2018年8月10日 (金)

3(KEITH EMERSON, CARL PALMER, ROBERT BERRY) "LIVE ROCKIN' THE RITZ"

すっかり暑さにやられて2週間ブログ放置してやったぜ。いや、3.2のレビューを読んで欲しくてワザとしばらく更新しないようにしたってのもあるんだけど。業務が盆休み進行でとにかく今が年間で一番の繁忙期。毎回の泊まり勤務のたびに明けの朝は疲れ切った放心状態で帰宅して、昼間寝ても疲れ取れず公休日も何もせずに過ごす感じ。連日最高気温が38度の京都ではさすがに何もする気が起きないし音楽を聴く気もしない。ましてや、時々SNSでも言ってるけど、面倒臭いプログレ、ジタバタしたジャズロック、暑苦しいHR/HMなんてもってのほか。この2週間で辛うじて聴いた音楽って言ったらすっかりお気に入りの3.2と、あと夏でも気持ちよく聴けるプログレであることがハッキリ分かったIT BITESの2nd、あとはAOR系のマクサスくらい。なので、そういう繋がりだからしょうがないんだけどSNSのフレンドの皆様のプログレだのHR/HMだのって暑苦しい書き込みは全てスルー。もう目障りでしかない(フレンドの皆さんスンマセン、笑)。

昨日今日は珍しく京都の最高気温は35度を下回って、32~33度くらいだと涼しく感じるのよマジで。慣れって怖いよね。家で今もエアコンなしで平然とブログ書いてるし。この後いよいよ世間様では盆休みという事で、という事は拙の業務は年間最大の忙しさとなる。盆明けるまで多分ブログどころじゃなくなるのでここらでブログを更新しておこうかと。

何とかロバートベリーの3.2を盛り上げて来日に繋げたくて、ロバートベリーネタで行きたいんだけれども、中古で収集を試みたロバートベリー関連のCDが思ったように集まらず、あ、そう言えば本年2018年の初めごろに3(スリー)のライヴ盤が出てたよなってことを思い出して、山積みになったCDタワーから掘り出した。そうそう、買って1回チラッと聴いたきり放ったらかしだったんだ。それが掲題のライヴ盤。

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2015年にも3(スリー)のラジオショー音源LIVE IN BOSTONが公式化して出ていた。その時はちょうど京都に帰郷して仕事探し中だったから時間があって、めっちゃウダウダとブログ記事を書いたんだった。プロレス界のゴタゴタと引っ掛けて書いたのは、プロレスに興味無い人にはウザかったかもしれないけど、けっこうアレで的を点いているというか、ロバートベリーと3(スリー)結成の流れをうまく説明できたんではないかと我ながら自画自賛しているww。

前作は88年4月15日ボストンでのライヴ、そして今回のライヴ盤はその前日、88年4月14日ニューヨークでのライヴである。ボストン同様にFMラジオショー音源。今回も一応公式盤である証拠に、カールパーマーとロバートベリーがブックレットにコメントを寄せている。

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音質的には正直厳しくて、アメリカ車のカーラジオ向けのような、音がダンゴになっている感じ。演奏の方は特に破綻なく勢いに乗った演奏がタップリ聴ける。例によって走りまくるカールパーマーのドラム、全然負けてないぜとばかりに弾きまくるキースエマーソン、そして走りまくる両者に余裕で対応する若きロバートベリーが大変頼もしい。

小さめのクラヴやライヴハウスを選んでの88年の北米ツアー終了後、2ndアルバム制作にやる気満々のロバートベリーに対して、すっかりやる気をなくしたキースエマーソンによってあっさりとバンドは終わってしまった。3(スリー)のアルバムも、そしてこのライヴ盤で聴ける演奏も大変充実したものであることははっきり認識出来るんだけども、80年代後半という時代の需要に合わなかったのだろう。EL&Pを見せたいのか、エイジア風産業ロックを見せたいのか、ゲフィンレコード、マネージャーのブライアンレーン、そして当の本人たちも売り上げ状況を眺めつつ、その立ち位置が探り探りだったのかも知れない。実際、88年に行われたアトランティックレコード40周年コンサートでの3(スリー)の出演は、当時国内でも深夜にTV放映されて私もVHSビデオで録画して何度も観たけど、3(スリー)ではなくEMERSON & PALMER名義にされてたしww。

そのような周囲の状況を常に鑑みる必要があった当時とは今は違う。小さな需要があるだけでもフロンティアーズのような独立系レーベルが食い付いてくれるし、もしかしたら来日公演だってあるかも知れない。少なくともロバートベリー本人はワールドツアー、そして日本公演を実現したがっているのだから、あとはしっかり3.2が売れてくれればきっと来日公演も実現すると思う。拙ブログごときでもその一助になればと思うのである。

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2018年7月27日 (金)

【全曲レビュー加筆】 3.2 「ザ・ルールズ・ハヴ・チェンジド」(3.2 "THE RULES HAVE CHANGED")

まずは最近恒例の、あそこが痛いここが痛いの初老トークから。先週あたりマジで疲労がピークに達していたのか胸の動悸と右脇腹の痛みに加えて、職場でほんの2時間ほど仮眠したその2時間で首を寝違えてしまい、その後3日間は首が回らないほど痛くて難儀した。更には口内炎が出来て、普通口内炎って1箇所出来ただけでも痛くて辛いのに、なんと同時多発的に5箇所も出来てしまって超不機嫌モード全開。痛くて痛くて、梅干しなんて食べようものなら口内炎に染みて激痛でヒーーーッ!って叫びたくなるくらい。同時に5箇所も口内炎が出来るなんて初めて。よほど疲れていたんだろう。チョコラBBプラスを飲みまくってようやく治まった。地域の所用も責任感のみでほうほうのていでやり切って、とりあえず上半期の取り組みは終了。しばらくは仕事以外の時間は徹底的に静養することに決めたからな。絶対にな。

さて、久しぶりにワクワクする楽しみな新譜がリリースされた。ロバートベリーが生前のキースエマーソンと制作しかけていたマテリアルを完成させた、その名も「3.2」名義の新譜と、期待のプログレプロジェクト、ザ・シー・ウィズインの新譜のそれぞれ国内盤が、珍しく発売日前日の今日無事にウチみたいな田舎に到着した。今回は早速3.2の新譜レビューいってみる。

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3.2は言うまでもなく、キースエマーソン、カールパーマー、ロバートベリーのトリオバンド「3」の続編であることを意識したグループ名である。2016年に自ら命を絶ったキースエマーソンが生前にロバートベリーと制作を進めかけていたプロジェクトとの事。その詳細は本作のライナーに詳しいのでココでは触れない。実際にはエマーソンの逝去によって制作がストップしたものを、改めてロバートベリーが独力で完成にこぎつけた作品となる。当初本作のリリースが公になった当初は、エマーソン、ベリー、そしてカールパーマーも参加していたらイイのにな、なんて妄想したけど上記の通り、エマーソンとコラボ制作した楽曲、またベリー単独作を、まるで3の続編のごとくロバートベリーが作り上げたもので、鍵盤、ギター、ベース、ドラムの全てをロバートベリーが演奏している。ベリーとしては勿論カールパーマーの参加も希望したけれども、ELPレガシーで忙しいパーマーの参加は叶わなかったとの事。なんだそうなのかぁ~って残念に思ってはならない。むしろこの演奏の、エマーソンになり切りっぷり、カールパーマーになり切りっぷりはそれはそれは見事なもの。パッと聴いたらエマーソンやパーマーが演奏してる場面が目に浮かびそうな音の鳴り響き方である。ロバートベリーのまさにマルチプレーヤーとしての本領発揮、同じマルチプレーヤーと言われるビリーシャーウッドよりもロバートベリーの方が個人的には好きかな。音の響かせ方がなんか好み。もしエイジアがどうしてもライヴ活動を継続するならジョンウェットン大先生のベース&ヴォーカルの代打はビリーシャーウッドじゃなくてロバートベリーでもいいんじゃないの?ってマジメに思ってるくらいだから。

内容についてだけど、レビュー記事を書こうかどうしようか正直迷った。まず第一に本作ではロバートベリー本人のペンによるライナーノーツがあって、しかも全曲解説www。更にはその内容はエマーソンが命を絶つ直前の、ベリーとエマーソンの電話でのやり取りなんかも語られていて、実に切々としたエモーショナルなもので、思わずお気楽にレビュー記事なんて書く気が失せてしまったのだ。2016年に日本のビルボードライブで1日2公演×4日間というスケジュールのセッティングに、どれほどエマーソンが悩んでいたかが、このベリーのライナーからもあからさまに伝わってきて、読んでて辛くてしょうがないのだ。

それで全曲解説まであるので拙ごときの全曲レビューは控えて、とりあえず音だけの感想を記しておこう・・・と思ったのだけれど、何度も聴き返したくなるほど気に入ってしまったのでやはりここは潔く?自分の感覚なりの全曲一言レビューいきます。

① One By One
いきなり堂々たる7分超えのプログレハード曲。オープニングとエンディングはノルウェーの作曲家グリーグのピアノ小品から影響を受けたらしいピアノフレーズ。壮大な歌メロあり、また渋くジャジーなピアノソロあり、エマーソン風のオルガンソロありと、まさに昔の日本の洋楽評論家風に言えばクラシック、ジャズ、ロックを融合したまさに定型的な古典的プログレ作。しかし音像は80年代後半のようなシンセのキラキラ感や拡がりも包含していて古さを感じさせない。その素晴らしさに早くも私は昇天した。

② Powerful Man
88年の3(スリー)で言えばTalkin' Boutのような、豪快で爽快で前向きなメロディの気持ちのイイ曲。最初、先行して公開されたPVを視聴した時はあまり面白味を感じなかったのだけど、こうして作品全体を聴いた後で俯瞰してみると、このポップさはなかなか良いアクセントになっている。ワタシ個人的には最初のネガティヴな印象から一変して、繰り返し聴きたくなる曲の位置付けになってしまった。

③ The Rules Have Changed
タイトル曲は寄せては引く波のようなシンセサウンドの拡がりから叙情的な歌メロが始まる。こちらの曲も7分近くの長さだけど曲後半からカッコいいユニゾン的なキメフレーズ、更には少しヘヴィなギターリフの上をシンセソロの展開があり、長さを感じさせない飽きさせない展開が見事。

④ Our Bond
キースエマーソンという偉大なミュージシャンを失った喪失感を表現したとあいう悲しみに満ち溢れたメロディの曲。エマーソンへのトリビュートの意味もあるのか曲後半のシンセソロで一瞬だけエマーソンのライヴのアンコールでお馴染みのAmerica的なフレーズが出てくる。

⑤ What You're Dreaming Now
1987年の時点でエマーソンからベリーに与えられていた楽曲を今回ベリーが完成させたとの事。豪快なカッコいいリフの上をベリーが開放的に歌い上げる。当時のエマーソンが後の再結成ELPのブラックムーンでも表現したヘヴィなリフがとても印象的。

⑥ Somebody's Watching
本作リリースが告知された時点で発表されたリーダートラック。最初聴いた時はエマーソンが弾いてるとしか思えなかった勇壮なエマーソン節、実は全部ベリーの演奏であると今回知って、ベリーの多才ぶりに感心した次第。誰が聴いても3(スリー)の続編として受け入れることが出来る、メロディも爽快なプログレハード曲。見事過ぎる。

⑦ This Letter
アコギとヴォーカルのシンプルでご機嫌な曲。途中から実に豊かなアレンジが施されこれまた飽きさせない。こういう音、なに風っていうんだっけ? ちょっと私の音楽的語彙が足りなくてうまく言えないんだけど。

⑧ Your Mark On The World
本編ラストは、静かに始まったかと思えば性急なリズムの上をテクニカルな鍵盤ソロが駆け巡る。これもまたエマーソンが作りそうな、演奏しそうな雰囲気全開。実にドラマティック。

--- Japanese Bonus Track ---

⑨ Sailors Horn Pipe
日本盤のボーナストラックはこれまたいかにもエマーソン風な展開やメロディ、演奏をパズルのごとく繋ぎ合わせたような、エマーソン風プログレ曲。コレはコレで思い入れ込みで充分楽しめる。

以上、繰り返しになるけど演奏は全てロバートベリーによるもの。上でも述べたけどその演奏ぶりは鍵盤に関してはフレーズも音色使いもエマーソンそのもの、ドラムも黙って聴いていてカールパーマーが叩いているよと言われれば、そうだねって言ってしまいそうなそれらしい演奏。従って実際のサウンド全体はコレはもうまさに「3」そのもの。まさに「3」の続編である。プログレ、ハード、メロディアス、ドラマティック、それらの要素が高い次元で融合した見事な逸品である。「3」的な音であること、のみをディールの条件としたフロンティアーズレコーズの希望通りのサウンドであり、ロバートベリーの希望通りのサウンドであり、我々ファンの希望通りのサウンドである。それでもあえて88年の「3(スリー)」との違いを見出すとすれば、当時はエイジアの後釜としてゲフィンレコードからのプッシュ、というかヒットさせなければならないプレッシャーのあった「3(スリー)」とは違って、今回はよりプログレ感が強めな感じがする。プログレハードかつメロディアスで、更にキレも良くて爽快なサウンドでもある、という久々にすっきりと楽しめる新譜である。

あとは何しろロバートベリー本人の全曲解説が封入されてるので、是非それを読んで下さいって感じ。また、エマーソンへの思い、暗礁に乗り上げた制作を独力で再開させた思い、それら込みで聴けば二重三重に本作を深く聴くことが出来る。ここは是非ベリーのセルフライナーの日本語訳がついた国内盤を買うべきだろう。

見事過ぎる「3(スリー)」の続編であるが故に、ロバートベリーの才能が遺憾なく発揮されたと言ってしまってイイのかは何とも言えないけれども、プログレハードなロバートベリーが好きな人にとっては最高の作品となった。同様の傾向のベリーを楽しみたい場合は、幻の第2期GTR用の楽曲や、「3(スリー)」の2nd用に用意していた楽曲を収めたソロ作「Pilgrimage To A Point」をお勧めする。何度でも聴ける逸品だから。以前に「3(スリー)」のライヴ盤を取り上げた記事でちょっとだけ触れてます。また、昨年にはロバートベリーも参加した「ALL 4 1」の作品も取り上げている。

最後に、本作リリース情報が出た頃にメッセンジャーでロバートベリーと拙がやり取りした内容を載せてておこう。

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どうでしょう、来年2019年の早い時期に日本で会おう、って言ってるよねコレ。単なるリップサービスじゃないことを祈りながら、是非エマーソンの無念を晴らすような来日公演が実現することを切望したい。

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2017年7月 4日 (火)

【Short Review 32】オール・フォー・ワン「ワールズ・ベスト・ホープ」(ALL 4 1 "THE WORLD'S BEST HOPE")

仕事が休みの日に限って雨模様であったり、とても疲れ切っていたり、また今日は台風が近付いていたりで休日恒例のウォーキングがここ一週間ほど出来ていない。足腰がナマってしまわないかと勝手に心配になったりもする。しかし無理にウォーキングせずに休んでたら体調も上向きで、タマには何もしない日があるのも悪くないと思ったり。それで、何もしない分はブログを書いておこうみたいな。ALL 4 1(オールフォーワン)をチャチャっとショートレビュー。

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フロンティアーズレコーズ御用達の、アレッサンドロ・デル・ベッキオによる製作総指揮の今回のプロジェクトバンド。ロバートベリーに注目する観点から本作を購入。幻の第二期GTR、そして3(スリー)のメンバーであったロバートベリーが参加しているとあって、プログレ方面のファンとしては引っ掛かる。ギターはボストンのツアーでもギターを弾いていて2014年来日公演にも来ていたゲイリーピール。ヴォーカルはGIANTのテリーブロック。ドラムは最近のミスタービッグでパットトーピーに代わってドラムを叩いているマットスター。顔触れだけ見るとメロディアスロック好き方面からはとても豪華で、そして製作総指揮がアレッサンドロ・デル・ベッキオと来ればそれはもう期待せずにいられない。

数回通しで聴いてみた感想は、期待通り・・・というか、期待値を決して上回ってはいない(苦笑)。平均点な感じのメロディアスロックって感じ。レヴォリューションセインツのような、ジャーニーやナイトレンジャーのオイシイところを抽出したような、あからさまな突き抜け感を期待したんだけど、そこまででは無かったかな。発売に先立って公開されたリーダートラックの1曲目、After The Rainがなかなかの佳曲だったんだけど、それ以外の曲がそれ以上は突き抜けていなくて、あぁ~、次は? 次は?って聴き進めて行くうちに終わってしまって、う~ん、決して悪くないけど平均点・・・、って、そんな印象。敢えてロバートベリー贔屓の立場から言うと、ベリー単独作の曲が2曲収録されていて、このうち特にDown Life's Pageについては躍動感のあるメロディアスハードで、コレは結構イイ。ベリーやゲイリーピールが参加していたアライアンスで言えばEndless Nightのようなカッコ良さがあって楽しめる。あと、ゲイリーピール作のHero In Your Lifeはイントロのギターの感じからモロにボストンの感じで、デル・ベッキオもワザと狙ってプロデュースしたのかな?って雰囲気があってちょっと笑える。でも平均点(笑)。

期待値を上回らない平均点、とか言ってしまった後にフォローにはなってないかも知れないけど、決して悪くはないですよ。ヒマな時に天気の良い日にBGMとして気軽に聴けそうなメロハーとしてのお手軽感はあるし。あ、この言い方もフォローになってないかも(笑)。

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2015年9月17日 (木)

3(KEITH EMERSON, CARL PALMER, ROBERT BERRY) "LIVE IN BOSTON"

かつてアントニオ猪木は2台のバスを走らせようとした。1983年、今の新日本プロレスブームとは比較にならないくらいの大ブームで人気絶頂、まさに全盛期で我が世の春を謳歌していた新日本プロレスに起こった内紛劇の大波を被った猪木は、内部クーデターにより自らが設立した新日本プロレスの社長の座を追われた。僅か3ヶ月後にテレビ朝日の後ろ盾を受けて社長には復帰したものの内紛の余韻が燻り続けていた。そんな中、84年に新日本プロレスから分派した新団体ユニバーサルプロレス(UWF)が姿を現す。当時は不透明であったが後にこの新団体UWFには猪木自身が一枚噛んでいたことが関係者の証言により史実として明らかになる。商魂逞しい猪木の目的の一つは2台のバスを走らせてダブルで儲ける、簡単に言えばそういうことになる。2台のバスの内訳は以下。

①号車 : 新日本プロレス & テレビ朝日
②号車 : UWF & フジテレビ

ところがこの目論見は②号車からフジテレビが降りてしまったことで暗転し頓挫。猪木の目的は未達のまま猪木の手を離れた②号車のUWFは異なる方向へ変質し、肝心の①号車の新日本プロレスも衰退に向かってしまう。この後の史実の裏側についてはこのブログの主題ではないので割愛する。

さて、偶然にもちょうど同じ時代に音楽界のしかも我らがエイジア界隈で似たような事例が起きた。1982年に記録的大ヒットで華々しいデビューを飾ったエイジアが我が世の春を謳歌していたはずの翌83年、2ndのアルファの売上とツアーのチケット売上不振によりアル中を抱えるジョンウェットン大先生が解雇された。ところが僅か数ヶ月後の84年初頭にジョンウェットン復帰、同84年9月には鋭く対立するスターギタリストのスティーヴハウ脱退という内紛劇の末にハウとスティーヴハケットの双頭バンドGTRが姿を現す。この時、2台のバスを走らせようとした人物は誰か。70年代イエス、そしてエイジアの敏腕マネージャー、ブライアンレーンである。商魂逞しいブライアンレーンの目的は、エイジア内紛の状況を逆手に取り2台のバスを走らせてダブルで儲けること、簡単に言えばそういうことになる。2台のバスの内訳は以下。

①号車 : ジョンウェットンのエイジア & ゲフィンレコード
②号車 : スティーヴハウのGTR & アリスタレコード

まず②号車のGTRは86年に見事デビューアルバムで成功を収めた。しかし折角の成功にもかかわらず双頭の片方のスティーヴハケットが②号車から降りてしまう。ブライアンレーンはハケットの代わりに有望な若手のロバートベリーを②号車に乗せて第2期GTRとして継続を図るが途中で頓挫、②号車は停車してしまう。一方の①号車の方はと言えばエイジアの渾身の力作アストラがアルファにも増しての売上不振で途中停車してしまった。何とかしたい商魂逞しいブライアンレーン、①号車にカールパーマーを残し、EL&Powellからコージーパウエルに逃げられてしまったキースエマーソンを同乗させ、更に一旦②号車に乗せていた若手ロバートベリーを②号車から降ろして①号車に乗り換えさせた。これにて①号車を内訳を以下の様に修理した。

①号車 : 3(スリー) & ゲフィンレコード

こうして88年に再発進した①号車であったが残念ながらブライアンレーンの奮闘空しく、3は大きな成功を収めることは出来ず再び停止してしまった。ブライアンレーンが必死で再発進させた①号車の停止目前の貴重な記録が今回のブログの主題の3(スリー)の2枚組ライヴ盤である。前置き長いって?(笑)

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なんか私の中では3(スリー)と言えば苦闘するブライアンレーンっていう、そういうイメージが真っ先に浮かんでしまうのである。ロバートベリーの才能を前面に押し出したそのサウンドは産業ロックそのもの。味付けをキースエマーソンがやりましたって感じでEL&P~EL&Powell~3(スリー)という系譜に並べるには若干無理のある産業ロックサウンドは当時リアルタイムで聴いたときはあぁ厳しいなぁと思ったものだった。今になって時代性を気にせずに聴くと非常に良く出来たプログレ風味の産業ロックとして、何のことはない私の大好物ではないかと思えてしまうのはちょっと調子が良すぎるかね。

内容に関してはFM放送音源でブートでも出ていた音源。これがPre-FMマスターであれば嬉しいんだがそこはちょっとわからない。ラジオ放送用のトランスクリプションディスクからDJコメント部分を取り払っただけのような気もするし。でも一応フェイスブック上ではエマーソンもベリーも今回のCDを喜んで紹介しており、そういう意味では公式盤と言って差し障りは無さそう。演奏曲は3(スリー)のアルバム曲中心に、オープニングと中盤と終盤にEL&Pの有名曲を配するというファンからしたら期待通りのセットリスト。

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ベースを弾くベリーに加えてサポートギタリストとコーラスシンガーを加えて万全の布陣で展開される演奏も全く問題なし。例によって走り気味のカールパーマーのドラムはともかくとして。曲がりなりにもメンバー公認で貴重なライヴ盤が発売されたことは素直に喜びたい。

ロバートベリーの才能がこのまま埋もれていくのが勿体ないと思っているのでこのような発売がロバートベリー再浮上の何かのきっかけになるともっと嬉しいんだけどな。ちなみにロバートベリーが幻の第2期GTRやEL&Pへの提供用に書き溜めていた楽曲群は95年に "PILGRIMAGE TO A POINT" というタイトルでベリーのソロアルバムとして残されている

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自主制作レベルの音質ではあるが楽曲の充実度は素晴らしく未だに私の愛聴盤である。

というワケで3(スリー)の話がしたいのかブライアンレーンの話がしたいのかよく分からない内容になってしまったが、本稿での猪木とブライアンレーンの2台のバスを走らせた話から勉強出来たことがある。

「二兎を追う者は一兎をも得ず」

ハハ、失礼しました~。
と言っておきながらブライアンレーンの名誉のために蛇足ながら付け加えておく。2台のバスのうち折角アリスタレコードに乗ってもらった②号車について、第2期GTR崩壊後に修理を施して以下のようにした。

②号車 : ABWH & アリスタレコード

②号車にスティーヴハウをキープしつつ今度はジョンアンダーソンと復縁して70年代のイエスの仲間を②号車に乗せて、ガッチリ稼ぎ、更には8人イエスにまで展開して大儲けしたところはさすがだなと。昨年のリックウェイクマンのソロピアノ来日公演のパンフにブライアンレーンの名が記載されていたそうで老いてなお抜け目の無さがオイシイ人物である。

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