盤になってしまうとは思わなかったから・・・。

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デジパックでスリップケース入りのCD2枚組。本編は20周年盤と比べて若干曲順が変えられている。再発されるごとに曲順が変えられるのは大滝詠一本人の中でもこの作品のあり方と言うか理想を探し続けていたのであろう。2枚目は純カラオケ。ボーナストラックとしてはこの純カラのみで、20周年盤に収められていたサイダーのCM曲等の3曲はここでは無し。なので20周年盤も手放せない。

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そして結果的に追悼盤になってしまったことを実感するのは封入されたこのEACH TIMES号外。

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これがまた泣かせる。読みながら聴くとかえって本作の魅力を純粋には楽しめないかも知れない。泣けてしまうから。

音質は20周年リマスターのシャキッとしたサウンドから、この30周年リマスターでは優しくマイルドで深みのある音質を実現しているようだ。どちらが好みかは人それぞれだと思うので、どっちがどっちという事は無い。

私がはじめて大滝詠一を聴いたのはこのEACH TIMEだった。何をやっても楽しかった高校2年~3年の頃(1983年~84年)、この頃に聴いた曲は今でも堪らなく懐かしいし、今聴いてもやっぱりイイものはイイ。前にも述べたかもしれないが高校の時にクラブ活動は放送部をやっていて昼休みに校内に流す番組を制作していたので必然的に様々な音楽を聴くようになった。それまではオフコースやチューリップしか聴いてなかったが、自分の担当番組は洋楽だったから、それまで興味もなかった洋楽を無理やり聴きはじめ、それでラジオから流れてきたエイジアのドントクライにハマってエイジア、そして産業ロック、ビルボードTOP40に入ってる曲はFMで片っ端からエアチェックして聴きまくった。そんな時に発売されて大ヒットしていたこの大滝詠一のEACH TIMEのサウンドは自分の中では、やはり同じ頃にヒットしていたアランパーソンズプロジェクトのドントアンサーミーと同じ傾向のサウンドに聴こえて(同じに聴こえたのは今でも間違っていないと思う)、洋楽に集中しかけていた自分の趣味を再度日本のポップスに戻してくれた。親からもらっていた小遣いでそんなに沢山レコードは買えないから、この作品もレンタルレコード屋さんで借りてカセットテープにダビングしてそれを聴き倒した。何とも言えない郷愁を感じさせる甘酸っぱいメロディとゴージャスなサウンドが心をとらえて離さなかった。

あれから30年たって今聴いても心をとらえるし、でも大滝詠一はもういないというその寂しさとも向き合う記念盤になってしまったのが何とも複雑・・・。しかしナイアガラ作品の30周年リマスターを開始して、無事にこのEACH TIMEまでリマスター作業を終えていたことは偶然とは言え、残してくれてありがとうと言わなければならないな。

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