2017年6月 1日 (木)

【Short Review 30】ザ・ロンリー・ロボット 「ザ・ビッグ・ドリーム」(LONELY ROBOT "THE BIG DREAM")

何かと忙しくてビートルズのサージェントペパーズ50周年BOXも未開封どころか未開梱状態で、おまけに数日前からどうしたことが頭痛がして気分も体力的にも一杯一杯。京都はここのところ連日気温30度超えで、もしかして軽い熱中症にでもなってたかな。昨日は24時間勤務明けで帰ってきてから昼間寝て、そのまま夜20時頃まで寝てしまい所用で出かける用事も遅刻。そのあと夜は夜でグッスリ朝まで寝れてしまって、やはり相当疲れていたようである。さすがにそんだけ寝たからか今日は頭痛も無く、朝は所用と買い物で時間を使い、出かけたついでに久々コメダで大ヴォリュームエッグサンドを食す。トレヴァーホーンの8月来日の知らせに関西系のウェットンファン仲間LINEグループで大いに盛り上がって急に元気が出てきた。9月には待望のペンドラゴン初来日もあるし、双方ともに東京のみのようで金策に頭を悩ませることになるがそれはそれ。あの時のドラマ紙ジャケにトレヴァーホーンのサインを頂く大チャンスである。

明日からまた土日含みの連勤が月曜まで続くので何かブログ書いておこうと思って、今回もショートレビュー。国内盤の発売がなぜか遅れていたジョンミッチェルのロンリーロボットの2nd。国内盤表記が「ザ・ロンリー・ロボット」だけど、「ザ」は要るのかな? よく分かんないけど。

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前作1stでは全曲レビューしてしまったけど今回はそこまでは・・・。時間が無いのでパパッと聴いた印象でご勘弁を。
全体的な音楽の方向性とか音の質感は前作とあまり変わらないかな。高品質の、歌モノ中心のプログレっぽくもありハードな質感もある。少し前作よりもハードなギターや、また逆に静謐な曲では情感豊かなギターソロが多めな感じで、ポップさや歌モノとしての親しみやすさは前作の方があった気がする。前作を聴いて感じたIT BITESやKINOとの親和性から少し離れて、これがジョンミッチェルなんだよと、そういう主張と捉えるのもありかも知れない。個人的お気に入りトラックは、

⑥ False Lights
⑧ The Divine Art of Being
⑨ The Big Dream
⑩ Hello World Goodbye

ってとこかな。どれもギターがウルサ過ぎず、かといって甘ったる過ぎるわけでもなく、若干のしっとりした情感もあって、前作からの違いを敢えて見出すならこのあたりかも知れない。

いずれにしても十分な力作であり、聴いて損はない。まだ何回も聴けてないだけに、聴けば聴くほどにまた更なる発見と言うか味わいが出てくるかも知れない。でもアレだな、あくまでも自分の好みだけで言うと、KINOは超えていない。ジョンミッチェルのこれまでの仕事の中では未だに、ロンリーロボットよりも、IT BITESよりも、FROSTよりも、KINOこそが彼のベストワークだと思っている。いつか真面目にKINOをこのブログで取り上げないとな。

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2016年11月 3日 (木)

フランシス・ダナリー 2016年来日公演2日目 FRANCIS DUNNERY Plays IT BITES "CALLING ALL THE HEROS" (Nov 2, 2016 @ TSUTAYA O-WEST SHIBUYA TOKYO)

元イットバイツのフランシスダナリーが、イットバイツ在籍時代の89年以来約27年ぶりの来日。今回はイットバイツの楽曲のみをプレイする2Daysと、おそらくソロ曲も含めると思われるアコースティックライヴで、東京のみ計3日間の来日公演スケジュール。その2日目に参戦。

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呼び屋が目白のワールドディスクと言う時点で大阪は無いだろうとは思っていたが、案の定、関西圏はなし。ビジネスとしてはそりゃ色々収支の計算もあって難しかったのかも知れないが、せめて大阪1日くらいはやって欲しいものだ。それでも観に行きたければ仕方がないので私も京都から東京へ参戦するしかない。地方から参戦となったらライヴ当日と、その日の夜は東京で1泊で2日間必要なので、仕事の勤務シフトを調整してもらって公休2連休とさせて頂いた。私の場合、80年代後半当時からイットバイツを聴いてはいたものの、89年の来日公演は参戦しておらず、そういう意味ではフランシスダナリーの来日はまさに個人的に待望であった。イットバイツセルフカヴァー作ヴァンパイアーズをほぼオリジナルに近いアレンジで制作した時点で、過去曲に向き合う姿勢を見せてくれたダナリーが全曲イットバイツをプレイするとは何とも魅力的ではないか。ジョンミッチェルをフロントに据えた現行イットバイツが休眠状態である以上は、イットバイツを楽しむ貴重な機会にもなるし。

それでは、25年に及ぶ東京生活を終了して京都へ帰郷したこの私が、約1年4か月ぶりに東京へ行くという個人的な感情も込めた参戦レポいきます。

2016年11月2日(火)、先週のリンゴスター大阪公演の日と同様に京都は朝から素晴らしい晴天。しかし全国の天気予報を見ると東京は寒いらしい。念の為にウインドブレーカーをトートバッグに放り込んで、いざ東京へ出発。新幹線に乗るのも久しぶり。今や給料は以前の半分という苦境の中で踏ん張っているので余計な金はかけられない。新幹線はもちろん自由席。でも平日昼間だから座れるしOK。東京で泊まる宿もビジネスホテルとかじゃなく、渋谷のカプセルホテルを予約。カプセルは東京で忙しく仕事してた頃もよく利用していたので勝手知ったるもの。何の違和感も感じない。車内でイットバイツを聴いてるうちに東京駅に到着。1年4か月ぶりの東京という事で何らかの感慨を感じるかなと思ったら以外に何もない。中央線に乗ってまずは新宿へ。アカシヤでロールキャベツシチューを食べる。ここでも例えば懐かしさが込み上げてきてセンチな気分にでもなるかなと思っていたがそうでもなく、まるで新宿の風景もディスクユニオン各店を覗いてみても昨日の今日みたいな感覚。特に買い物するでもなく地下鉄で渋谷へ。東京の電車乗るのも1年4か月ぶりなわけだが、ホントに込み上げるものが無い。むしろなぜか仕事でシンドイ思いや辛い思いをしたことばかりが思い出されてくる。いつも見た景色、風景が自分の中であまりにも今も変わらず日常的に感じて、ただ一つだけ、この地には自分が住む寝床となる自宅はもう無いんだなぁって言う、そこだけ何か寂しさを感じた。渋谷のカプセルホテルにチェックインして休憩。そして時間を見計らって外出して今回のライヴ会場O-WESTへ。しばらくして今回一緒に参戦する東京時代の音楽仲間のSさんと合流。これまた昨日の今日みたいな感覚で案外懐かしさが込み上げてこない。普段からSNSとかでやり取りしてるからかも。開場して早速物販へ。今回は10/31にタワーレコードでサイン会があったり、11/3のアコースティックライヴではミート&グリート企画があったり、もし自分も首都圏に住んでいれば間違いなく参戦したであろう2回ものサイン会にも、地方からの参戦ゆえに参加出来なかったのでその腹いせに、せめて物販で国内盤CD購入の場合にフランシスダナリー直筆サイン色紙プレゼントっていう、コレだけはゲットしておこうと思っていたので、あえてこの日の為に買って無かった1stソロのリメイク作をここで購入。しっかりサイン色紙も頂きました。あとファミリーツリーも。

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これで少しは溜飲が下がった。あとは開演までSさんとお喋り三昧。場内で流れているBGMがソフトマシーンのバンドルズだったりするところが、ホーさん好きなダナリーらしい。

そしてほぼ定刻19時、メンバー登場して開演。

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前日の初日公演では約90分の長さだったそうだが、この日は2曲追加で約110分に及ぶヴォリューム満点のライヴとなった。セットリストは以下。

01. I Got You Eating Out Of My Hand
02. Yellow Christian
03. Underneath Your Pillow
04. Feels Like Summertime
05. The Ice Melts Into Water
06. Vampires
07. Calling All The Heros
08. You'll Never Go To Heaven
09. Old Man And The Angel
10. Still Too Young To Remember
11. Screaming On The Beaches

--- encore ---

12. Once Around The World

いやもうそりゃイットバイツの名曲群の再現とあって内容的には最高に楽しめるライヴであった。ちょっとこじつけな言い方になるかも知れないけれど「フランシスダナリーにとってのイットバイツ」を見せて貰ったというか、「イットバイツは紛れもなくフランシスダナリーが中心核であった」ことを見せて貰ったというか、フランシスダナリーのライヴにおいて全曲イットバイツのナンバーであることが何の違和感もなく受け入れられる楽しさであった。80年代当時のイットバイツの音楽性を簡単に言い表すのにプログレポップというような言い方もあるが、そのなかでフランシスダナリーの曲作り、アレンジ、ホーさんことアランホールズワース好きが滲み出たようなギターフレーズは、エキセントリックな風味を醸し出していた。そのエキセントリックな風味で時々プログレポップ感覚からハミ出しかける様がまさしく「フランシスダナリーのイットバイツ」であったと思う。現行イットバイツが、まぁイメージだけどちょうどこのフランシスダナリーのエキセントリックさを排した、ワリとコンサバティヴな安心して聴ける聴き易いプログレを指向していて、もちろんそれはそれで私は好きなんだけれど、こうして「フランシスダナリーのイットバイツ」を聴くと、あぁ確かにオリジナルのイットバイツはこうだったなぁって感じ入ることが出来る。

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グズグズと理屈を言いたがるプログレもの的な書き方をしてしまったが、そうは言いつつCalling All The Herosでは私も一緒に気持ちよく合唱して盛り上がった。

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Still Too Young To Rememberに至っては、「ドンチュノウ、ドンチュノウ」とか「ナーナー、ナーナナー」とか軽く涙流しながら合唱してしまった。

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アンコールではみんなが期待する大作Once Around The Worldを完奏。終盤の子守歌的なセクションでは当然私は泣いてましたが何か(笑)。

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以上、大満足の内容で終演。フランシスダナリーは最後まで大変ご機嫌で笑顔で楽しそうだったのがとても印象的であった。

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売れることに興味が無いワケではないだろうが、とても自分のその時々の趣向に正直なのかマイペースな音楽活動故かどこか器用貧乏的な感じもするこの天才ミュージシャン、もっともっと注目されて欲しい。

終演後は、首都圏時代のウェットンファン仲間約10人で盛大に飲み会。ここでは本当に懐かしいお仲間の皆様と再会できてとても嬉しかった。半分これが楽しみで東京まで足を運んだようなもの。店の予約やメンバーの声掛けに尽力して下さったSさんやKさんやYさんには感謝が尽きない。東京方面でも音楽呑み仲間がいて、そして今は関西方面でも音楽呑み仲間がいる、そういう意味では帰郷して2倍楽しい思いが出来てるかも知れないなと思うとこれからもいろいろ苦しくても前向きに頑張れそうだな。

さて、怒涛のライヴ参戦シリーズ、次は大阪上本町でスポックスビアード奥本亮さんのプログレナイト、そして現行イエスの来日公演大阪、金欠と闘いながら楽しみますぜ。

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2016年10月15日 (土)

フランシス・ダナリー 「ヴァンパイアーズ」(FRANCIS DUNNERY "VAMPIRES")

つい1週間ほど前まで京都では最高気温が30度超えで蒸し暑くて、職場では9月いっぱいでのクールビズ終了の予定が急遽1ヶ月延長になったり、ところがここ1週間は一気に気温が下がって朝方の冷え込み厳しく、全くもって服装の調整が難しい。職場でも深夜から朝方の勤務時は暖房を入れ始める状態である。相変わらず職場での24時間シフト勤務や仮眠にうまく対応できず寝不足が重なるせいか休みの日もちょっとテレビを見ているうちにすぐ寝落ちする。基本的に土日祝日休みとかじゃないから、所謂連休ってのが無い。これがどうも今までの自分のリズムと違うのが大きい。一日休んだらすぐまた翌日仕事なので、落ち着いて休めないというかなんか休んだ気がしない。コレは今の仕事で自分はどうなんだろうなどと思ったりする瞬間もあるが、後ろ向きやネガティヴな考え方は極力しない主義なので何とかこの状況の中での小さな楽しみを見つけたり、例えば明けで帰宅した朝っぱらから晩酌ならぬ朝酌が出来るのも気分がイイではないかとか、前向きに捉えようと奮闘するのである。ブログを書くこともなかなか手が付かず、自分的にこのブログの使い方と言うか書き方も考えないとなぁとか思ったり。気合を入れて書こうと思わずに、なんちゅうかもっと気楽に、ちょっと出かけた話とかグルメネタとかもありかなとか。でないと気分的にブログ更新が負担になってきて面白くなくなってくる。何度も言うがコレ仕事じゃないんだしな。まぁそんな具合なので購入したCDを聴くどころか開封すらしていないものが溜まり始めてきた。

なんとか開封したものから取り上げようかという事で、今回はフランシスダナリーのイットバイツ時代の楽曲セルフカヴァー作である。

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本作は今年の前半にはダナリーのサイト等でリリースされていたが、来日話に合わせて国内盤発売の予定があったので、ずーっと国内盤待ちで買い控えていた。ようやく10月に入ってボーナストラック1曲込みで国内盤リリースとなったものである。

最近は家でじっくりCDを聴く感じではなく、アイホンに入れておいた作品を休日のウォーキング中に聴くというクセがついてしまって、それが主な音楽リスニングタイムになってしまっている。どんどんアイホンにCD音源を放り込むものだから、アイホンの容量がパンパンになってきて、とうとう容量不足みたいなメッセージが出始めた。アイホンも新しいの出たことなので容量の大きいのに機種変しようかと考え始める。

それで、本作であるがウォーキング中に3周ほど聴けた。収録曲は以下のCDパッケージ裏面より。

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言うまでもなくフランシスダナリー在籍時のイットバイツ初期3作からのセレクションで、全曲リ・レコーディングされたものである。楽曲のクォリティの高さは80年代当時から評価されていたし、それらの曲をほぼ原曲通りのアレンジで再録しているから、繰り返し聴けるクォリティではある。実際、音楽を聴く暇が無いだの未開封のCDが増えてきただの言いつつ本作はウォーキング時を利用して3周も聴いたんだから。

過去によく聴いてきた楽曲であり私の中でのイットバイツのリスニング歴は以前にこちらの記事でも書いたので全曲レビューはしないけど、感想と言うか第一印象は恐らく聴いた人すべてが同じ印象を持ったのではないか。それは音像についてである。先にも触れたとおりアレンジは全てほぼ原曲通りであるが、音像がとても素朴と言うか、80年代的なエコー感やキラキラ感が全く削ぎ落とされたようなサウンド。一例を挙げれば鍵盤サウンド、80年代の派手さやキラキラ感を避けてハモンドオルガン系のサウンドを多用していたりする。これが曲の良さを露わにするために敢えて狙った音像なのか、それとも金や時間をかけなかった結果としてこうなったのかは分からない。この音像と言う部分だけを捉えればポジティヴにでもネガティヴにでもどうにでも捉えられる。80年代的サウンドが好きな私は、本作を何度か聴いた後に改めて80年代のイットバイツ3作を聴きたくなってしまったのが正直なところ。しかし私としては決して本作の存在をネガティヴに捉えてはいない。もうプログレッシヴミュージックはやりたくないと言ってイットバイツを離れ、事実90年代以降はシンプルなロックやアコースティック路線に進んでいたフランシスダナリーが、いま改めてイットバイツ時代の楽曲に真正面から向き合ったことを素直に喜びたいのである。その歴史を踏まえた今のフランシスダナリーがイットバイツの楽曲を演奏するとこうなる、そういう事なんだと思う。

いよいよ待望のソロとしての来日公演が2週間後に迫ってきた。地方に帰郷した私が一番恐れていた、東京公演のみの来日スケジュール(苦笑)。仕方ないので東京公演のチケットを購入。東京で泊まることも考えれば2日分の休みを確保しないといけない。交通費と宿代もいる。その前にその日と翌日に仕事を休めるかはまだ判然とせず・・・(職場で申請はしている)。おまけに10月31日にはタワーレコード渋谷でサイン会、11月4日には南青山でミート&グリートもあるとの事で、あぁ東京方面に住んでいれば2回もサインを貰うチャンスがあったのに!! みたいな悔しい思いをしなければならないのも地方に帰郷してしまった私ならでは。でもそういう事まで覚悟しての一大決心で帰郷したのだからやむを得ない。

ジョンミッチェル入り現行イットバイツが休眠状態の現在、フランシスダナリーがイットバイツ楽曲再現ライヴをやるのはまさにタイミングとしてはベストと言ってもイイ。オールスタンディングなので腰の具合が心配とか、グズグズ言わずに思いっきり楽しみたい。

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2016年6月25日 (土)

イット・バイツ 「イート・ミー・イン・セントルイス」 (IT BITES "EAT ME IN ST.LOUIS")国内初版CDサンプル盤

元イットバイツのフランシスダナリーが、イットバイツ時代の曲をセルフリメイクした新作を完成させた。既にサイトでは発売されていて、国内盤も追ってリリース予定との事。合わせて本年11月には来日公演も決定し、フランシスダナリー及びダナリー在籍時のイットバイツ初期3作が改めて脚光を浴びる年になりそうである。なのでこのタイミングで私もイットバイツを取り上げてみたい。

私のイットバイツのリアルタイム体験は80年代後半、2ndのワンスアラウンドザワールドだった。当時はすっかりオールドファッション扱いのプログレをチョイお洒落にポップに響かせつつも、14分の大作も含まれた、しっかりした演奏技術と作曲能力が感じられる作品として一部で評判になっていたので、試しに買ったのであった。聴いて感じた印象は、あくまでも当時の感覚の話ではあるが、すっきりした音像で、悪く言えば軽くて、正直それほどインパクトは感じなかった。それはイットバイツの問題ではなく、私自身の聴く耳の問題だったんだと思う。その頃の私は80年代のエイジア、イエス、GTR、EL&Powellのヒットを受けて、そこから70年代へ遡って、後追いで70年代プログレにハマり始めてた頃だったから、その趣向で聴くと、やはり少し物足りなく感じたのであろう。

そんな中で89年に発売されたのがこの3rd、イートミーインセントルイスである。

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イエスがトレヴァーラビン主導のハードポップ路線のビッグジェネレーターで、90125に次いである程度のヒットを記録すると、私の周りではこのビッグジェネレーターが一つの基準のようになって(あくまで当時の話)、ワールドトレイドの1stや、今回取り上げるイットバイツの3rdの比較対象として語られてた気がする。曰く、ビッグジェネレーターに似てるね、って感じで。当時バイトしてたCDショップで、店長さんもそのような事を言ってて、私も同意していたものだ。上にも書いたように当時は2ndもそれほどインパクトを感じなかった中ではあったが、それに反してこの3rdは私の中でも要注目として発売を楽しみに待っていた。理由はとても調子の良いものである。その理由とは、ABWHを始動させてヒットさせた策士マネージャーのブライアンレーンが、イットバイツの3rdからマネージメントを買って出たこと、これが注目した理由である。マックというしっかりしたプロデューサーを起用し、バンドロゴやジャケットはロジャーディーンの起用と、イエスの新時代後継をイメージさせるような戦略展開にすっかりしてやられた私であった。CDショップのバイト店員だった私はレコード会社のセールスの人にサンプル盤をおねだりして、頂いたのが上記写真の国内初版CDのサンプル盤である。国内盤は海外とは曲順が違っていたのか、1曲目はシスターサラであった。

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何しろイエス後継の意味合いも込めて注目していただけに、この盤を本当によく聴き倒した。2014年にフランシスダナリー在籍期の作品がボーナストラック入りリマスター紙ジャケの決定盤として発売され、この3rdはかつての海外盤に準拠した曲順になっていたと思う。

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私はこういったリマスター再発紙ジャケで決定盤!みたいなのが出た時には、原則として旧規格盤はホイホイ中古屋さんに売り飛ばしてしまうんだが、この3rdの国内初版サンプルCDは未だに手放せない。なんとなく当時の思い出と、曲順に対する思い入れが出来てしまって、今でもシスターサラから始まる曲順じゃないと聴く気がしないのである。シスターサラの勢いあるハードな曲での始まりは、前作とは打って変わった印象で、その印象が強く脳裏にインプットされたまま最後まで聴いてしまう。だからこそ、スティルトゥーヤングトゥリメンバーのメロディアスなポップ感覚や、リービングウィズアウトユーの静謐な美しさも際立って感じられる。結果、プログレ的曲展開よりもかなりストレート&ハードに振れた作品イメージが、当時バイトしてたCDショップの店長も私もビッグジェネレーターに似ている、っていう当時なりの感じ方になったのであろう。

策士ブライアンレーンが売り出しにかかったからには、さぞかしABWHと抱き合わせにして、売れるに違いないし、イットバイツの前途は洋々であると思っていたんだが、こちら側の希望など関係なく、また期待したほどは大ヒットはせず、フロントマンのフランシスダナリーが脱退して、バンドは終焉を迎えるという悲しい末路となってしまった。

それから10年以上を経て、2000年代になってスーパーバンドKINOでジョンベックとジョンミッチェルが意気投合でもしたのか、ジョンミッチェルをフロントマンに迎えてイットバイツが再編された。改めて初期3作の楽曲群を演奏したライブ盤を聴いて今更ながら2ndの楽曲が気に入ったというか、プログレッシヴ・ポップ・ロックとしてのクォリティの高さに気付いたのは、その間に多くの様々な作品を聴いてきたからだろう。今になって80年代後半当時の自分の趣向を抜きにすると、俯瞰して正当に評価できるようになったというか。今では一番よく聴くのは2ndのワンスアラウンドザワールドになっている。

しかし、フランシスダナリー在籍時の初期イットバイツの、その末路まで含めての思い入れ込みで、この3rdの旧規格のサンプルCDが未だに大好きである。この3rdの後、脱退したフランシスダナリーが91年に発表したソロ1st、これも当時は待ちに待った発売であったが、それはまた別稿としたい。

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2015年9月 2日 (水)

THIS OCEANIC FEELING "UNIVERSAL MIND"

予想外に気に入ったジェフダウンズとクリスブレイドのプロジェクトDBAの2ndがダウンズによると仕上げの段階に入ったようで年内発売予定との事。やはり高校や大学時代をあの80年代の深~いエコーの効いたスペーシーかつゴージャス、キラキラ、ポップな音像を聴きながら過ごした関係で今でもあの感じの音楽を聴くとついつい心が動く。DBAはまさにプログレ風味を加えた80年代ポップサウンドでドツボだった。2nd発売が待ち遠しいところであるがその前にクリスブレイドがDBAとは別プロジェクトを始動していた。それが今回取り上げる THIS OCEANIC FEELING の "UNIVERSAL MIND"。

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参加メンバーはクリスブレイド(Vo,Key,G)にアッシュソーン(Dr)、このトレヴァーホーン界隈の2名に近頃休眠中のイットバイツのメンバーで、リックウェイクマンやスティーブハケットのバンドでも重宝されている凄腕ベーシスト、リーポメロイ(Bass)が合体した3名。確か7月に発売されていたようだが引越しのどさくさでウッカリしていて8月になって慌てて注文。お取り寄せ状態だったのがようやく到着。パッケージは3面見開きデジパック。内側はこんな感じ。

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外側は以下。

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早速開封して早くもへヴィローテ。DBAを聴いて気に入った人や、私のように未だに80年代的な音像に何とも言えない感慨を抱く人にはすぐにでも聴いて欲しい。予想通りの期待を裏切らない、そういうサウンドである。収録曲は以下のような序曲的なオープニングから終幕の短い最終曲まで含めて全12曲。胸にキュンとくるメロディと音像満載。

① Lie Detector
② Put Down The Gun
③ Radio
④ Logotherapy
⑤ Universal Mind
⑥ Intensive Care
⑦ Wake Up
⑧ I Play Debussy
⑨ Johnny Tragic
⑩ Karma Camera
⑪ Season Of Light
⑫ Finale

DBAによく似ているがそれだけで済ませてしまうと面白くないので、敢えてDBAと比較して言ってみると、やはりドラマーとベーシストが参加してるだけに打ち込みやシンセベースでは無い分、人手によるノリというかグルーヴ感と言うかドライブ感が増している。DBAよりはちょっと薄めのプログレ風味で、いくつかの歌メロや鍵盤のメロディは深く胸を打つセンチメンタルな美しさもあり、そこら辺を気に入る人にはクセになると思う。私はクセになってる。

①はいかにも大味なプログレ的に始まり②でバグルス的ポップになるがここで印象に残るのはドラムとベースが起こすドライブ感。この時点でDBAとは似て非なる感がある。PVも制作された本作リードトラックの③はクリスブレイドの素晴らしいメロディ感覚が味わえるが、加えて鍵盤の音色使いと残響音の生かし方が80年代的で感動的ですらある。リーポメロイのベースが曲を引っ張っているとさえ感じる軽快な④、これまたヴォーカルと鍵盤にたっぷりエコー感を聴かせた空間を気持ち良くゆったり漂うような⑤⑥⑦⑧(←おいおい端折り過ぎ?笑)、再びアップテンポなバグルス的な⑨を経て⑩、これが私の今作一番のお気に入り。たまらなく郷愁を感じる美しいヴォーカルメロディ、その後ろで響く鍵盤のメロディも美しいし、更にはベースのメロディまで美しい。ちょっとなんか現実を離れたいときにはピッタリのあまりに美しい曲。この曲がずーーっと続いてくれてもイイくらい。しかし続く⑪も美しい。8分半の大作ながらプログレと言うよりは美味しい歌メロと美しい鍵盤の音色使いが延々続く感じが凄く浸れる感じ。最後⑫はムーグ的なシンセのメロディが軽快に鳴り響いて終了。

この作品は耳に馴染みやすくて聴き易いキャッチーなメロディと音像が満載なので、例によって気に入ったからと言って毎日聴くとすぐに胸焼けを起こして飽きるから気を付けなければならない。DBAの時もめっちゃ気に入った後、わざと1年くらい聴かないようにした。そのお蔭で飽きずに今でも月に一回くらい聴ける愛聴盤となっている。大事に聴くようにしたい。そして続くDBA2が超楽しみでもある。

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2015年2月22日 (日)

LONELY ROBOT "PLEASE COME HOME"

普段は余程の事が無い限り国内盤を購入する私だが今回はなんかいろいろストレスが多くて少しでも早く聴きたいものは聴きたいと思ってEU盤で買ってしまった、JOHN MITCHELL の新プロジェクトLONELY ROBOTのデビューアルバム。デビューと言ってもこのプロジェクト名で次があるのかは定かではないが。

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我らがジョンウェットン人脈として認識していたジョンミッチェルも今ではIT BITESの立派なフロントマンかつメインソングライターとして知られるようになった。そのイットバイツは数か月前に確かジョンミッチェルとジョンベックで新作の曲作りを開始したというような、ミッチェル本人のつぶやきをツイッターだったかフェイスブックだったかで見た覚えがあったがいつの間にかイットバイツは開店休業状態で後続情報は伝わって来ず、ミッチェルはこのソロプロジェクトを開始し新作を完成させたようだ。なんでもジョンベックの方はFISHの長期ツアーに参加することになったとの事で、この分ではおそらくイットバイツの新作への動きは当分先になりそう。

このジョンミッチェルって人は自らOUTHOUSE STUDIOSというスタジオを主宰していて、実はいろんなミュージシャン、バンドの作品のミキシングやマスタリングも手掛けている。エイジアの最近作グラヴィタスもミキシングはジョンミッチェルがOUTHOUSE STUDIOSで行っている。今作ではソロプロジェクトという事もありドラム以外ほぼ全ての楽器を自ら演奏し、アレンジ、プロデュースも行っていて、そういう意味ではビリーシャーウッドと同じようなマルチな活動が出来る才能を持ち合わせていることが分かる。但しその結果生み出されてくる音像に関してはワタシ的には断然ジョンミッチェルの仕事ぶりの方が好みである。英国ならではの湿り気のある音像がやはり私好みなのだ。英国で湿り気がある音像と言ってもその音像はどこまでも耳触りが良く土の匂いは無い。

既に購入して一週間で6回くらい通しで聴いた。かなり気に入ったのでここは久々に全曲レビュー行ってみよう。でもエイジアじゃないから内容は簡易版で。ちなみにEU盤ジャケはデジパック。結構安っぽい作りであまり好きではないが。

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装丁によっては3月に発売予定の国内盤に買い替えるかも知れない(笑)。でも音の内容は素晴らしい。簡単に言ってしまえば想像通りの音像とメロディ。想像通りってのはKINOとかジョンミッチェル加入後のイットバイツの系統のサウンドって事。

① Airlock
オープニングナンバーは爪弾かれるピアノの音色から一気にシンセとギターで大仰なメロディを奏でて壮大に盛り上げるといういかにもプログレ的始まり方のインスト曲。FROSTのJEM GODFREYって人が中心になっている感じ。そう言えばFROSTっぽい感じもする。いかにも過ぎて、あからさま過ぎて、ツボにハマるというよりちょっと笑ってしまう。

② God Vs. Man
最初にPVが公開された本作のリードトラック。ちょっと重めのギターリフが始まり、アレアレ期待するサウンドと違うかなと一瞬思わせるがヴォーカルが始まると静かな展開となりメロディが哀感を湛えていて、それにジョンミッチェル自身の声質がマッチして静と動を対比させた曲構成、そして泣きのギターまで入りこれまたあからさまなプログレ的資質。でもシリアスな雰囲気は決して笑えない。いい曲だと思う。

③ The Boy In The Radio
個人的には本作の中で最初に私の耳を捉えた曲。キャッチーでちょっと郷愁を誘うメロディが素晴らしい。得にサビメロは魅力的で何度でも繰り返し聴きたくなる。さらに展開して開放的な歌メロとそれに続くのびやかなギターソロ、言うことないではないか。絶品。

④ Why Do We Stay?
静かで優しいメロディのバラードっぽい曲。パワーバラードでは無い。女性ヴォーカルの人とのデュエット曲。しっとり聴かせるメロディがイイ。泣きが入るギターソロも曲にマッチしている。

⑤ Lonely Robot
本作のタイトル曲であり8分超えの大作。コレも使い古された言葉である静と動の対比ってヤツ?(笑)。静謐な部分とへヴィな部分が交互に展開し、でもそれが小難しく感じないのはあくまでもメロディが充実しているからだろう。

⑥ A Godless Sea
前曲の静謐な部分をさらに拡大して、曲タイトルの情景がまさに頭に思い浮かぶような曲。こういった曲作りはKINOやイットバイツではあまりなかったような。ミッチェルの才能の幅広さを提示して見せたよう。

⑦ Oubliette
イントロのメロディアスな多重ギターによるテーマメロディが印象に残るが、その後に続く歌メロも優しいメロディで展開し、そしてここでまた女性ヴォーカルとのデュエットとなる。今作ではこういった女性ヴォーカルの起用が見られるが、効果的ではあるものの、そんなに必須とも思わないのは私が単にジョンミッチェルの声質が好きだからかも知れない。

⑧ Construct/Obstruct
これはもうイントロの感じからして今作で一番イットバイツとの親和性を感じさせるアレンジ。このままイットバイツの曲ですよと言われても、あぁなるほどと納得できてしまうだろう。もちろん悪い意味では無い。いい曲である。

⑨ Are We Copies?
ちょっと暗めのメロディとアレンジ。個人的には一番聴かなさそうな曲。でもアルバムに一曲くらいはこういう曲もアクセントとして入っていても良いだろう。

⑩ Humans Being
柔らかで優しくて暖かなメロディがポールマッカートニー的なバラード曲。この人は立派な英国ロック界におけるメロディメイカーとして成長しているんだと思う。それが端的に感じられるメロディ、そして名唱である。

⑪ The Red Balloon
本作を締める静かな子守歌風の小曲。感想は特になし。

後はボーナストラックが3曲、⑩と④と⑥の別ミックスなのでここでは割愛。

以上、ジョンミッチェルと言うミュージシャンのすべてを提示したと思われる素晴らしい作品である。そしてまたKINOやイットバイツに似ていることはそのまま彼こそが現行イットバイツのメインソングライターであり屋台骨であり主柱であることの証左でもある。イットバイツのファンは新作がかなり先になるであろうことを残念に思う必要はない。この作品が十分にその穴を埋める充実した作品であるから。

次はアレだな、レヴォリューション・セインツの新譜が超楽しみ。いやいやオイオイ、クリムゾンのスターレスBOXのレビューの続きはどうしたってか? 皆様、無かったことにして欲しいんですけど・・・・(笑)。

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