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2019年3月 7日 (木)

ドリーム・シアター 「ディスタンス・オーヴァー・タイム リミテッド・エディション」(DREAM THEATER "DISTANCE OVER TIME")

「オーガニック(organic)」とは?

ネットなんかで調べると、有機的な、という意味で、一般的には化学肥料や農薬を使用しない野菜や、添加物を入れていない有機生産物による食料品などを指すようだ。確かに私もそんな認識でいた。またそれは化学物質を使わないことからより自然な、環境に配慮することをも意味することになる。いずれにしても良い意味で使われる言葉である。

昨年よりプログレッシヴロックレーベルのインサイドアウトに移籍(世界配給はソニー)して制作が進められていたドリームシアターの通算14作目に当たるスタジオ盤最新作が2019年2月22日、待望の世界一斉発売された。

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初回限定のインストヴァージョンがボーナスディスクに付いた2CD国内盤で購入。メーカー特典のクリアファイル付き。

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5回くらい繰り返し聴いて、もちろん気に入ったんだけど例によってあまり聴き過ぎるとすぐに胸焼けして飽きてしまうのでここ1週間ほどワザと聴かずに寝かせていたww。まぁ仕事で疲れてて聴く元気がなかったってのもあるんだけど。そろそろ米ビルボードチャートに初登場するかなと思って、それを確認してからブログを書こうと思っていた。で、いま最新らしいビルボードチャートを確認したところ、初登場24位・・・。アレアレアレ、ロードランナー所属時代よりエライ下位でチャートインだな。確かロードランナーに移籍してからのチャート最高位は、

SYSTEMATIC CHAOS : 19位

BLACK CLOUDS & SILVER LINING : 6位

A DRAMATIC TURN OF EVENTS : 8位

DREAM THEATER : 7位

THE ASTONISHING : 11位

と、推移してきてたと記憶している(違ってたらスイマセン)。もとよりドリームシアターに関しては典型的なプログレッシヴメタルの先駆者としての評価も地位も確立しているし、今更チャートアクションなんてファンにとってはどうでもイイんだけど、ちょっとこのチャートアクションは意外だった。決して一般受けし難いサウンドだとは思わなかったからさ・・・。

一瞬ブログを書く気が失せかけたがまぁいい。チャートアクションによって評価を変える気も無いし、気を取り直していよいよ全曲レビューにトライしてみる。

① Untethered Angel
本作から最初に公開されたリーダートラック。ハードでヘヴィで歌メロは哀メロで、っていういかにもドリームシアターって感じのDT印な一撃。これで新作をイメージしてねって言える。ギターのアルペジオで厳かに始まってヘヴィなドラムが切り込み、哀メロヴォーカルで胸にグッときて、ギター、ベース、キーボード、ドラムが一体となった強烈なインストバトルと、ドリームシアターの全てが詰め込まれていて期待を裏切らない曲。但し期待を上回るわけでもない。

② Paralyzed
重い、印象が重い。ヘヴィでダークな曲。個人的にあまり好きではないタイプ。ドリームシアターの一側面ではある。ギターソロがこれまたダークな哀メロでどこまでも暗いメロドラマって感じ。体調が良くて時間もタップリある時に聴きたい(褒め言葉になってない?ww)。

③ Fall Into The Light
これも若干ダークな色合いで始まる。最初からドラムが強烈に手数全開で良い悪い別にして定型に囚われない遊びというか目先を変える仕込が面白い。歌メロ、アコギ?ソロ含めてやはり哀メロ。暗いメロディで元気が出ないww。これも浸りたいときに聴く曲だ。

④ Barstool Warrior
個人的に本作イチオシというか。私にとっても最高の入り口になる曲。どんなに音楽的にクォリティが高かったとしても入り口になる曲が無いと、あるいは巡り合わないとその作品やアーティストには入っていけないのだよ私は。私を知ってる知り合いや他人からしたら何でこのアーティスト聴かないの?っていうのが結構あるんだと思うけど、私にとっては入り口と巡り合い、そのタイミングが無いとイケないのだ。前にお仲間から、(私が)スコーピオンズを聴かないのが意外、って言われたことがあったけど、それはもう仰る通りだと自分でも思う。私に合う音楽だと自分でも思うんだけど、入り口とタイミングの良い巡り合いが無かったのだ。話が逸れたが、この曲はその入り口となる素晴らしいボーカルの美メロ、美しいギターソロが最高。そして単に情緒に流されそうなところを敢えてドラムが刻むリズムパターンを変えてみたりピアノソロで美メロを奏でてみたりといった遊びがあって飽きずに聴ける。特に2分過ぎからの、ブワァーーっと陽光が射し込んでくるようなメロディ展開とアレンジ、ジョンペトルーシのロマンティックな感性が炸裂している。この人は本当にロマンティックなメロディを書く人なのだ。その事を実感したのは前にも言ったけどジョンペトルーシ&ジョーダンルーデスのデュオライヴ盤でのThe Rena Songって曲だった。あんなにロマンティックで美しいメロディを書ける人って他にいるか?って。その頭の中の構造を覗いてみたいくらい。一度でいいから、ジョンペトルーシのソロアルバムで良いから徹頭徹尾ロマンティックなメロディばかりの作品を作ってみて欲しい。この曲だけで私は100年くらい幸せな気持ちで生きることが出来る。ホントだよマジで!

⑤ Room 137
ヘヴィに始まってダークなメロディが登場して、っていう今作はこういう色合いの曲がい多い。途中サイケな展開まである。私の勝手なアレだけど、せっかくならこの色合いの曲のうち1曲くらいはもう少し隙間を感じるグルーヴィな普通のロックを感じさせる曲を入れても良かったかも知れないね。

⑥ S2N
ベースが聴こえるよベースがwww。今作はサウンドプロダクションが過去最高、ってのはプロデューサーでもあるジョンペトルーシの弁。ベースの聴こえない作品多いからねドリームシアターはwww。インストセクションが非常にテクニカルな展開で、それでいてヴォーカルの歌メロは非常に聴きやすい。キャッチーとまでは言わないけど曲を展開させる妙味が分かりやすい。

⑦ At Wit's End
いきなり物凄いテクニカルなユニゾンで始まる。そしてヘヴィなアレンジとダークな歌メロ。今作このパターン多いなぁってところで曲は展開。4分台の静謐なピアノからは④に続く、メロディ派の私にとって最高の入り口となる美メロ哀メロ展開が待っている。5分台後半からのギターソロと歌メロは、よぉーっしゃぁーーキタキターーッ、っていう、遠くを見つめて泣きたくなるようなメロディとアレンジ。これがフェードアウトして行くのが何とも惜しい。あと5分くらい続いて欲しいくらい。で、フェードアウトして終わったと思わせて、遠くからまた美しいメロディがもう一回聴こえてくる。本作の代表曲と成り得るね。

⑧ Out Of Reach
小品バラード。とても美しいメロディで歌い上げるジェイムズラブリエ。イイ曲だけどもう少し強力なフックが欲しかったかな。

⑨ Pale Blue Dot
本編最終曲も①に続いてDT印な曲。今作を表すようなテクニカルでヘヴィでダークな色合いが強い。壮大でイイ曲だけれども、ダークさが頭に残るので、聴き終わった後もダークだったなぁで終わる。

⑩ Viper King (bonus track)
ボーナストラック扱いだけど制作プロセスの中では普通に他の曲と同様のリキ入れた新曲である。ただ、若干ストレートなロックに近いタテノリ?な曲調でいわゆるドリームシアターらしい曲とは違うのでボートラ扱いしたようだ。どっちにしても収録してしまえば同じことだけど。逆にボートラ扱いではなく本作中盤に入れていたとしたらまた少し作品全体の印象は変わったかも知れない。

以上、全曲レビュー終わり。ボーナスディスクは上記全曲のボーカル無しインストヴァージョンだけなので割愛。

さて、全体の締めというか印象を書き記しておかないといけない。いや、正直言うと言葉に困っていたというか、どう記事を書こうかなと思ってモヤモヤしながら書いていた。頭ん中を整理したつもりなんだけど、整理しきっていないかも知れない書き方になっていたらご容赦を。毎度のことだけどドリームシアターはプログレ、HR/HM、メロディ、強烈なインスト等々、ファンからのあらゆる期待を背負ってしまっているので、どの色合いが濃いかで必ず賛否両論が出てしまう。そこは仕方ないし拙ブログは私のブログなので私の書き方で書く。

最初に触れた「オーガニック(organic)」、これが最大のキーワードと言わんばかりのこれまでのプロモーションだったと思う。要するに特定の音楽性や特定の方向性に突出したチャレンジはせず、何よりもメンバー5人皆で曲作りをする、これが今回の新譜制作のキモだったそうである。ジョンペトルーシとジョーダンルーデスだけでなく、ジェイムスラブリエはもちろんの事、今回はマイクマンジーニも楽曲提供してるしジョンマイアングも同様。それが上手くいったという本人達の思いであればそれでファンは受け入れるだけだ。私は自分で言うのもアレだけど、相当に濃厚でマニアックなドリームシアターファンである。そんな私であることを前提として言うならば、本作の印象は、食い足りない、という事になってしまう。腹八分目というかwww。いや悪く言っているのではない。とても健康的なのである。オーガニックな制作プロセスの結果そうなったのであろう。何かに似ているようでどれにも似ていない。イメージズ&ワーズ再現ツアーをやったからと言って、イメージズ&ワーズに回帰したワケでも無い。アウェイクとも違う。勿論長大コンセプト作のメトロポリスパート2:シーンズフロムアメモリーや前作アストニッシングとも違う。ボーナストラックを除くと総収録時間が56分という、ドリームシアターにしては短い時間、曲ごとの長さも15分や20分の大作は無く、10分以下の曲ばかりである。そのフォーマットの中に、これまでの「進化」と「深化」を包含したドリームシアターサウンドをキッチリ提示している。長大過ぎないからこそ聴き手を選ぶようなオラオラ感が無い。ファンにとっても、オレ達のドリームシアターの音楽、聴きたくないやつは聴かなくて結構、っていうオラオラ感を一度捨てなければならないというか。

オーガニックとは結果として環境への配慮が滲む。イイ意味で。音楽性ではなく制作プロセスという意味でオーガニックになった今回のドリームシアターの作品は、各曲短め、トータルも短めとなったことで長年のファン以外の市場(環境)へのアピールにもなりうる。ドリームシアターらしさを損なわずにライトユーザーのデイリーユースにも使える。オーガニックな制作プロセスを経たドリームシアターだから結果として更なるファン層拡大が可能になる、そんなドリームシアターを作って見せることに成功したと思うのである・・・。

いやそれだけにだな、チャートアクションがイマイチなのは少しショックだったなぁと。ヘヴィユーザーが感じる食い足りなさが影響してなければイイんだけど。食い足りないって言ってもそれはとても高い次元での話であって、今作もこれだけのクォリティの作品を作れるバンドはいないと言い切れる。そうだ、チャートアクションに関してはインサイドアウトレーベルのせいにしてしまおうwww。

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