2016年6月16日 (木)

パット・メセニー・グループ 「ファースト・サークル」 (PAT METHENY GROUP "FIRST CIRCLE")

大学の2回生の頃(多分1987~88年頃)、京都に初めてタワーレコードが出来た。場所は烏丸通の四条と五条の間くらいだった。今では全国の色んな場所にタワーレコードがあるけど、その頃はまだまだ外資系の大きなレコードCDショップは殆どなかったと思う。当のタワーレコードですら渋谷店(昔のね)とあともう1,2か所くらいしかなかったはず。なのでわざわざ京都に出店してくれたのが非常に嬉しかった。大学で受講する講義も2回生を終わるとグンと減ってくるので、週4くらいのレギュラーでバイトをやろうと思って大喜びでタワーレコード京都店のバイト募集の貼り紙に呼応して応募した。早速面接、店長さんにどんな音楽を聴くのか訊かれ、主にプログレをよく聴いています、と答えた。とは言っても当時はエイジアを入り口にしてEL&Pやイエスの代表作を聴き始めたばっかり。雑誌を読み漁って知識を身に付けつつはあったが特にプログレに深く詳しいわけでもなく、それ以外のジャンルも深く詳しいわけでは無かった。そしてリッチーブラックモアが好きらしい店長さんからコメント、

「モトリークルーは分かりますか? ディープパープルはどうですか? ブラックミュージックやジャズは? プログレが好きとの事だけどタワーレコードのスタッフは全ジャンルに詳しくないとやっていけませんよ。あなたのような方はそこら辺の街のレコード屋でちょうどいい。」

と、えらい手厳しいご指摘を頂き、残念ながらその場で不採用となった。ガックリしたと同時に悔しかった。その思い出が今でも残っていて、その店長さんの顔と名前も今でも鮮明に覚えている。やがて就職して東京に出て、何年も後になってそのタワーレコード京都店の店長だった方の名前を思わぬところで拝見した。最近残念ながら休刊になってしまったけど、ブー〇を取り上げつつマニアックな記事が多くて私も大好きだったbeatleg誌で、後ろの方のページでパープルやリッチーネタばかり書いてる連載コーナーを担当されていた方である。タワーレコードは退社されたんだろうか。そして厳しいご指摘を頂いた私は、まさしく街のレコード屋、京都では有名だった十字屋のバイトの面接を受けて無事に採用されたのであった(笑)。

大学の2回生の終わりから3回生、4回生と、卒業前まで約2年間、十字屋でバイトをした。その間もあのリッチーマニアの某店長さんの厳しい指摘が脳裏に残っていたばかりに、プログレだけでなくハードロック、へヴィメタル、ブリティッシュロック全般を聴き、それから知識だけはアメリカンロックも勉強した。AORもジャズもフュージョンも、そしてバッハやチャイコフスキーと言ったバロック音楽やクラシック音楽まで貪欲に興味を持って聴き、知識をガンガン増やしていった。しまいには店ではバイトの身分であるにもかかわらず、クラシックとジャズの正担当者という役割を与えて頂き、クラシックやジャズに関するお客さまからの質問に対応し、在庫管理も行い、音楽漬けの日々を忙しくも楽しく過ごしたのである。

随分前置きが長くなったが本題、ここで取り上げるのはパットメセニーの84年作、ファーストサークルである。

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パットメセニーを聴いたきっかけは言うまでもなく上記のバイト時代で、当時の店長さんもプログレ好きで、「これ聴いてみ、フュージョンやけどプログレっぽいで。」と言われたのがキッカケであった。聴いてみて、1曲目はなんじゃこりゃ?と思ったが2曲目以降は確かにジャズフュージョンなんだけど、メロディも良くて、曲によってはロックっぽいリズム感もあって、美しいバラードもあって、なるほどプログレサイドからも聴けるなと思ったものだ。もっともそれから30年近くたって、更にいろいろな作品が世に出ては評論されるのを経て、今になって聴くと、コレをプログレっぽいというのは若干無理があるような気もするが・・・。でも当時はそんな言い方でも十分納得できた。そういう時代だったのだ。

それでも今聴いても、音質的にも音楽的にも十分新鮮で楽しめる。パットメセニーは70年代後半から今に至るまでずーーーっと第一線で活動しているけれど、本作はメセニーの名作として歴史に残る一枚だと思う。

先日、ようやく京都の田舎で再就職が決まった。このパットメセニーのファーストサークルの全収録曲の中で一番好きなのはラストの「賛美 (Praise)」って曲なんだけど、仕事が決まったタイミングで久しぶりに聴いたら何だか泣きそうになったわ。「賛美 (Praise)」の何とも言えない郷愁と優しさを伴った爽やかなメロディとアレンジがジンジン胸に響く。10回くらいリピートしてしまった。苦し過ぎて一言では言い表せないので再就職活動の苦労の経緯や感想なんて言わない。この「賛美 (Praise)」を聴いて洗い流して前向くだけ。

音楽の趣味趣向は人それぞれ。だけども幅広く聴ける方が楽しみも拡がる。あの時、「あなたのような方はそこら辺の街のレコード屋でちょうどいい。」と言われたけど、その悔しさのお蔭で街のレコード屋で大いに音楽の見聞を拡げましたよ。多分今は、当時のタワーレコード京都店の店長だったリッチーマニアの某氏よりも拙の方が音楽の知識も耳の許容量も上回ってるんじゃないかな、へへへ(笑)。

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