2015年11月 1日 (日)

アンダーソン・ポンティ・バンド 「ベター・レイト・ザン・ネヴァー~真世界への旅」 初回限定プレス盤DVD付 (ANDERSON PONTY BAND "BETTER LATE THAN NEVER")

イエスを離脱して以来の、本格的なバンド活動になるのか、それともソロプロジェクトの一環でしかないのか、もちろん前者であると思いたいジョンアンダーソンとジャンリュックポンティのコラボによるアンダーソンポンティバンド(以下APBと表記します)の新作がリリースされた。Kickstarterによる資金集めにより制作された作品ではあるが、日本ではレーベルのしっかりしたサポートにより通常盤とDVD付限定盤に加えて2016年来日公演も調整中というリキの入った環境でのリリース、結構楽しみにしながら購入した。当然DVD付初回限定盤で。

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スリップケースに入った仕様の限定盤、ケースからプラケのCDを取り出すんだが、スリップケースをシュリンクしてあるのでシュリンクのプラケの取り出し口のビニールだけをカッターで切り取って取り出すという、神経質なマニアのやりそうな方法で取り出す。疲れる。

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早速内容について、ジョンアンダーソンとヴァイオリンによるジャズロックの第一人者の組み合わせでどのようなケミストリーが起こるのかちょっと楽しみだった作品だが一曲ずつ簡単に感じたことを書きます。

① Intro
オッ、なかなか期待できるオープニング、カラフルでメロディアスでシンセが活きたサウンドでイエスみたいだなぁとちょっとワクワクする。何の事は無い、And You And I の前半のヴォーカルメロディが流用されてるからか。だから耳に馴染みやすかったんだと。しかもアンダーソンでもポンティでもなく鍵盤のWALLY MINKO作との事。でもなかなかイイ。イエスファンにもアピールできるオープニング曲。

② One In The Rhythm Of Hope
ポンティ作の過去作にアンダーソンのヴォーカルを乗せているとの事。まず最初に心配だったアンダーソンの喉というかヴォイス、あぁこれがジョンアンダーソンの声だなぁと実感できる。現行イエスでヴォーカルを務めるべノアデヴィッドやジョンディヴィソンが、ジョンアンダーソンの声にそっくりという評判で、私もそう思ったがやっぱりこうしてジョンアンダーソンの声を聴くとあのマジカルなヴォイスは唯一無二の声であることが分かる。それにしてもポンティのインスト曲に上手くヴォーカルの歌詞とメロディを乗せているなぁと。

③ A For Aria
アンダーソン作の新曲をAPBとしてアレンジした、純然たるAPBの新曲。前曲からのメドレーのような形で始まるバラード。アンダーソンならではの夢見心地な曲をポンティのヴァイオリンがさらに盛り立てて綺麗綺麗。

④ Owner Of A Lonely Heart
コレやるかぁ・・・って感じ。イエスでもトレヴァーラビンとトレヴァーホーンが苦心して作ったこの曲をすっかり自分の曲扱いのアンダーソンが能天気で笑える。どうやってヴァイオリンを絡めるのかという観点でしか注目できないが、聴いてみて、まぁこんな感じかなって感じ。悪くは無い。バンドメンバーはポンティ人脈のジャズフュージョン系凄腕ミュージシャンばかりだからピシッとしたサウンドがかえってまとまり過ぎてて面白くない気も・・・。

⑤ Listening With Me
これもポンティ作の過去曲にアンダーソンが歌詞を乗せて歌っている。私自身がついついイエスファン目線で聴いてしまうからか抑揚の無さがつまらなくてちょっと残念。

⑥ Time And A Word
イエスファンでもそれほどライヴで聴きたいとは思わないけどなぜかイエスでは時々ライヴでも取り上げられたりするイエス曲。アンダーソン本人には思い入れのある曲なんだろう。レゲエ調で、それはそれで面白い。それだけ(笑)。

⑦ Infinite Mirage
ポンティ作で、私が急いでAPBに備えて予習の為に購入して聴いた「秘なる海(原題:ENIGMATIC OCEAN)」収録のMirageという曲にアンダーソンが歌詞を付けて改題したもの。元曲がとても哀愁あるヴァイオリンのメロディが印象的で元から名曲であるが、う~ん、なんだろう、やっぱりアンダーソンが歌う以上はイエスファン目線で聴いてしまって、イエスっぽくも無いしポンティの原曲の良さが分かるだけという・・・。

⑧ Soul Eternal
前曲からメドレーになっているこの曲はAPB新曲。感想はフツウ(笑)。

⑨ Wonderous Stories
これもなぁ、アンダーソンは好きなんだろうなぁ。イエスとしては英国のシングルチャートを制覇した曲だからイエスファンへのアピールには使えると判断するんだろう。ジャジーなピアノで一味違う雰囲気が楽しめる。楽しめるというか、楽しいか? そこは人それぞれ。私はジャズも聴く人なので違和感は無い。しかしここでYour Moveの「トゥルッ、トゥルッ、トゥルッ、トゥルッ・・」を出すかぁ、好きやなぁジョンちゃん。

⑩ And You And I
そんなにイエス曲ばかりやんなくてもいいんだけど、やるならやるで期待してしまう。ところがイエスではこれから盛り上がるフレーズってところ、さぞかしポンティのヴァイオリンで綺麗に奏でてくれるのかなぁと楽しみにしていたら、その前に終わってしまったよ(苦笑)。

⑪ Renaissance Of The Sun
これもポンティ作の過去曲にアンダーソンが歌詞を乗せるパターン。ジャジーにしっとり演奏する。特に感想なし。

⑫ Roundabout
本作5曲目のイエス曲。そりゃやるわな。これもロンリーハートと同じ感想。凄腕ミュージシャンが演奏するからカチッとまとまった隙の無い演奏が逆につまらない。おそらくライヴで会場で実際に聴くともっとカッコ良く感じる気がする。

⑬ I See You Messenger
アンダーソン作でAPBとしての新曲との事だが、いやいや、ここでも「トゥルッ、トゥルッ、トゥルッ、トゥルッ・・」は登場するわ、あと他にもあからさまに「クジラに愛を」のフレーズも出てくるわで何とも・・・(笑)。自分の曲を自分で流用するのだから何の問題も無いんだけどね。

⑭ New New World
アンダーソン作のAPB新曲。いかにもアンダーソンらしい明るいメロディで、他の展開が無いからアンダーソン色全開で終わる。それだけ。

----- (Japanese Bonus Track) -----

⑮ Re-Rembering Molecules
ポンティ作の過去曲のリアレンジ。めっちゃテクニカルでアンダーソンの居場所は無い。コレはコレでカッコいい。

以上、総じて何とも言えないというか、少なくともアンダーソンとポンティが合体したことでなにかケミストリーがあったのかと言ったら、少なくとも本作だけで言うなら未だあまり感じられないかな。イエスの過去曲とポンティの過去曲にそれぞれがインプットしたリアレンジ曲が殆どで、それがメインで推すのなら物足りない気がするし。

まずはジョンアンダーソンの「ハーイ、みんな、僕、ジョンアンダーソン。僕は元気だよーー。」みたいなアンダーソンの健在ぶりを示す挨拶代わりの作品と捉えておくのが一番前向きな捉え方かなと。この内容だからこそ、次に期待したいというか、本当の意味でアンダーソン、ポンティの新曲群をバンドとして作ってくれたらどんなことになるのかなぁ、というのを楽しみにしていたいような、そんな期待が湧いてくる。

ちなみに本作はライヴ音源を元に制作されているので、付属のライヴDVDを観る方がよりAPBの本質をイメージできるかもしれない。既に始まっているアメリカツアーのセットリストは2部構成で以下のようになっている(某ライヴ音源DLサイトにUPされた2015年10月27日の音源から引用)。

Set 1

Intro
One in the Rhythm of Hope
A for Aria
Owner of a Lonely Heart
Listening With Me
Time and a Word
Infinite Mirage
Soul Eternal
Enigmatic Ocean (with drum solo)
I See You Messenger
New New World

Set 2 ( 71:17)

New Country
Never Ever
Wonderous Stories
Long Distance Runaround
Renaissance of the Sun
State of Independence
Jig
And You and I
Bass Solo
Roundabout
Re-Remembering Molecules (with Yours Is No Disgrace snippet)
Soon

2016年の来日公演が調整されているそうだが、多分実際にライヴを見た方が感動は大きい気がする。そこでファンからの前向きな反応があれば良いと思うし、その上で本格的な新曲ばかりの新作を期待したい。

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2015年10月25日 (日)

【Short Review 4】 ジャン=リュック・ポンティ 「秘なる海」 (JEAN-LUC PONTY "ENIGMATIC OCEAN")

アンダーソン・ポンティ・バンド(APB)の新譜が出てるんだけどタワーレコードオンラインで注文したからまだウチに到着していない。発売日翌日以降に発送とか言ってるから。なのでその前にジャンリュックポンティってのを今まで全く知らなかったので予習がてら買って聴いてみた。国内のワーナーでプログレ生誕45周年とかこじつけて過去の名作群を大量に1300円とかで再発しているシリーズでお手軽にプラケで手に入るやつを購入。紙ジャケとかデラックスボックスとかでリマスター再発とかそういうのに個人的にこだわらない作品については廉価版で手に入るのはありがたい。このポンティの作品群、調べてみると結構たくさん作品を出しているそうでジャズフュージョンのフィールドでは結構有名との事。とりあえず一つという事で掲題の「秘なる海(原題:ENIGMATIC OCEAN)」ってのを購入。

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私はこういうジャズロック系はあまり好物では無くて、昔プログレに興味を持ち始めた頃にソフトマシーンとかハットフィールズとか買って聴いたけどそれ以上は興味が湧かなくてあまり聴いてこなかった。別に嫌いとかではなく、聴けば、あぁ凄いな、カッコイイな、とは思うんだが難しいというか若干なりともメロディアスであったりコンテンポラリーな要素が無いとそれっきりになってしまう。今回はAPBを聴くにあたってちょっとでも知ったかぶりしたくて買った。じゃあどれ買おうかなってことで一番有名らしくて参加メンバーが私でも知ってるミュージシャンが多かったからこの作品を選んだ。私の側から、こっち側から言えばジャーニーのドラマーとして有名なスティーヴスミス、ハケットが抜けた後のジェネシスでツアーサポートメンバーで有名なダリルステューマー、第一期U.K.のギタリストのアランホールズワースといったメンバーがレコーディングに全面参加してるのが大きい。

聴いた印象はもう予想通りのジャズロックでまぁまぁ聴きやすいかなって感じ。肩が凝りそうなビシビシのジャズロックが苦手なんだが、そういう意味では聴きやすいと思う。聴きやすいと言ってもカンタベリーによくあるズッコケそうな力の抜けたヴォーカルみたいなのは無くて全編インスト作品で大変な力作。演奏はハイレベルで、拙ごときちょっとベースを触った事あります的なものからするとベースのフレーズが凄すぎてとても素人が真似できるものではない。ちょっと珍しいのはポンティ自身がバイオリニストという事でバイオリン中心のジャズロックってところだが、そこはあまり違和感は感じない。こういう作品でのスティーヴスミスの演奏はおそらく彼の本領なのかな。そのドラミングは非常にテクニカルで外連味が無い。ダリルステューマーとホーさんが二人ともリードギターとしてクレジットされていて、特に曲ごとにどっちなんだってのは記載がないので分からないが、そこはホーさん、聴いているうちにあからさまにホーさんって分かるギターが出て来て独特の存在感がなんか笑ってしまう。U.K.で聴けるようなギターフレーズも聴こえてくるし、そこにポンティのバイオリンが登場したら脳内で勝手にU.K.を思い浮かべることが出来る。私だけか、そんなの(笑)。

時間があってじっくり音楽を聴きたいなってときには私でも結構楽しめる作品だと思う。ただ・・・、このジャンリュックポンティって人の個性は極めて確立されていると思うし、この音楽性にジョンアンダーソンが割って入ることが出来るのか、そこはよく分からない。そんな楽しみを持ちながらAPBの到着を待ちます。

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