2020年2月12日 (水)

ライル・メイズ追悼:パット・メセニー&ライル・メイズ「ウィチタ・フォールズ」 (R.I.P. LYLE MAYS : PAT METHENY & LYLE MAYS "AS FALLS WICHITA, SO FALLS WICHITA FALLS")

今日はこないだの日曜から月曜にかけての泊まり勤務、続いて火曜の祝日から本日水曜にかけての泊まり勤務という、日曜と祝日が全部泊まり勤務でまったくもって美味しくない勤務シフトを乗り切ったばかりの明け日。昼間は寝て夜は風呂入って、この後また寝る日なのでブログ更新とかするわけない日なんだけど、緊急案件だ。緊急だからペンドラゴン新譜レビューはまたもや後回し。

パットメセニーグループで有名なジャズ、フュージョンの超大物キーボード奏者、ライルメイズが逝去したとの事。そういえば最近動静が伝わってなかったし、パットメセニーグループとしての動きもないなぁと思っていたら、病気だったんだ・・・。ロックしか聴かない人には今回の記事は興味の範囲外だろうけど、私の場合はある程度間口が広くて何でも聴けるので、ライルメイズの逝去はなかなかの衝撃なのだ。一応パットメセニーグループについては以前に一度だけ拙ブログでも取り上げていたし、その際にメセニーを聴くようになった経緯や思い出は書いたと思う。その時はファーストサークルをネタにして書いた記事だったけど、久しぶりに読み返して我ながら懐かしく面白かった。

あなたのような方はそこら辺の街のレコード屋でちょうどいい。

と言ったタワーレコード京都店の元店長のリッチーブラックモアマニアは元気かなww。別に根に持ってるわけじゃないけどwww。

いきなり話が逸れた。今日はライルメイズ追悼だ。さっきまずはパットメセニーグループのオフランプを久しぶりに聴いて、今はウィチタフォールズを聴いている。これを取り上げよう。

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ライルメイズと言えばパットメセニーグループなんだけど、いやいや、ライルメイズ追悼なんだから、ライルメイズの記名がある、パットメセニー&ライルメイズの連名の作品を敢えてね。

1曲目の20分越えの大作タイトル曲も、長さを感じさせず、まるで脳裏に映像が浮かんでくるような素晴らしい作品だし、2曲目の目の覚めるような爽快なライルメイズのピアノが印象的な「オザーク」、ジャズピアニストのビルエヴァンスに捧げた「9月15日」も素晴らしいんだけど、私が個人的に本作で一番好きなのは何といっても「イッツ・フォー・ユー」だ。これもまた、観たわけでもないのに美しい情景が目に浮かぶような素晴らしい楽曲。メセニーのアコギのカッティングから始まってライルメイズの笛系のシンセが良質のメロディを奏でる。視覚的なサウンド、という言い方が正しいのかは分からないけど、でもそんな感じだ。

後のメセニーグループのブラジル路線に進む前の、ECM時代の作品はどれも甲乙つけがたい作品ばかりだし、そこで果たしているライルメイズのキーボードの存在感と役割は、なくてはならないものだ。ライルメイズの鍵盤サウンドを含めてメセニーグループであり、パットメセニーの音楽であることは言うまでもない。

才能の枯渇というものがあり得ないような、音楽的冒険を続けるパットメセニーの旅は、ソロ名義であれ、別プロジェクト名義であれ、ライルメイズの死で停滞することはないんだろうけど、でももうパットメセニーグループはこれで聴けなくなるんだろうなと思うと、それだけは寂しいな。パットメセニーグループとはライルメイズあってのバンドだったから。

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2016年6月16日 (木)

パット・メセニー・グループ 「ファースト・サークル」 (PAT METHENY GROUP "FIRST CIRCLE")

大学の2回生の頃(多分1987~88年頃)、京都に初めてタワーレコードが出来た。場所は烏丸通の四条と五条の間くらいだった。今では全国の色んな場所にタワーレコードがあるけど、その頃はまだまだ外資系の大きなレコードCDショップは殆どなかったと思う。当のタワーレコードですら渋谷店(昔のね)とあともう1,2か所くらいしかなかったはず。なのでわざわざ京都に出店してくれたのが非常に嬉しかった。大学で受講する講義も2回生を終わるとグンと減ってくるので、週4くらいのレギュラーでバイトをやろうと思って大喜びでタワーレコード京都店のバイト募集の貼り紙に呼応して応募した。早速面接、店長さんにどんな音楽を聴くのか訊かれ、主にプログレをよく聴いています、と答えた。とは言っても当時はエイジアを入り口にしてEL&Pやイエスの代表作を聴き始めたばっかり。雑誌を読み漁って知識を身に付けつつはあったが特にプログレに深く詳しいわけでもなく、それ以外のジャンルも深く詳しいわけでは無かった。そしてリッチーブラックモアが好きらしい店長さんからコメント、

「モトリークルーは分かりますか? ディープパープルはどうですか? ブラックミュージックやジャズは? プログレが好きとの事だけどタワーレコードのスタッフは全ジャンルに詳しくないとやっていけませんよ。あなたのような方はそこら辺の街のレコード屋でちょうどいい。」

と、えらい手厳しいご指摘を頂き、残念ながらその場で不採用となった。ガックリしたと同時に悔しかった。その思い出が今でも残っていて、その店長さんの顔と名前も今でも鮮明に覚えている。やがて就職して東京に出て、何年も後になってそのタワーレコード京都店の店長だった方の名前を思わぬところで拝見した。最近残念ながら休刊になってしまったけど、ブー〇を取り上げつつマニアックな記事が多くて私も大好きだったbeatleg誌で、後ろの方のページでパープルやリッチーネタばかり書いてる連載コーナーを担当されていた方である。タワーレコードは退社されたんだろうか。そして厳しいご指摘を頂いた私は、まさしく街のレコード屋、京都では有名だった十字屋のバイトの面接を受けて無事に採用されたのであった(笑)。

大学の2回生の終わりから3回生、4回生と、卒業前まで約2年間、十字屋でバイトをした。その間もあのリッチーマニアの某店長さんの厳しい指摘が脳裏に残っていたばかりに、プログレだけでなくハードロック、へヴィメタル、ブリティッシュロック全般を聴き、それから知識だけはアメリカンロックも勉強した。AORもジャズもフュージョンも、そしてバッハやチャイコフスキーと言ったバロック音楽やクラシック音楽まで貪欲に興味を持って聴き、知識をガンガン増やしていった。しまいには店ではバイトの身分であるにもかかわらず、クラシックとジャズの正担当者という役割を与えて頂き、クラシックやジャズに関するお客さまからの質問に対応し、在庫管理も行い、音楽漬けの日々を忙しくも楽しく過ごしたのである。

随分前置きが長くなったが本題、ここで取り上げるのはパットメセニーの84年作、ファーストサークルである。

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パットメセニーを聴いたきっかけは言うまでもなく上記のバイト時代で、当時の店長さんもプログレ好きで、「これ聴いてみ、フュージョンやけどプログレっぽいで。」と言われたのがキッカケであった。聴いてみて、1曲目はなんじゃこりゃ?と思ったが2曲目以降は確かにジャズフュージョンなんだけど、メロディも良くて、曲によってはロックっぽいリズム感もあって、美しいバラードもあって、なるほどプログレサイドからも聴けるなと思ったものだ。もっともそれから30年近くたって、更にいろいろな作品が世に出ては評論されるのを経て、今になって聴くと、コレをプログレっぽいというのは若干無理があるような気もするが・・・。でも当時はそんな言い方でも十分納得できた。そういう時代だったのだ。

それでも今聴いても、音質的にも音楽的にも十分新鮮で楽しめる。パットメセニーは70年代後半から今に至るまでずーーーっと第一線で活動しているけれど、本作はメセニーの名作として歴史に残る一枚だと思う。

先日、ようやく京都の田舎で再就職が決まった。このパットメセニーのファーストサークルの全収録曲の中で一番好きなのはラストの「賛美 (Praise)」って曲なんだけど、仕事が決まったタイミングで久しぶりに聴いたら何だか泣きそうになったわ。「賛美 (Praise)」の何とも言えない郷愁と優しさを伴った爽やかなメロディとアレンジがジンジン胸に響く。10回くらいリピートしてしまった。苦し過ぎて一言では言い表せないので再就職活動の苦労の経緯や感想なんて言わない。この「賛美 (Praise)」を聴いて洗い流して前向くだけ。

音楽の趣味趣向は人それぞれ。だけども幅広く聴ける方が楽しみも拡がる。あの時、「あなたのような方はそこら辺の街のレコード屋でちょうどいい。」と言われたけど、その悔しさのお蔭で街のレコード屋で大いに音楽の見聞を拡げましたよ。多分今は、当時のタワーレコード京都店の店長だったリッチーマニアの某氏よりも拙の方が音楽の知識も耳の許容量も上回ってるんじゃないかな、へへへ(笑)。

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